CQ ham radio掲載記事

「ビジュコミ」 11月号

ハムフェア’95
 毎年夏の締めくくりとして晴海で開催されるハムフェアに参加するのが恒例となっています.今年は単なる見学ではなくJAMSATのブースで2日間に渡りPACSAT衛星による9600bpsのディジタル通信と受信画のデモを行いました.

 各ブースを覗いてみると大半のところでパソコンが動いています.以前からいっていたようにアマチュア無線とパソコンがますます切っても切れない関係になってきました.JAMSATでも来年打ち上げが予定されている大型衛星フェーズ3Dに搭載するCCDカメラのエンジニアリング・モデルが実働して注目を集めました.

JV−FAX特集

 DOS/Vパソコンの普及でJV−FAX7.0の人気が盛り上がってきました.このシステムのよい点は,自作すると僅か1,000円程度のインターフェイスで画像通信が楽しめるところです.そこで今月はJV−FAXの話題を集めてみました.

1 JV−FAX入門Q&A

 最近はJV−FAX7.0についての問い合わせが多く,そのほとんどが初歩的な質問に集中しています.これから始める局のためにそれを要約します.

Q:98で動くJV−FAXが欲しい
A:PC−98で動くJV−FAXのソフトはありません.このソフトがドイツ人のDK8JVが開発したもので,IBM−PCかその互換機でないと動作しません.それはハードの性能が全く違うためにPC−98に移植することができないのです.

Q:Windowsで動かしたい
A:DOS/VマシンでもWindows上では動きませんしOS/2でも動きません.Windowsを一度終了してDOSに戻ってから起動します.

Q:DOS/Vでも動かない
A:少なくともCPUが386であることが必要で推賞は486以上でDOSは3.0以上です.それにDOS/V上ではJVFAXのメニュ画面が表示しません.プロンプトから次のコマンドで英語モードに切り換えて使います.
C>CHEV US
または
C>SWITCH
で英語のMS−DOSに変わります.ここであらかじめパスと通しているときはそのまま「JVFAX」(Enterキー)で起動しますが,でないときはJV−FAXのディレクトリに入ってからプログラムを立ち上げてください.

Q:簡単に切り替えたい
A:Windowsを終了してからでないと使えませんが「JV.BAT」のバッチファイルを作っておくとDOS/Vからそのまま起動できますし,終了したときはDOS/Vに戻っています.

Q:SSTVで色が付かない
A:最近のDOS/V機ではこのようなことがありませんが,少し前に発売されたマシンでは次の点をチェックしてください.ビデオカードはVGAが必要です.それ以下では色が付かないのです.SVGAカードと4メガバイト以上メモリーが望ましいと作者がいっています.
 なおモニータではモノクロでもその画面を送信すると,受信した相手局にはカラー画像になっています.

Q:カードがあるのに色が出ない
A:ビデオカードを取りつけているのに色が付かないときは多分初期設定がうまくできていないと思われます.設定はメイン・メニュのCコマンドで各種設定画面に入りここの「Graphics」の項目を使用しているビデオカードに合わせます.変更はそこにカーソルを持ってゆきスペースキーを押すことで設定する項目がつぎつぎに出てきます(写真3).

Q:きれいな受信画が得られない
A:それはソフトのせいだけではないのです.オペアンプ1個程度のインターフェイスではきめの細かい画像が受信できません.それでも送信時間の長いモードだと密度が高くなってかなりきれいになります.FAXできれいな画像を受信したい方は9月号で紹介したエーオーアールが発売しているUFC1.0などのインターフェイスを求めてください.

Q:送信ができない
A:送信するとき必ず自分のコールサインを入力する必要があります.C設定画面の「Callsign」に登録してください.ここには10文字程度の入力ができます.

2 気象衛星NOAAの受信

 最近は民間の気象予報士の制度ができたこともあって,気象FAXの受信について関心が高くなってその問い合わせが多く届きます.7月号の本欄にJA2DHB梶川さんから「NOAAの受信の勧め」のレポートをいただきましたが,NOAAをもっと簡単な設備で受信できないか調べてました.

 NOAAは現在9,10,12および14号の4つの衛星が運用されています.表1はKlingenfussの「Guide to Fax Radio Stations」から送信周波数を拾ってみました.これを見ますと,主送信は136〜138MHzですので私たちの通常の設備を少し工夫することでそのまま使えます.

 実際に受信している局に聞きますと,信号が強力なのでオスカーハンター(マスプロ電工)の2メーターのアンテナでも十分実用になるそうです.またIC-970など衛星用に設計された無線機を少し改造することで使えるようです.

 では受信できた信号をどのように表示したらよいでしょうか.ここで使用しているFAXの形式は短波帯で受信できるJMHのSCFMと違いAM変調です.このモードは以前はNEFAX1000などのマシンがそのまま使用できて便利でしたが,これらの機器はすっかり時代遅れとなっており,また手に入っても記録紙の入手が困難です.

 嬉しいことにJV−FAXがAMモードに完全対応されています.NOAAだけでなくひまわりやMETEOSAT(ひまわりと同等)も受信できます.ではこのソフトを使ってどのようなインターフェイスが必要でしょうか.KOー25の衛星でDK9DYが簡易受信インターフェイスの回路図が送られてきました.その回路をJH3VSR山田さんに少し手直しをして貰い,調整方法をお聞きしました(図1).

 回路を簡単に説明しますと,取り込んだAM信号をダイオード・ブリッジとトランジスタで検波とキャリア成分を取り除きます.VRでレベル調整した後,XR−2206でFM信号にコンバートしています.最後はオペアンプのデモジュレータでディジタル信号に変換しますが,ここはお手持ちのJV−FAX用デモジュレータが使えます.

 出力周波数VR1で偏移幅,VR2で1500Hzを,そしてVR3で出力波形が歪みのないサイン波となるように調整します.実際の調整はJV−FAXのFAXモードを選択し,更にMETEOSATを選んでデビエーションをAM1から400に変えます.そして気象衛星からの信号を受信してJV−FAX画面のスペアナを見ながら黒1500Hzが(B),白2300Hzが(W)の位置となるようにVR1,VR2を調整すると完了です.

3 UFC基板について

 9月号で紹介したエーオーアールのUFO1.0を試用して「UFO回路の考察」の資料をJH3VSR山田さんが作成されました.その中から技術的な解析部分を省略して現在この基板をお使いの方,購入を検討されている局のために参考になる部分を拾い上げてみました.
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   表1 NOAAの周波数表   
                  
  NOAA-9  136.77MHz (ビーコン)  
       137.77MHz (ビーコン)  
       137.62MHz (120/576) 
       1702.50MHz (HRPT)  
       1707.00MHz (HRPT)  
  NOAA-10  136.77MHz (ビーコン)  
       137.50MHz (120/576) 
       1698.00MHz (HRPT)  
  NOAA-12  136.77MHz (ビーコン)  
       137.50MHz (120/576) 
       1698.00MHz (HRPT)  
  NOAA-14  137.62MHz       
                  
  注)120/576は回転数及び協動系数, 
   HRPTは高解像度画像の伝送方式 
└─────────────────┘

 JV−FAXはもともとFAXの受信のために開発したので,この基板はそれを最大限に引き出しています.特にAMモードでの気象画像の受信においてはたいへん素晴らしい結果が得られました.ただし送信機能はFMモードのみでAMモードはありません.

 ひまわりの受信で表2のように設定を変更してみましたところ,好結果が得られました.特に同期信号はNOAA ALLでは位相が合わないのでInvertedに設定する必要があります.
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│         表2 ひまわり受信の設定       │
│                            │
│Resolution         : 840    │
│Deviation          : AM2    │
│Intensity Levels(階調): 256    │
│Phasing signal(同期信号):Inverted│
└────────────────────────────┘

 またResolutionについても840のほうができた画像ファイル小さく,後で見るときはズーム機能を使えば受信時の画面が再現できるのでFBです.それとIntensity levels(階調)はハードが256階調に対応しているので,ソフト側の階調も256に合わす必要があります.

                        Tnx JH3VSR


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