CQ ham radio掲載記事

「ビジュコミ」 9月号

JVFAXの本格的なインターフェイス
 昨年の8月号のこの欄でJE1BQE根日屋英之さんらがドイツで開発したJVFAX用の本格的なインターフェイスを紹介しました.根日屋さんによればこの記事の反響がすごく,いまでも問い合わせの手紙が毎日のように届いているそうです.

 JVFAXはご存知のようにIBM−PCとその互換機で,簡単なインターフェイスつけるだけでSSTVやカラーFAXを運用できる極めて高性能なソフトです.しかしこのソフトを使って高度に設計したインターフェイスを使えば,NOAAや「ひまわり」などの気象衛星の信号を本格的なシステムにひけをとらない高解像度で受信できるようになっています.

 根日屋さんが日本での要望に応えるため新しく設計した回路を基板化し,部品取り付けして19,800円で販売をすることになったそうです.興味のある方はエーオーアール・ダイレクト(電話03-3865-1657)にお問い合わせになってください.

 なおHAM Journalの95年8月号(No.98)にはJVFAXの特別企画記事が掲載されています.筆者は根日屋さんでJVFAXでのひまわりやNOAAなどの受信についてシステムを中心に18ページに渡って解説をされています.興味のある方はぜひご覧になってください.また同誌にはこのJVFAXが中古で買った1万円のマシンでも動いたという記事(106ページ)も載っており興味しんしんです.皆さんもチャレンジしては如何でしょうか.

注目のソフト紹介画面キャプチャー「WinCatch」

 ゲームで最高点を出した画面や気に入った画像を保存したいと思うことがたびたびあります.或いはグラフィックの一部分を切り取ってSSTVの画面に取り込んだり,ワープロの中に好きな絵をはめ込みたいことがあります.こんなときに便利なソフトがここに紹介する「WinCatch」というWindows用の画面キャプチャー・ソフトです.

 このソフトは山崎信久氏が作成したフリーソフトで,画面の取り込みだけでなくカーソルや矢印を取り付けたり,タグ(吹き出しテキスト)を張り付けることもできます.切り取った画面をそのままWindowsの標準形式のBMPで保存できますし,クリップボードからの転送も簡単にできます.

 画面の取り込みには3種類の方法があります.「モード=切取」は画面の一部分を切り取って取り込む方法で,「モード=特定窓」はその前にアクティブだったウインドウの画面を取り込みます.それに「モード=全画面」は画面全体を取り込む機能です.

 このリアルタイム取り込みのほかに,時間設定して取り込む機能も持っています.この設定をするとドロップメニューの取り込みも可能になります.取り込んだ画像を矢印やポインター形状の貼りつけ加工ができるようになっています.

 画面の説明のためにマウスの位置を決めてコピーしたつもりなのに,実際に取り込んだ画面にはそのマウスの矢印が写っていなくてがっかりした経験があります.こんな時にこの機能は便利です.

 もう一つの嬉しい機能はタグ貼り付けです.これは画面に吹き出しテキストのできる機能で,次ページの写真5はその方法で画面に説明を貼りつけています.またこの機能を使って画面の下部に自分のコールサインを入れるのに便利です.

 このようにして取り込んだ画面を簡単にペイントブラシなどの画像エディタへ受け渡して加工したり,Windowsの標準であるBMP形式で保存や読み込みができるようになっています.

 このソフトを筆者がテストした段階ではVer1.16で16色しかサポートしていません.作者の話では256色も正常に取り込めるように目下改良中だそうで,多分この記事が皆さんのお目にとまる頃には新しいバージョンがアップロードされていることでしょう.そうなればフルカラーの画面も画面表示ソフト「GV.EXE」などを使ってSSTV用の画像として取り込むのにたいへん便利なツールになります.

 WinCatchはNIFTYーServeのFWINFのLIB8(Ver1.16は786番)にアップロードされています.

9600bps衛星への挑戦 その3

・「WiSP」あれこれ

 先月号で9600bpsのディジタル衛星PACSAT用のWindowsソフト「WiSP」を紹介しました.今回はこのソフトに関連したことをレポートします.

(1)日本語のヘルプテキスト

 WiSPは高性能なソフトであるためにその初期設定はかなり面倒です.英語に強い方は原作のヘルプテキストで理解できるでしょうが,それ以外の方には難しいはずです.このヘルプテキストを翻訳してくださったのがJE9PEL/1脇田美根夫さんです.

 今回このテキストを最新版に改訂してNIFTY−Serveにアップロードしてくださいました.158キロバイトという大きなもので,そのご尽力にお礼申し上げます.衛星通信をしていますとそのネットワークは世界的ですので,各国の多くの皆さんのボランティアに支えられて衛星通信を楽しんでいることがひしひしと感じられます.

 格納されている場所は,FHAMGEのLIB2の176番に「WISPHLPJ.LZH」としてアップロードされています.また177番には「EISEI4.LZH」として衛星通信入門(No.53〜65)があり,WiSPによるPACSATでのディジタル通信の具体的な使用法が解説されています.併せてダウンロードしてください.

(2)WiSPのコピーサービス

 先にWiSPを手に入れるには米国のAMSATに申し込むことを紹介しました.しかしこのソフトを脇田さんがコピーサービスしてくださることになりました.詳しくは(1)で紹介した脇田さんのファイルにその申し込み方法が記載されています.しっかりお読みになって申し込んでください.

 またインターネットを運用できる局はAMSATから直接取ることもできます.

ftp://ftp.amsat.org/amsat/software/windows/wisp

いずれの方法で入手されても本格的に使用するには50ドルの寄付登録が必要です.

                             Tnx JE9PEL/1

(3)WiSPの軌道計算

 WiSPには衛星の軌道計算の機能があります.それも単なる数値計算の表示だけでなく軌道マップも付属している本格的なもので,最新バージョン(GSC0,91G)では1周分の航跡が世界地図上に表示するようになりました(写真5).

 この機能は単独なものではなくセットアップで種々な機能を設定しておくと,指定した衛星が近づくと自動的にMSPE(専用のターミナルソフト)が起動して受信体制に入ります.それに軌道要素は初期にはデータを読み込む必要がありますが,それ以後は最新データを衛星より受信して自動的に更新する機能を備えています.

(4)ファンファーレ

 一つの優秀なソフトが開発されるとそれに付随するソフトが次々に現れてきます.WiSPもその例に漏れず関連のいろいろなソフトが発表されています.中でも楽しいのはWiSPのサウンド機能を利用する音楽やスピーチソフトがKO−23などを通じて届いています.

 筆者の気に入ったものにファンファーレがあります.受信しているファイルのダウンロードが完成すると「パァカパッパァパーー」とラッパが高らかに鳴り響きます.これを聞いていると「ただいま新しいファイルが無事届きましたよ」ということがわかり気持ちのよいものです.しかし夜中にこれが聞こえるのは耳障りなだけで,このときはスピーカーのボリウムを絞っておきます.

 このほかに「KO−23の衛星が近づきましたよ」というアナウンスもありますが,流ちょうな英語ですので筆者にはなんといっているのかさっぱり聞き取れません.このように海外から素晴らしいソフトが直接届くのですから衛星のデジタル通信は本当に楽しいものです.


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