Cachorro - Bear Cub

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last up-dated : 30th December 2005

[ ネタバレあり、要注意 ]

この映画について、思っていること疑問に感じたこと、思い込み、とにかくいろんな雑感をここに書き連ねています。
きっかけ
去年2004年3月に「スペインでヒットしてる」ってな情報をもらったのが最初でした。調べたら、そのひと月前のベルリン国際映画祭に出品してたみたいなんです。いろいろ調べてもIMDbに簡単なデータが記載されたくらいで、見つかる情報はほとんどがスペイン語ばかり。それでも、ベルリン映画祭を現地から日本語で報告したサイトで情報を発見。俄然、観たくなりました。でも、詳しい情報はそこくらいで、日本での公開やDVDリリースの情報などはもちろん一切無く、しばらくしたら関心はさめてしまってました。
再燃
その半年後、動画データで見る機会に恵まれて、不完全ながらも英語字幕で観ることが出来て、でも、パソコンでしか観ることが出来なかったんですよね。映画はやっぱりテレビ(?)でゆっくりと見たいんです。そしたらば、2004年11月にスペインでDVDリリース!っていうんで、ネットで英語ページのあるサイトから購入。リージョンコードは日本と同じ2なので問題無いし、PALが再生できるプレイヤーもあるので、何の問題も無く再生できました。

[ 以下はネタバレだらけ、要注意 ]

●第14回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭での公開終了に伴い、ネタバレだらけの個所を再掲載しました。
いきなりオープニングから!
この作品が、本国スペインでは18歳以下(未満?)の観賞が×である理由は性描写によるものと思われますが、それがオープニングにいきなり始まってしまうんです。ええ、ガッチリというよりも太目で毛深い男二人が絡み合ってるんですから、初っ端からインパクトありすぎます。エロ度は低いですがいきなりの絡み合いのシーンなんですが、ちゃんとスキンを使ってセーファーセックには心がけてました、ハイ。
ちなみに、日本において、レズビアン&ゲイ映画祭での公開時、オープニングのこのシーンにボカシは無かったようです。
姉にはカミングアウト済み
息子を連れてペドロのもとにやってきた姉のヴィオレータ。息子のペドロのことを「あなたと同じようにあの子もゲイに違いないわ」と喜んで言う姿にちょっと驚き。その後、空港に向かう途中、彼女とペドロがちょっとした言い争いをするシーンがあります。過去に彼らの家族において何かあったのだろうかと思わせるシーンです。
幼い頃から母親が言ってきたからなのでしょうか、甥のベルナルドも彼がゲイであることをごく普通に受け止めているようです。
空港でいたしましたか?
ペドロとスーツを来た男がすれ違いざま肩がぶつかるシーンは、スペイン公開版の予告編でも流れています。映画ではこの後、スーツの男がトイレらしいところに入り、それを見届けたペドロが彼の後を追うようについて行って・・・。イタしちゃったんですかね。イタしちゃったんでしょうね。
イビザ(Ibiza)
ベルナルドとヴィオレータの空港での別れのシーンで、イビザ(Ibiza)という地名が出てきます。地中海に浮かぶスペインの小さな島です。70年代はヒッピーの聖地として知られ、今はリゾートとクラブイベント(Rave)の島としてヨーロッパでは有名な島のようです。
(参考:イビザ島専門サイト http://eivissa.s3.xrea.com/ )
joint(大麻タバコ)
rolling a joint
ペドロの親友Javiが、ベルナルドの目の前で大麻タバコ(*)を巻こうとするシーンがあります。調べたら、スペインでは少量であれば、マリファナ(大麻)の所持が許されているそうです。使用が許されているのかは不明。
(英語字幕ではjointとなっています。辞書によるとjointは俗語で「マリファナ入りのタバコ」の意)
嫁と姑
嫁と姑が仲が悪いのは万国共通のようです。ここでも、ヴィオレータとテレザの仲は良くありません。ヴィオレータの夫の死と関係があるのかもしれませんが、映画ではそれは描かれていません。二人の仲は良くありませんが、ヴィオレータもテレザも母親としてまた祖母として孫のベルナルドを愛しています。これがこの物語の筋書きの一翼を担っています。
短編CGアニメ
CG animation
ペドロがベルナルドに見せる短編CGアニメがあります。電線に止まった鳥が感電してしまう、というシーンの映画がそれになります。この作品、CGアニメの映画賞を受賞した作品だったハズです。エンドロールにヒントが隠されているのかもしれないのですが、なにぶんにもスペイン語なので・・・。情報求む。
「愛しているけれど一緒に住めない」
マドリードでの地上勤務にかわるから一緒に住みたい、というマヌエルの誘いをペドロはこう言って断りました。マヌエルはその答えを予期していたような対応をします。ペドロにとってマヌエルはただのセックスフレンドなのか、と勘ぐってしまうのですが実際はそうではないことが後ほどわかります。この時にペドロがいくつかの薬を飲用していることがヒントになります。
ヨーロッパのゲイはテクノがお好き
Javiの部屋で開かれたベルナルドの誕生日パーティで流れる3曲。どれもテクノ。2曲目はファンゴリア(Fangoria)の Me Odio Cuando Miento。3曲目は同じくファンゴリアの Hombres。この曲はエンディングでも流れています。
Manuel Martinez
Manuel Martinez
そのパーティにて、テレビに映っているスポーツ選手。スペインではトップクラスの砲丸投げの選手で、昨年のアテネオリンピックでは4位。ラモーンが「この人、タイプ」と言っていますが、ネットで調べるとスペインではベア系の好きなゲイの間ではやはり人気の選手のようです。
ゲイバー"HOT"と野外系ハッテン場
そのパーティーのあと、ペドロが行ったゲイバー"HOT"。映画で見る限りにおいては、1階がバーになっていて地階がハッテンスペースになっているようです。調べると、マドリードに実在するゲイバーのよう。ヨーロッパやアメリカにはこういったタイプのゲイバーが多いらしいです。なにぶんにも海外未体験なもので、情報求む。
そのゲイバーを出て、ペドロは高架下のハッテン場に向かいます。このあたりは、日本と状況は似たようなものですかね。
あと、ハッテン専用かどうかはわかりませんが、サウナのシーンもあります。バーがあってゲームコーナーがあって。スペインのハッテン場の状況がわからないのでナンとも言えませんが。
HIVとAIDS
ベルナルドをペドロの元から引き離したいテレザは、ペドロの身辺を調査させます。そして、彼がHIVポジティブであることを掴みます。そして「ベルナルドや患者さんたちはあなたがエイズだということを知らないわね」とテレザは恐喝まがいのことを言います。もちろん、HIVポジティブであるということとエイズであることは違います。テレザはベルナルドを守りたい一心でこんなことを言ったのだと推測できます。
後でわかることなのですが、実はベルナルドはペドロがHIVポジティブだと知っていました。母のヴィオレータが教えていたからです、ペドロだけでなくヴィオレータ自身もHIVポジティブだということを。そして、ベルナルドは感染せずに生まれたということを。
"Te quiero mucho"
Te quiero mucho
「とても愛してる」。寄宿学校に行く前、ベルナルドがペドロとの別れ際に言うセリフです。大好きなシーンのひとつです。
胸をえぐられる思い
その後体調を崩したペドロが入院し、それをベルナルドに知らせに寄宿学校に寄ったテレザ。そこでの別れ際、ベルナルドから決定的な言葉(祖母として、孫の口からは絶対に聞きたくない言葉)を浴びせられます。ベルナルドの信頼を少しずつでも取り戻したいからと彼を寄宿学校に転校させたものの上手くいきません。
テレザ、ヴィオレータ、それぞれの思い
ラスト間近、ベルナルドを含めた3人の独白シーンがあります。テレザからヴィオレータへ、ヴィオレータからベルナルドへ。そこでわかるのは、みんな誰もがベルナルドを愛しているのに、愛しているがゆえに本当のことが見えなくなってしまっていたということ。
そして、ラスト。ベルナルドもテレザを愛していたことに気づくのです。
ファンゴリア(Fangoria)
エンディングを飾るのはファンゴリアのHombres(男)という曲。ファンゴリアはスペインのテクノ・デュオで、二人ともテクノ黎明期から活躍しているベテラン。この曲は彼らの2002年のアルバム"Naturaleza Muerta"に収録。
愛・地球博関連のために、ファンゴリアの2人はスペインの音楽プロデューサー兼DJのカルロス・ジーンと一緒に来日、7月17日と19日にUNIT Tokyoにてライブが行なわれました。
Fangoria:http://www.subterfuge.com/(スペイン語、英語)
UNIT:http://www.unit-tokyo.com/