秩父34ヶ所観音霊場を気の向くまま、のんびりと歩きます。
午歳は観音様を開帳するので、にぎやかさのなかでの巡礼となります。
一巡すれば100キロとなりますが、時間的な制約もあり交通機関も利用しますが
風光明媚な巡礼道に身をまかせて・・・
第2回目(3月22日・金)
春の彼岸に帰った。二つ下の弟が22日がお休みということで、母と三人で札所巡りをした。
今回は、母は歩くのが大変なので車が必要なところを選んでまわることとした。
秩父札所は、秩父地方(秩父市・横瀬町・吉田町・小鹿野町・大滝村)に34ヶ所あり、西国
・坂東はそれぞれ33ヶ所あり、これらを合わせて百観音札所と云われている。
昔から、秩父は比較的に廻り易いため、江戸をはじめ多くの地域から巡拝者が訪れた。
今回は、吉田町・小鹿野町・荒川村方面の札所を廻り、そして途中、県指定天然記念物の
枝垂桜の有名な清雲寺に寄ることとした。
まず、28番(橋立寺)に向かった。
まず、目につくのは武甲山である、セメントの材料の1つである石灰岩を多く含んだ山で、昔
この石灰岩を取り尽くすには100年かかるだろうといわれ、セメント工場は永遠に続くだろう
といわれていたが、日本列島改造論が華々しく云われ、そしてバブル当時は、頂上が変形
するほど採り始められた。しかし、今は秩父セメント(現太平洋セメント)の主力工場は2工場
閉鎖の憂き目にあい、今は三菱セメント(横瀬町)と日本セメント(日高町)が採っているようだ。
橋立寺は、その武甲山の西麓にあり、65メートルの岸壁に寄り添うようにたたずんでいる。
圧倒される岸壁を見ながら参拝する。
この近くに鍾乳洞があり、子供の頃の遠足で入ったことがある。
ここの観世音は馬頭で、馬が唯一の交通手段で交通の守り本尊である。
馬頭観世音は秩父ではここだけ
29番(長泉院)へは、車だと15分くらいの近さである。
『母は、父とはまた従兄弟の関係で、両親は郡山で炭の仲卸しをしていたが、関東大震災
で貨車ごと燃やしてしまい廃業の憂き目にあい、猪苗代の田舎に帰ってきた。
そして、父と一緒になった。
社宅生活は、隣近所の付き合いが多く、それぞれの季節の行事が頻繁に行なわれていた。
節分・桃の節句・端午の節句・盆踊り・お月見(十五夜)・秩父夜祭り等々、隣近所の人々が
集まり、柏餅やお饅頭を作ったり、おかずのおすそ分けなどしていた。
特に、十五夜はお饅頭の盗み取りが面白かった。
篠竹に釣り針と糸で結び、各家に飾ったお饅頭やお菓子を引っ掛けて盗み取り、腹いっぱい
に食べた。子供心にあの家のお饅頭はうまいとか取りやすいとか情報交換しながら、そして
「コラッ!」って云われながら逃げるスリルも楽しい。
今思えば、無礼講でそういうことが暗黙のうちに許されていて、大人も一緒に喜んでいたのか
も知れない。こんなに取られたよって自慢していたのかも?
物質的には恵まれてはいなかったが、心の豊かさがあったみたいだ。』