インタビュアー:
バルキリーに顔がついているのはおかしいとか、いっぱい反響が・・・。「マクロス7」は「マクロス」の正史としては認めない、あんなのはおかしいとかいうのが多くて・・・。作られた物として見てなくて、自分がその中にいると思っちゃってる。
河森さん:
そうなんだよねぇ。それがおそらくあるだろうなと思いながらも、でもそれで全部実際の歴史じゃないってのを言ってるわけんだよな。で、元々そのつもりでやってるからさぁ。これはマンガの「マクロス」である、と。「マクロス」みたいなこういう歴史があるとしたら、その中の非常にマンガとして作られた場合ね。その歴史がアレンジされたらこうなるだろう、と。
インタビュアー:
やはりファンの想像を越えた物を作ることが重要ですよね。
河森さん:
以上になるか以下になるか分かんないけど(笑)。とにかくねぇ、予想されたことやるの嫌だから。
インタビュアー:
僕も最初放映された当時はやっぱり口が付いてるというのが嫌でしばらく見なかったですけど・・・。でも、去年の今頃「やっぱりマクロスは見ておかないと。」と。マクロスとしてという以上にストーリとして、キャラクターに惹かれる・・・完全におもしろい。
河森さん:
本当?そういってもらえて嬉しいよなぁ。これはキャラ物、キャラ物とか言っていたんだけどね。
インタビュアー:
今までのマクロスだとリン・ミンメイの歌を聞いた人が感動するっていうのがありましたよね。でも、「マクロス7」の1話で誰も歌を聞かないじゃないですか。誰も聞いてないというのがすごく嬉しくて、出だしからもうはまっちゃいましたね。
河森さん:
本当?
インタビュアー:
歌を聞いていたら「あ〜、また昔と同じかな。」という気がしたんですよ。誰も聞かないから「そうだよな」って思ったんですよ。聞く人もいれば聞かない人もいる。
三角関係と戦闘機と宇宙戦争が混然一体として進行していきますよね。そこで、またパワーにのせられ・・・。
河森さん:
ある部分ね、最初に作ったテレビシリーズのときは作りながら三角関係に持っていった部分があるからなぁ。やりながら考えていた部分が大きいというかさぁ。
インタビュアー:
決められていたわけじゃないんですね。
河森さん:
うん。事実上の最終回である「愛は流れる」とか・・・あれは、ややこしいのはさぁ、もともと3クールとか4クールで考えていたやつを「2クールに切れ。」と言われて、やっと切ったところで「伸ばせとか言われた。」という。「いいよ、そんなのそんなの。伸ばすの無理だよ。」。それじゃあ違うアフターストリーとかいって、やったから「愛は流れる」は本来の最終回になってない。
あの時だって、1話をオンエアするか、しないかだったかなぁ・・・。その頃に、最後の方の構成考えてて、取りあえず・・・歌かけながら(笑)戦争が終わっちゃうっていうアイディアを思いついて・・・、いろいろ他の人に言うんだけども「無理だとか。」、「そんなのテレビじゃ出来ない。」、「説得力がない。」とかいろいろ言われてて・・・「そんなに言うなら自分でやるからやらせてよ。」ていって僕が描いたんだなぁ。
インタビュアー:
基本的に河森さんが・・・納得というか、こう終わらせたいと。
河森さん:
そうそうそう。もう絶対やだ、ダメとか言われて・・・。じゃあ、とにかくダメかどうか分かんないけどやらせて下さい、でコンテ描いてやったのがあの回、と。
インタビュアー:
あの回だけタイトルが日本語じゃないですか。あれは・・・。
河森さん:
あれは半分意図的だよね。これは区切りです、みたいなさぁ。
インタビュアー:
僕は「7」から見始めたので・・・。
河森さん:
あ、本当?
インタビュアー:
「7」から見始めたので、違和感はなかったですね。
河森さん:
あははは(笑)。あっちから入ると違和感はないよね。なんでもOKじゃないけどさぁ(笑)。
インタビュアー:
なぜ「マクロス7」を認められないかな、って思っちゃいますよ。
河森さん:
あ〜、そうかも知れないよね。
インタビュアー:
逆に初代マクロス見たときちょっと物足りなく感じましたね。
河森さん:
押しは弱いもんな。そういう意味では(笑)。徐々にあがっていくタイプの作り方だからさぁ、あれって。
インタビュアー:
「愛は流れる」では一条輝はやられちゃうじゃないですか。だけど、映画版の「愛おぼえていますか」だと、やけに活躍するじゃないですか。最後も閉めますよね。あれはどういう・・・。
河森さん:
あれはねぇ、純粋にいって映画っていう尺。2時間という尺で、そんな人が徐々に成長していくのは描ききれないだろう、と。これが戦争映画とかじゃなくて、人物だけ追いかけてる映画だったら出来ないことはないんだけども、アクションもありの何もありので、何から何までやるのはまず無理。だから、そういう意味では意識的にある程度成長したり、なんなりっていうのはミンメイの方にふって、歌手って立場は変わんないけども、それはミンメイだけにやらせて、他はある程度、割り切る・・・じゃないな、つっぱしらそうと。そういう感じだよね。
ただ、心残りはこれは「マクロス7」のインタビューかなんかで言ったかも知れないけども、最後に弾を撃って決着をつけたのはねぇ、「あ〜、2時間という尺におさめるために俺はこんな事をしてしまった。」。「愛は流れる」の時はねぇ、最終的にはミサイルも何も弾なくして、ただ助けに行くだけというふうに出来たんだけど。
あそこで弾撃っちゃたんなら、今度は撃たない主人公はあるなって・・・。