インタビュアー:

「MACROSS PLUS」だけキャラクターデザインが美樹本晴彦さんではありませんがこれは何故ですか。

河森さん:

 これはねぇ、より今言ったような事を極端にしようとしたってことかな。ある種のマクロスの世界観が閉じないようにしたいと。で、同時に「マクロス7」がやることが決まってたんで、じゃあTV版の方は美樹本君の原案でいって、そのかわりすごくマンガチックにいこうと。マンガチックにいくことで前の「マクロス」と変えようと。

 そうしたなら逆によりリアルに・・・。リアルって言ってもね、一応漫画的リアルって言うかアニメーション的リアルっていうだけでもので。そういう方のキャラクターで、尚かつ「MACROSS PLUS」の方はアメリカンテイストで行こうと・・・。それで摩砂雪君の絵がすごくそういうテイストに合うんで。わざと、何て言うのかな・・・、アニメっぽさって言うか、アニメ的かわいらしさとかじゃない方に行こう。そういうやり方だよね。とにかく同じ事やるのが嫌だからさぁ。なるべく違うことがしたいというか。

インタビュアー:

 YF−19とスホーイS−37のデザインの酷似は何故ですか。

河森さん:

 よく似てんだよなぁ(笑)。でもねぇ、実際19やってた頃はまだ37の写真を見てないからさぁ。で、しかもねぇ、見たときやたら似てるなぁと思うんだけど厳密に見ると今の19にそんなに全部がそっくりじゃない。それにしても似て感じるなぁと思ったら、昔描いたラフにそっくりなんだわ。没案の19がもっと似てるんだわ。もうほとんど同じと言って良いくらいそっくりなバージョンがあって・・・。ただねぇ、少し前が重くて、スマートさに欠けるんでそれを没にして今のデザインにしたんだけど。もっとねぇ、インテークからはえてるカナードのはえかたもそっくりだしねえ。ロシアのスパイ説を言ってんだけどね(笑)。ロシアのアニメおたくが日本に潜入して・・・(笑)。

インタビュアー:

 ロシアがあれを本格的に作っているとしたらかなり前翼機というのは効果的であると・・・。

河森さん:

 実際効果的ではあるみたいなんだよな。いろんなねえ、ヨクタシスの問題とかいろんな事で効果的らしいんだけども何で最終的にやらないかって言うのは逆に疑問なくらいだよね。やっぱり、ある部分保守的なところあるんだろうし・・・。

インタビュアー:

 今までのプロトタイプは全部大型の後退翼でしたが、いきなりの前翼機になりましたよね。

河森さん:

 まぁ、一回は実験してみようというのがあるのかもしれないし。後コンピュータとかがよくなったから操縦特性をなんとか出来るようになった、ってのも実際あるんだろうけども。

インタビュアー:

 「マクロス 7」についてですが、熱気バサラの性格はかなり変わっていると思うのですが。

河森さん:

 これはもうとにかくマンガにしようと、いうのが一番。さかのぼって話しちゃうと映画のマクロスが終わったときに、とりあえずもうマクロスをやらない宣言をしてたんだよ。10年間はとにかくやらないと・・・。もう2度とやらないと・・・。実際、違うメディアならやってもいいってことでビデオの「フラッシュバック」とかやったんだけども、そうじゃなくて映画とかテレビとか1回やったからもうやらない、とか言ってて・・・。

 でもやって欲しいって話が来てその時に、前に思いつかなかったことを思いついたらやる、と。1週間時間をくれ、と。それで以前やった「マクロス」と全然違うネタ。一応「マクロス」って、音楽使おうが何のっていう。歌であって、何があっていう条件を満たしながらも全然違うものを思いついたらばやるって話をして・・・。その時に歌うパイロットってのはありだな、と。歌うパイロットだけだとただのワンアイディアになっちゃうんだけども、それでもし戦わない主人公ってのが出来るんだとしたら、これは空前絶後になるだろう。

 でもこんなの通らないよなと思っちゃうんだよ。いくら何だって。おもちゃ売るには非常に難しいネタなわけじゃない。通っちゃったんでさあ、じゃあやるかみたいな・・・(笑)。

 で、そこから生まれてるからとにかく普通じゃないキャラクターで。あと男のキャラがどんどん弱くなってった時代。何かみんなその、何て言うか、情けない方向に行ってたから。輝とは正反対。だからといって暴力的に戦うんなら今までいくらでもあったから、そうじゃないのってので、暴力的に歌う(笑)。そういうノリだよねぇ。

インタビュアー:

 ロックに関しては何か特別な思い入れがあるんですか。

河森さん:

 特別な思い入れっていう程じゃないんだけどなぁ。でも、前がアイドルポップスだったから今度はロックみたいな、の方が強いよね。個人的にはねぇ、どっちかって言うと、もっとエスニックなほうが好きなんだ。

インタビュアー:

 最初からギターを持って搭乗するといことは決めていたんですか。

河森さん:

 そうそう、そこまでマンガにしよう、と。メカファンがねぇ、みんなでねぇ、怒ってチャンネルを消すぐらいのを作ろう、ってところからスタートしたんだよ(笑)。そっちは「PLUS」を見てくれればいいとか言って。どうしてもねぇ、両方満たそうとすると中途半端になっちゃう。

インタビュアー:

 世間の・・・・あんなの「マクロス」じゃないとか・・・。

河森さん:

 そう言われるために作った。

インタビュアー:

 そうなんですか。

河森さん:

 天の邪鬼な性格なんでねぇ、言ってもらって嬉しいとか言いながら・・・(笑)。

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