部屋に入ってきたのはシャイン・ブロッケングリッツだった。シャインは護衛戦闘空母ボルデガのオペレーターである。

「もう・・・無茶しないでよ・・・バカッ。」

「ごめんな。まだまだだな俺も・・・。」

 シャインは痛々しそうに包帯を巻かれたムクイの腕をさすった。

「大丈夫?サウンドフォースの出撃がもう少し遅かったら危なかったんだよ。」

 サウンドフォースとはFire Bomberが民間協力隊としてバロータ軍、特にプロトデビルン戦対策として結成された部隊である。Fire Bomberの音楽によってプロトデビルンを撃退する事を期待されている。

「ああ・・・。悔しいけど感謝してるよ。」

 ミレーヌの歌声を響かせている音楽プレイヤー見つめながら答えた。ミレーヌはBATTLE7艦長であるマクシミリアン・ジーナスとCITY7市長であるミリア・ファリーナの娘である。マックスもミリアも元はエースパイロットであった。そして血筋なのかミレーヌのバルキリーの操縦技術は一般パイロットのそれより遙か上回っている。

 ムクイはさすっていたシャインの腕をとった。そして、その手を握りしめた。シャインの手の温もりはムクイが今生きているということを実感するには十分だった。ムクイはシャインの顔を見上げた。

 

 

(キスをしてしまいそうだ・・・)

(見つめ合ってたままでいる・・・)