ムクイは進路を左にとった。

「ぐわっ・・・。くそ・・・。」

 激しい衝撃と激痛がムクイを襲い、機体が火を噴いた。プロトデビルンの放ったエネルギー波により機体の右主翼を中心に大破した。数種の警告アナウンスと警報ランプが機体の被害の大きさを告げていた。

「G3、大丈夫か?」

「ぐっ・・・。」

(・・・左腕が・・・くそっ・・・とりあえずガウォークに・・・)

 ムクイ達が搭乗している戦闘機はバリアブルファイターと呼ばれる汎用型可変戦闘機である。戦闘機型のファイター形態、人型のバトロイド形態、そしてその中間のガウォーク形態の3つの顔を持っている。着地、地表面で高速移動などではガウォーク形態が最も得意とするところである。

「可変システムが・・・。」

「G3、G3?」

 警報ランプは機体のかなりの部分の破損を告げていた。それはバルキリーの生命線とまで言える可変システムも例外ではなかった。高価な汎用戦闘機もただの鉄の塊とかしていた。そして、VF−11Cはゆっくりと回転をしながら落下していった。

(脱出を・・・・)

 ムクイは緊急脱出システムのレバーを引いた。軽い衝撃と共にムクイはコクピットごと宙に投げ出された。そのまま、ムクイは意識を失ってしまった。

 

 ムクイが目を開くとそこはいつもの部屋ではなかった。部屋には消毒液の匂いがかすかに漂っていた。見回すと大きな天窓に正面の壁には森林が映し出されていた。机には音楽DISCとDISCプレイヤーが置いてあった。そこはCITY7にある病院であった。痛みをこらえながら上半身を起こして体を見ると左腕や足に包帯が巻かれていた。

(こんなときはFire Bomberの・・・

 

ミレーヌちゃんの歌声が俺を癒してくれるさ・・・)

バサラの歌声が俺を癒してくれるさ・・・)