未来になる

終章


 つらいことも悲しいことも、2人だから乗り越えられる。
 喜びも嬉しさも、2人だから分かち合える。
 同じ夢を見て、同じ時を過ごす。
 他に何を望む必要があるのだろうか。
 ただ互いを想い合う、その気持ちがあれば、全ては2人の未来になる。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 パタパタと小さな二つの足音が近づいてくる。
「母上! 見てください! たくさんの花をみつけました!」
「父さまぁ、兄さまが意地悪するのぉ」
「意地悪なんかしてないだろう」
「だってわたしが見つけたお花取ったもん」
「このカゴに一緒に入れたんだからいいじゃないか」
「ふーんだ。あのね、あのね、父さまには一番きれいなお花おみやげなの」
「あ、ずるいぞ! ボクだって母上にいっちばんきれいな花持って来たんだからな!」

 

 季節は薄紅色の花びらが開き始める頃。
 名立たる名木に負けず劣らずの桜の木がその庭にあった。
 あと少し時が経てば、枝の花は全て咲き開き見事な眺めとなるだろう。
 その桜よりも少しばかり早い春が小さな手によって届けられる。
 肩を抱き、寄り添う2人の目に映るしあわせ。
 楽しく響く声と笑顔。
 ふいに聞こえる鳥の声。
 比翼の奏でる鳴き声は、いつしか三羽四羽と増えてさらなる音色を響かせる。
 連唱する雅びやかな鳴き声に耳を傾ける。
 穏やかな時が繰り返される。
 いつまでも、未来に向かって−−−−−。

 

 第十八話                                       


<こぼれ話>

これで本当にお終いです。
最後にタイトルのお話。
『未来になる』は松たか子さん作詞作曲の曲から取りました。
これを聴いた時、ヒノエ君&望美ちゃんのイメージに重なりました。
機会がありましたら、この曲も聴いてみてくださいませ。

では、ここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました。

   

 

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