EARTH WATCHER 2002年5月27日  


 イギリス各地で焼却炉を占拠するなど、ごみ焼却の停止を求めてきた環境団体「グリーンピース・イギリス」から届いたビッグニュース。

英政府が全欧一の規模となるはずだったロンドンの焼却炉の拡張工事を不許可にしたというのです。
その陰には焼却炉による深刻な健康被害があり、これを機に「焼却中止の波」が一挙に広がるかもしれません。

財界の思惑に沿って3000以上の一廃焼却炉を高温化、巨大化しようとしている日本の政策は、単に間違っているだけではなく、犯罪的。

私たちも最優先課題としてごみ焼却の中止を強く求める必要があります。


英政府、ロンドンに建設予定だったヨーロッパ最大規模の焼却炉の建設を中止



イギリス全土の焼却炉計画にボディブローの歴史的決定

2002-05-23 グリーンピース・イギリスのニュースから(要約:山本節子)



山本節子(やまもと せつこ)氏略歴はこちらへ

文中の文字赤着色は砂川によります。

 
 グリーンピースはエドモントン焼却炉(北ロンドン)の大規模な拡張工事について、環境上の理由から不許可とした今日の政府の決定を歓迎する。

エドモントン炉は、この拡張工事によって家庭ごみ焼却炉としてはヨーロッパ一、世界でも最大級の規模になるはずだった。また新焼却炉はダイオキシンとその他の発ガン性化学物質の大気中への排出を増大させ、毎年、何千トンもの高濃度の汚染灰を生み出すところだった。

この不許可決定の理由は、法律で定められたリサイクル率の達成の妨げになるからというもので、他の焼却炉計画にとっても影響は大きい。また政府には、リサイクル率の高まりによってエドモントンに持ち込まれるごみが不足し、北ロンドン地域にごみを輸入することになるのではないかとの懸念もあった?これもまた他の焼却炉計画に重要な影響を与える要素である。

 エドモントン焼却炉はすでにイギリスで最大であり、グリーンピース、地球の友、焼却反対ロンドンッ子などの団体が、最大のターゲットにしていた。2000年10月にはグリーンピースのボランティアがエドモントンの100メートルの煙突を占拠し、丸4日、運転を止めている。しかし彼らは翌年6月、ロンドン裁判所で、すべての容疑について無罪という全員一致の表決を受けている。

グリーンピース焼却炉キャンペーンの責任者マーク ・ストラットは、政府は正しい決定を下したと述べている。この巨大焼却炉を止めることは、イギリス人の健康にとって、また環境にとっても吉報だ。エドモントンB炉の中止決定は、他のごみを燃す計画にも大きな影響を与え、全焼却産業へのボディブローである。

政府はついに、焼却は家庭ごみの恐ろしい処理方法であり、人々はこれらの汚染工場によって毒殺されるのを望んでいないのだ、というメッセージを受け止めたようだ。ロンドン市長もまた、それが彼自身のごみ戦略を失敗させることになりかねなかったため、健康を理由にこの拡張工事に強く反対していた。

エドモントンを囲むすべての地域は、浮遊状粒子物質と窒素酸化物が受容できないほど高く、Air Quality Management Zone に指定されていた。それらの物質の排出源がエドモントン焼却炉である。プラントを一部所有しているエンフィールド市さえ、拡張工事の必要は認められないと述べ、市議会は焼却炉の運転状況が劣悪なため、炉の所有者と住民の間で利害が衝突する可能性があると述べた。

全ての焼却炉は毎日、ダイオキシン (WHOが発ガン性を認めた)を排出する。政府はすでに、イギリス人の成人三人に一人は「安全」とされる量の最大値を超えるダイオキシンを摂取しており、赤ちゃんから幼児の半数以上はすでにこの安全値を越えていることを認めている。

人々はダイオキシン被曝リスクにさらされて焼却炉近くで生きている必要はない。これらの化学物質は環境中に何年も留まり、大気中を広く移動する。そしてダイオキシンは土壌や植物を汚染し、食物連鎖を通じで人体に蓄積してゆく。

政府は現在、イギリスの廃棄物政策の見直しを行っている。現在の政策は地方自治体にさらに多くの焼却炉を作るように奨励している。今のところ英国にはわずかに15の焼却炉しかないが、この数字は今後十年間で激増しかねない。そのような建設計画はダイオキシン汚染を全体的に増加させ、リサイクルすれば資源となるものを大量廃棄することになる。

現在ロンドンにおけるコンポストやリサイクル率は非常に低く、平均12%に過ぎない。50%以上のリサイクル率をほこる世界の他都市に比べて対照的で、カナダのエドモントン市ではリサイクル率は70%になる。ロンドンでエドモントン焼却炉を利用している七つの区におけるコンポストとリサイクル率は、Camden-8、Haringey-7、Waltham-6、Forest-6、Enfield-5、Islington-4、Barnet-4、 Hackney-4と、いずれもロンドン市内平均よりはるかに低い。

マーク・ストラットはこの巨大焼却炉の停止は大きな第一歩であり、政府はスワンジー、ベースンストーク、ポーツマス、サザンプトンなどの焼却炉の建設工事を直ちに中止し、その他の人の健康を害する焼却炉計画も全部キャンセルする必要があると述べている。グリーンピースは数回にわたり焼却炉管理者とロンドン行政区に対し、よりよいごみ処理の方法と焼却を止める戦略について書き送っている。 
 

(転送歓迎、詳しくはグリーンピース・イギリスのホームページからどうぞ)
http://greenpeace.uk.org
 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以 上 引 用 お わ り ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 

上記の原文記事があるページは以下です(砂川より)
http://www.greenpeace.org.uk/contentlookup.cfm?ucidparam=20020523111646&CFID=75262&CFTOKEN=65752419

下記は傑作・必見アニメーション特に左側の上段の矢印を押すと面白い(砂川より)
The Incinerator Tour: what the operators don't tell you