言わずと知られていないモンゴル・タカ、ここではその彼が登場する物語が
語られている。さあ、あなたもお気楽な世界へ。

読みながらツッこみをお勉強出来ます(笑)



謎のレスラー モンゴル・タカ 飛翔編


今日も彼の登場曲が流れる。
♪きょおりゅうが まちにやぁあてきた〜♪
いつもの曲だ。
 
『あ、「ごきげんよう」留守録すんの忘れてた〜!!今日ゲスト誰やったかなぁ』
しかしモンゴル・タカは“ライオンちゃん”のファンだ。
対戦相手もほったらかして家に電話する。
「えっと、…今日の晩メシなんやった?」
物忘れも甚だしい。
レッツゴー三匹の真ん中の人の名前が思い出せないように。
 
「よし、今日はやるで〜!」
登場曲が終わった。
「あら?」
「だから2番までかけとってゆーたのに…」
仕方なくモンゴル・タカは自分で曲を口ずさみながら登場した。
♪月曜日はうんじゃらげ、火曜日ははんじゃらげ♪
…変わってる。
くどいが夢路いとし・喜味こいしがどっちがお兄さんだったか思い出せないくらい
物忘れが甚だしい。
 
リングに着くと対戦相手が睨んでいた。今日の対戦相手は“ジョー小泉”風のヤツだ!
「お?こっち見とんな」
モンゴル・タカの頭に“共同募金の赤い羽根”が刺さっていたせいもある。しかもほぼ直角に。
ボランティア精神旺盛だ。
 
相手を気持ちを逆撫でるが如く戦い前のモンゴル・タカダンスが始まる。
と言ってもただのフラダンスだが。(指先が肝心なんやで〜!! モンゴル・タカ談)
傍らにウクレレを弾く高木ブーが目に浮かんだモンゴル・タカは一筋の涙を流していた。
なぜかは不明。知りたくもない。
 
相手はもうすでにやる気は失せて呆れている。
その油断した瞬間だった。
ゴングと共にモンゴル・タカの一瞬の早業が決まった。
“畳返し”。ちょっと柳生流。
…タタミ?どこに…
 
翻弄される対戦相手、すかさず次のワザへ。
“蝶のようにひたすら舞う、とっても舞う”。
ワケが分からない相手は自分を失いかけている。
そこでモンゴル・タカ、“舞い疲れ”。
…あら?
対戦相手の“おパンチ”がモンゴル・タカの足の小指をとらえた!しかも右!!
「はふぅ!」
モンゴル・タカ、痛いがどことなく笑っている。
タンス角ににぶつけた時にあまりの痛さに笑い出す時と同じだ。同じか?同じでいい。
 
調子に乗った相手は次の攻撃を仕掛けてきた!
あぶない!モンゴル・タカ!!
「よっ」
あ、普通によけた。しかもオジイが座って屁をする時に片尻を持ち上げる時と同じような声だ。
 
懲りずに“おパンチ”を繰り出す対戦相手。
モンゴル・タカは平然とよけている。その上タバコにも火をつけた。
「来年またタバコ値上がりすんのかなぁ」 ちょっと時事ネタ。
 
ここでモンゴル・タカ起死回生の必殺ワザ、“滝沢キィーーーック”完全無欠パクリ。
が相手の“ぼんのくぼ”に命中!! 
…どこ?
崩れる対戦相手、尻尾もピクついている。
…しっぽ?
言い忘れたが対戦相手はオス5才のカンガルー、名は“早田邦夫”生粋のオーストラリア生まれ。
好きな言葉は“オージービーフ”、好きな花は“食べちゃった”。
 
見事勝利したモンゴル・タカ。
明日はどこのリングに上がるのだろう。
彼はこう一言残して去っていった。
「“人間ロケット”ってあれは大砲に人間が入ってるねんから“人間弾”か“すっごい飛ばされる人”やろ」
 
モンゴル・タカ 飛翔編 完

次回は「謎のレスラー、モンゴル・タカ 誕生編風味」


 謎のレスラー モンゴル・タカ 誕生編に近いと思われるかもしんない外伝


 
その頃彼はまだモンゴル・タカをまだ名乗っていない。
 
あれは冷夏の暑い夜の事だった。
「アイスノン冷えてるかな〜」
今日の彼ゴキゲンだ。
それと言うのも近所で買ったペプシが3本連続で“もう一本”が出たからだ。
「♪アイスノ〜ン、アイスノ〜ン、ちゅわっ、ちゅわっ♪」
コーラス付き。もちろん自作。
 
パカッ、「…あら?」
アイスノンはなかった。
「なんでや〜! アイスクリーム製造機は冷えてんのに〜!」
使った事はない。
「くっそ〜、こうなったらアレしかないな。よし!」
お昼に買っておいた“551の豚まん”と大好きな“ニッキ水”を片手に部屋に戻る。
ちなみに彼は“カップヌードル5分派”だ。
 
「明日はみかん水にしよ」
さっきのアレとはなんなんだ。
「この豚まんの下の紙みたいなやつ、はがしにくいねんな」
「ニッキ水の飲み口ももっとおおきせんと」
だからアレって?
「腹もいっぱいやし、寝よ」
…もういい。
 
「ぬぁ〜っ、あっつ〜、寝られへん」
と寝言を言いながらレム睡眠に入った。
 
ジリリリリリーン!
彼は隣の家の目覚ましで起こされた。
うっすい壁だな。
耳を澄ますと
「フーフー、フッフー、フーフー、フッフー」
とハトが鳴いている。しばらく聞き入ってしまう。
 
彼が目を覚ますと天井の“ジャッキー・チェン”が微笑んでいた。
幻覚だった。
「はぁ、2代目引田天功とラブラブやったのに…」
正解:イリュージョンつながり。
V字腹筋で起きあがると素早く着替えを終え、タケコプターを頭につける。
「今日はドラミちゃん風味やな」
 
早速バイトに出かける。
今日のバイトはウルトラマンショーの怪獣役だ。
役名は「キング・ジョー」。
「メフィラス星人でもよかったんやけど、こっちの方が光ってるし」
光り物が好きらしい。
とにかく、ショーが始まった。
 
しかし彼の場合、台本通りに行くはずもない。
「とわ〜〜っ!」、「シャキ〜ン!」←ポーズの時のかけ声らしい。
ウルトラセブンに跳び蹴りを喰らわせるは、勝手にポーズをつけるは大騒ぎさ。
たまらずその内の1人が
「チョコボールの“金のエンゼル”やるから」と言うと
「“銀”なら5枚やぞ!」と返し
やっつけられた。
 
24時間のウルトラマンラショーも終わり。
子供達との撮影会になった。
人気者は当然ウルトラマン、子供達がいっぱいだ。
「せやけど結構疲れるんや、こっちは楽やけど」
人気薄の怪獣たちはそこらで座ったり子供に集団でしばかれている。
 
その時、「しゃしん、いっしょにとってください」と子供の声、
突然の事で
「ボク、大山のぶ代〜」
とドラえもんの声で言ってしまった。
「マニアックすぎるよ〜」
と子供の方も負けてはいないようだ。
 
「はっはっは、今日は気分がいい。大サービスや〜」と
勢いよく火を吹いた。
“ごぉー”
なぜ火を吹けるかは謎だ。
子供の髪の毛は“博士コント”の爆破オチのようになっていた。
 
「やった〜!」
なぜか子供は喜んでいる。
「ふっ、パンチの効いた子供だぜ」
お前はいつもパンチを受けているようだぞ。
その少年は数十年後「メリージェーン」をヒットさせた。
 
こうして彼は“モンゴル・タカ”を名乗ることになった。
なぜかわからない? それが“モンゴル・タカ”なのだよ。
 
今日も彼の歌声が聞こえる。
♪いっぽんで〜も にんじん、にそくで〜も さんだる ふぁんふぉーへーも ほはほは♪
うるおぼえらしい。
 
謎のレスラー、モンゴル・タカ 誕生編に近いと思われるかもしんない外伝 完


謎のレスラー、モンゴル・タカ 新春激闘編
 
各地で連戦のモンゴル・タカ、傷つき、疲れた体をはもう限界にきていた。
ふと気付くと世間はお正月ムードで大騒ぎ、小騒ぎ。
 
「この間まで大黒さんみたいな袋さげた変なじいさんうろついとったと思たら
 今度はもうすぐ“えべっさん”やな」
 
サンタクロースは知らないが“えべっさん”は知っているらしい。
 
「ん? なんや」
 
何? あ、新聞を見たらしい。
 
「2000年問題?」
 
おぉ、久々時事ネタ。
 
「3択か?」
 
竹下景子に3000点。 …ノッってしまった。
 
「まあ、オレの“滝沢キック”1発やな」
 
そう言う問題ではない。まだパクッてるし。
 
「あ、そや、忘れてた。注連飾りつけなあかん」
 
ほぉ、そんな漢字書くんやね。
 
「♪し、し、しぃ〜、しめかざり〜、でゅ、でゅ、でゅわ♪」
 
また始まった。作詞作曲コーラス付き。
機嫌良く歌いながら飾り付けている様子。
 
「よっしゃ〜これでええ、たのむでチョーさん」
 
額に『飛べ!孫悟空』の時に使っていた“いかりや長介の三蔵法師”の
人形を付けている。しかも結構でかい。いや、でかい。うわっでかっ。
 
「これで出逢う人みんなが『うぃ〜っす』て言うはずや」
 
…さみしいのか?
とりあえず表に出てみるが頭のチョーさんがでかすぎて出られない。
苦労の末やっと出られたがコサックダンスを踊るが如くの格好で元気良く
時速30kmで出ていった。原付の法定速度だ。きっと1人乗り。
 
「おりゃ〜!回し蹴りぃ〜(ホントはパンチ)、二段蹴りぃ〜(ホントは全速力逃避)」
「ふふっ、参ったかニセ獅子舞め!」
 
きっと本物だろうに。しかも逃げてる。
 
「ふぅ、いい年になりそうだ」
 
そうだろうよ。
 
こうして新年最初の格闘はモンゴル・タカ本人の圧倒的な思いこみで勝利したようだ。
もう、そうしておく。
 
家に帰って門松で一杯、竹の風味が味わい深さをかもしだしている。
 
「松がジャマやな」
 
“ぶちっ”
 
「たのしー♪」
 
酔っているようだ。
 
“ぶちっ”、“ぶちっ”、“ぶちっ”、“ぶちっ”
 
明らかに酔っている。
 
「ふぉ、ふぉ、ふぉ♪」
 
泥酔な上、バルタン風味が入ってる。
 
“ぶっちぃ〜ん”
 
え?
 
“ブゥン”
 
そこらあたり一帯の電気が消えた。
どうやら送電線を切ったようだ。
 
「むふぅん♪」
 
と言い残しのび太くんのように3秒で寝る体勢についた。
 
こうして世間を騒がせた2000年問題は“彼”によって引き起こされた。
真実を知るモノはいない。いたら小さくチョップ。あ、チョップ、チョップ、チョップ。
 
「雑巾は横しぼりより縦しぼりやでぇ」
 
と大掃除の時におかんに注意されるような寝言を言いつつ爆睡する彼の精神力は
バビル2世より300ドン価値があるらしい。バベルの塔に住んでいるのにバビルなの?と言う小さな疑問はさておく。
注:1ドンとは1ロデム=120ぬりかべで換算
 
 
次回、謎のレスラー、モンゴル・タカ 本当に激闘編なん。お楽しみにしないで。


謎のレスラー、モンゴル・タカ 「君はシンボリルドルフさ」編


 
会場は大歓声に包まれていた。観客は超満員、1部超熱狂的なモンゴル・タカファンと
太田裕美ファンでいっぱいだ。
 
控え室で出番を待つモンゴル・タカはレスラー同士で神妙な面もちで話をしていた。
 
モンゴル・タカ「どうした? チャルメラ星人」
 
銀色伯爵「それ、前のキャラだよ」
 
モ「あぁ、そうやったな。で?」
 
銀「いや最近、腰に違和感があってアルゼンチン・バックブリーカーが出来ないんだよ」
 
モ「ん?違和感?」
 
銀「あぁ、変な違和感なんだよなぁ」
 
モ「大橋巨泉が出てるCMのCGくらい違和感があるんか」
 
銀「いや、ドリフ大爆笑のオープニングくらいの違和感なんだよ」
 
モ「そ、それは危険や。今日からカナディアン・バックブリーカーにせな」
 
銀「どこか違うのか?」
 
モ「まったく違うやん。サプリとポストウォーターくらい違うやん」
 
銀「…そうなのか」
 
モ「昨日わかったんや」
 
銀「さすが、タカさん。股関節が柔らかいワケだ」
 
モ・銀「はっ、はっ、はっ、」
 
周りのレスラー達にはとうてい理解できない会話のあと、先に試合のある銀色伯爵が出ていった。
 
銀「それじゃ、お先勉強させて頂きます」
 
モ「またかしこなってしまうなぁ、チャルメラ」
 
銀「…だから、銀色伯爵だってば」
 
カーン!
 
銀色伯爵の試合が始まった。控え室でモニターを観ているモンゴル・タカ
 
モ「よっしゃ、3−4で決まりや」
 
…グリーンチャンネルみたいだ。
 
一方、試合は 銀色伯爵の苦戦が続いていた。
 
銀「こうなったら、タカさんのアドバイス通りカナディアン・バックブリーカーで決めよう」
 
と銀色伯爵がその体制になった時だった。
 
銀「…横を縦にしただけじゃないかぁ」
 
気付いてしまった。とても気付いてしまった。
サプリとポストウォーターがカローラとスプリンターくらい似ている事に。
 
銀「岡田真澄とE.H.エリックくらい似ていたのか〜」
 
一瞬にして忘れていた腰の違和感が戻ってきた銀色伯爵はそのままくるりと丸め込まれ
3カウント。
 
肩を落として控え室のドアを開けると
 
モ「ほら来たーっ、2−6。な、買うてへん」
 
…最後までグリーンチャンネルだったようだ。
 
銀「…おれ、引退しようかな」
 
モ「あかん、まだまだ。君はシンボリルドルフなんやから」
 
銀「シンボリルドルフ?」
 
モ「オレはゴールドシチーやけどな」
 
と一言だけ言い残してリングへ向かっていった。
 
外では白いハトが何回も何回も「ふぼぼぼぼぼ」と言いながら空を回っていた。
 
モンゴル・タカ、彼の周りには気さくな友達がいっぱいだ。
だが彼に心を許した者はいない。唯一、彼を除いては…
 
謎のレスラー、モンゴル・タカ 「君はシンボリルドルフさ」編 完
 
次回、謎のレスラー、モンゴル・タカ 友よ…編 お楽しみにかい?


謎のレスラー、モンゴル・タカ 友よ…編
 
今日のメインイベントは再びベルトを掛けた試合になった。
知らない間にチャンピオンのモンゴル・タカ、
挑戦者は泣く子も黙る正義の仮面、“なま・ザ・はげ”だ。
 
まずは挑戦者の入場。
セコンドはパンチョ伊東風、曲はキダ・タロー風、歌はムッシュかまやつ風となぎら健壱風と言う
どこか意味深ではあるが、わかりやすい面々だ。
 
さっそうと登場する“なま・ザ・はげ”
「ナクコハイナイカ〜、ナクコハイナイカ〜」となぜかカタコトだった。
 
1部熱狂的大人気のモンゴル・タカファンの声援と共に彼の入場が始まる。
ロープの1番上にさっと飛び乗り満面の笑顔で声援に答える。
が、両手はロープを握ったままで立てないらしい。
 
そして両選手のコール。
「挑戦者〜、40貫〜、海を渡ってやって来たカンジ〜、“なま・ザ・はげ”〜」
声援が飛ぶ「やれ〜やれ〜!」「負けんな〜っ!」「ほろっほ〜っ!!」
…ほろっほ?ハト?
 
「チャンピオン〜、りんご482個2分の1〜、テレビっ子“モンゴル・タカ”〜!!」
「モ〜ン〜ッ!」「ゴルリン〜ッ!」「はじめ〜っ!!」
…は、はじめ?本名?
 
紙テープと共に多数のトマトが投げ入れられる。いつもの行事だ。
誰が始めたか熟れていないトマトを投げるのがお約束になっているようだ。
「ガンガン来い、もっと来い〜、ハハハ」モンゴル・タカは慣れている。
「OH〜、ナンデスカ〜、ワカラナイ〜、イタイデス〜」“なま・ザ・はげ”は
やはり驚いている。なんとか急所は避けてはいるようだが痛そうだ。
 
10分後ようやく会場が収まった時には“なま・ザ・はげ”はボロボロに近い状態に
なっていた。なるほど、このためにモンゴル・タカが仕掛けていたのだ。
ゴングが鳴った途端に一気に攻め込むと言う卑怯、ずるい、いや頭脳作戦だったのだ。
憎さ余って、かわいさ百倍、トーテムポールのような笑顔を浮かべている。
しかし、頭脳作戦? 嫌な予感がしないでもない…
 
カーン! ゴングが鳴った。
モンゴル・タカ、立ったまま…気絶していた。彼の予想には自分も当たると言う考えは無かったらしい。
それでもファイティングポーズはとっている。どこまでも、どこまでもなヤツだ。
 
“なま・ザ・はげ”はワケが分からないまま、「トクダワラ〜!」と叫びながら攻撃してきた。
危うしモンゴル・タカ! ちょっとドキドキ。おさつドキッ!はちょっとかたいゾ。
「やばっ!乗り遅れる!」と言って目を覚ました彼は強烈な回し蹴りを鼻っ柱にヒットさせた。
しかもただの回し蹴りではない。こういう風に回すのだ。ね。すご〜い。
「『ジリリリリーン!』と懐かしいシベリア鉄道の発車ベルが鳴って目覚めた」
と彼は言う。もちろん乗った事など無い。
 
これで形勢は一気に逆転したかに見えたが、“なま・ザ・はげ”の鼻は仮面で保護されていて
油汚れに強く、水を弾き、お手入れも簡単、でも痛い。
痛さのあまり「ヤマカケゴハンッテ、ドコノヤマ?」
とリングサイドのパンチョ伊東風に聞いている。
 
「イッパツハ、イッパツナ」と子供のケンカのような反撃をする“なま・ザ・はげ”。
同じような回し蹴りをモンゴル・タカの鼻っ柱に叩き込む。
しかしそこはモンゴル・タカ、彼の作戦があった。
「これでどうや」
おもむろに取り出した小さい小道具、“コント用のつけ鼻(大人用)”。
これをさっとレフリーの鼻に付けた。
「前から気になっとったんや。この方がウケがええで。」
なんてレフリー思いなモンゴル・タカ。
自分に付けるのは試合後に予定している宴会時なのだ。
 
やはりこの行動が失敗だった。見事“なま・ザ・はげ”の回し蹴りが当たってしまった。
「ぎゃふん!」
今まで言った事はあるが、聞いたことの無い悲鳴だった。
観客から「初めて“ぎゃふん”って聞いたよ〜」と言う声も出ているくらいだ。
 
モンゴル・タカの鼻からは見事に鼻血が出て来たしかも“ツーッ”っていう感じに2本、
まるでバカボンのパパか、2丁目の佐々木さんのようだ。
「こら〜、何見とんねん」
お、モンゴル・タカが怒ったようだ。
「ここ、トントンやって、ここ。早よ。」
頭の後ろを挑戦者に指差す。
「ヒッシュ(ティッシュ)、ヒッシュ(ティッシュ)」
 
どうやら、試合が中断しそうだ。
「なぁ、自分(お前)あかんで、そんなんやったら」
“なま・ザ・はげ”が正座して、リング上で説教が始まっている。
 
モ「もまえ(お前)、にょにく(魚肉)ソーセーニ(ソーセージ)と鷲尾いさ子、どっちが好きや?」
注:ティッシュを鼻につめたまま。
な「…ウドンジン、ドンベエ」
 
モ「ふっ、もうお前に教えることはない」
注:ティッシュ取れた。
え?おわり?
 
モ「さあ、試合続行や!」
 
な「サム・トワ・マ・ミー!(仏)」
 
瞬きする程の短いモンゴル・タカの説教は終わったようだが、どうやら“なま・ザ・はげ”には
日本語が通じていないように思える。
が、それはいつも彼が使う手だ。どっちかと言えば右手。
 
試合は続きモンゴル・タカのロンドン・ブリッジ攻撃、“なま・ザ・はげ”のきりたんぽの湯気攻撃と
相手にダメージを与えない攻撃で両者1歩も譲らない試合になってきた。
 
客からのヤジも飛んでいる。
「384253! 2つ下げて!」
カラオケ?
 
「福井さん、今エビに取りかかりました」
鉄人来てるの?
 
「まだ大銀杏結えないんだよ〜」
雅山?
 
「カイヤ、キャラ気にしすぎだぞ〜」
川崎さん?
 
「そ〜なんですよ」
おさむちゃん? 古っ。
 
モ「いつも心にしみる声援、くるぶしに響くぜ3日ほど」
 
どういう回路なんだろう、この人は。
 
モ「これでどうじゃ〜、ローラースルーゴーゴーで鍛えたマシンガンキック!」
 
後ろに蹴ってる。なぜか“なま・ザ・はげ”が苦しんでいる。
あ、よく見ると反対の足で“なま・ザ・はげ”の足の小指を踏んでいる。
しかも微妙にグリグリしている。やはり卑怯、いや頭脳的だ。
 
このワザにはさすがの“なま・ザ・はげ”も効いたらしく
「1ニチ、エンタイ。1ニチ、エンタイ」と苦悶の表情。
「悪魔の毒々モンスター」借りている。
 
モ「これで決まりや、すかんぴんウォーク蹴りぃ〜!!」
同時上映「ボビーに首ったけ程度」。
 
しかし、“なま・ザ・はげ”には立ち上がる根性と跳ね返す愛の水中花は無かった。
見事なフォール勝ち。
 
観客も総立ちの大歓声、ついには「木綿のハンカチーフ」の大合唱、会場は1つになった。
こうして終始自分のペースに巻き込み、見事チャンピオンの座を守ったモンゴル・タカ、
後のインタビューで彼はこう答えていた。
 
「アイツは友と呼べるにふさわしいヤツや、強かったなぁ、ねぶたマン」
相変わらずの物忘れの激しさ。
 
ここでもう1度言っておくが、細川たかしの♪私バカよね〜、おバカさんよね〜♪と言う歌の
題名が思い出せないくらい物忘れがはなはだしいのだ。
 
「2リットル入りのウーロン茶より、180mlの缶入りの方が濃いって最近知ったんや…」
と悲しそうな目をしながら“続・のほほん茶”をすすっていた彼の後ろ姿はまるで
映画版ドラえもんのジャイアンのように見えたという。
 
謎のレスラー、モンゴル・タカ 友よ…編 完
 
次回、謎のレスラー、モンゴル・タカ 修行編 お楽しみに、やろか?


謎のレスラー、モンゴル・タカ 修行・めぐりあい山編
 
連日試合が続くモンゴル・タカ、今日もとある駐車場の特設リングで試合を終え
とびっきりの笑顔で控室に戻ってきた。
「う〜ん、最近右腕の調子が悪い」
今までの笑顔は隣の町へ、ソーダアイスがうまく半分に割れない時のような落ち込んだ
表情を浮かべながらモンゴル・タカはこう言って奇面組のように立ち上がった。
 
「こうなったらもう1回鍛えなおしニョロ!!」
いつ流行ったか、どこで憶えたか(いや、憶えてるはずはない)わからないキャラ語で
決意を新たに山へ向かった。
なぜ山なのかと聞くと
「修行って山っぽいやん♪」とUFOの振り付きで言われた。なぜかくやしい。
 
わずかな食料と背負い、右手にはニッキ水、左手にはなぜか「家出のドリッピー」が握られていた。
リュックの中にはチョコベビーとはじけるキャンディドンパッチ、そしてケンちゃんラーメン新発売が
入っていたが途中道でお腹を空かしたタスマニアデビルに出くわしケンちゃんラーメン新発売は
見事に食べられてしまった。困ったモンゴル・タカは「ミツコ〜、ミツコ〜」と似てないA・猪木の
物まねで自分の気持ちを抑えようとしたが、そこはひまわりナッツ、粒が小さすぎたのだろう。
 
気を取り直す暇もなくモンゴル・タカの目の前に現れたのは白〜い顔のメイクをした
“たれてないおパンダ”だった。じゃあ普通のパンダでいいだろうと思うがどっこい白いんだぞ。
 
謎パ「松坂はええね、兄ちゃんそう思えへんか?」
モ「米沢も捨てがたいけど」
謎パ「肉やないわ!人間や!」
モ「あ?巨乳の?」
謎パ「そら松坂季美子、AVやないかい!しかもだいぶ古いぞ」(祝・初18禁ネタ)
モ「復活しましたよね、浅倉舞」
謎パ「おぉ、そうそう…ってちゃうわい! 今、松坂ゆーたら西武のピッチャーやろが!」 
モ「え?そうなん」
謎パ「知らんのか、兄ちゃん変わっとるな、TV見なあかんで」
モ「映るのは好きなんやけど…」
謎パ「観てないんかいな、野球は」
モ「梨田のこんにゃく打法なら知ってますけど」
謎パ「今、監督やっとるで」
モ「え?こんにゃくが?」
梨田はどこへやら…
モ「それはそうとここらへんでええ修行場ありませんかね?」
謎パ「修行?そうやなぁ、山1つ超えたあたりに『3日で取得、激早修行所場別館』があるけどなぁ」
モ「ほんますか!行ってみますわ」
謎パ「気ぃつけてな」
モ「ありがとうございますぅ」
モンゴル・タカは一路その『3日で取得、激早修行所場別館』を目指し歩き始めた。
何を取得できるか確かめもせず…
謎パ「ふっ、大きくなったな…、しかしこれからや、ほんまの○▲×●なのは・・・」
何やろう…。
 
珍しく道に迷わず 謎のおパンダに言われたように修行場についたモンゴル・タカ、
しかしそれらしいものはなく、『ここでいい?』と 書かれた 看板があるだけだった。
モ「おかしいなぁ、ここでおうてるはずやのに…」
すると突然、1人の3人に見える男が飛び出してきた。
しかも横ではなく、縦に3人に見えるのでわかりづらいのだ。
 
謎の男「お前か、修行をしたいと言う男は」
ちょっと和音に聞こえる。3人だから!?
 
モ「いえ、違います。下駄の鼻緒が切れてしまって…」
あまりの突然の事にモンゴル・タカはそう答えてしまった。
謎の男「下駄? …履いてないだろうが」
モ「あ、あの、気持ち的に…」
謎の男「・・・・(なんだこの男は、こんなヤツ初めてだ…)」
モ「本当はここで修行をしたいと思ってます。白いおパンダさんに聞いてきました」
謎の男「なに?白いパンダ?(奴が認めたと言う訳か)…まぁいい」
何で?
謎の男「で、何の修行をするつもりなんだ」
モ「・・・・何でしょう」
さんざん書いているが、モンゴル・タカは
『小さい秋』を歌う時、♪小さい秋、小さい秋、小さい秋みつけたぁ〜♪と
歌い始めるつもりが歌い終わってしまうくらいに物忘れがはなはだしいのだ。
 
モ「とりあえず、ブルース・ブラザーズみたいなカンジで」
謎の男「(ぶる…ぶら?! 何なんだ、それは…知らんぞ)なるほど、奴のようにか」
この男も相当なもんだな。
 
こうして謎の男とモンゴル・タカの修行が始まった…らしい。
あの謎の白パンダは一体!?、そしてこの男は本当にモンゴル・タカの味方なのか、
それとも・・・!? 
 
次回、謎のレスラー、モンゴル・タカ 修行・二人でお酒を編 お楽しみに。


謎のレスラー、モンゴル・タカ 修行・二人でお酒を編
 
謎の男との修行も早2週間を過ぎようとしていた。
「そこは右! いや、そこは左じゃ! …まだまだじゃな」
2人はギャラクシアンの17面目は越えられずにいた。
 
「いいか、強くなりたかったら、まず指を鍛えろ!」
その言葉と共に謎の男が持ってきたのはツインファミコンだった。
「こんな事ではフラフープもろくに回わせんぞ!」
この謎の男もすでにモンゴル・タカの影響を受けているのか・・・・
言い忘れていたがこの謎の男、昔は16連射で名を知れた男だったようだ。
 
モ「ねぇ、山根師匠」
謎の男「山根師匠?」
モ「名前わからないんで僕が付けました。チャンバラトリオのリーダーから頂いたんですが」
謎の男「馬鹿もん! ワシにはきちんとした“ジェニー”と言うビューチフルネームがあるんじゃ」
モ「山根師匠はいい。かっこいいですよ」
山根師匠(ジェニー)「じゃあ、別にそれでも構わんが・・」
この人もやっぱりおかしい…
 
山根師匠(ジェニー)「いいか、お前はあの“白パンダ”が認めた男じゃ、中途半端な事は出来ん」
モ「その“白パンダ”って何者なんですか?」
山根師匠(ジェニー)「今は言えんが、いつかわかる日が来るじゃろうて」
モ「そんなん言うのはこの口か!」
モンゴル・タカは山根師匠(ジェニー)の口を思いっきりつまんだ。
山根師匠(ジェニー)「ふぁにほふるんひゃ!(何をするんじゃ)」
モ「あかん、ゆえ、ゆうんや、あの“白パンダ”は誰や! 誰が中に入っとんねん!」
山根師匠(ジェニー)「(どきっ!)ふぁふぁふぃ?(中に)」
モ「そや、あんなもん4000年の歴史で見た事ないぞ!」
山根師匠(ジェニー)「ふぁれほふぁふぁにふぁふぉふぁふぃっふぇふぁい」*
モ「なんやようわからんぞ」
お前がやってるんだ。
*ここでクイズです。山根師匠(ジェニー)は何と言ったのでしょうか。
スロットスタート! ストップ! はい! よこどり40萬
 
ようやく解放された山根師匠(ジェニー)。
「じゃから、あれは本物じゃよ。」
居るの?
モ「そうか、まぁええわ」
ええんかえ!
 
山根師匠(ジェニー)「今日のところは寝るとしよう。明日からはまた修行の毎日じゃ」
モ「えーっ、またですかぁ」
山根師匠(ジェニー)「はっはっは、あたりまえじゃ、
           教習で言うとまだ2段階の見極めも終わってらんて」
モ「うわっ、うっそん、ほ、ほんまに?」
これでわかる方がおかしい。
 
山根師匠(ジェニー)「あぁ、そうじゃ。わんこそばで言うと12〜3杯。」
モ「う〜ん。それやったらもっと頑張らんとあかんなぁ・・・なぁ!(ふつお風)」
 
夜中3時過ぎの訳わからない2人の会話はここでひとまず終了、自家製こんにゃくで作った
抱き枕を仲良く半分ずつ分け合いながら眠ったそうな・・・
 
ジリリリリリリリーーーーーンッ!! 5時55分!!
と、めざましテレビのオープニングで目覚めた2人は素早いガッチャマン的動きで歯を磨き、顔を洗い、
朝食の支度を始めた。ん〜、ベルクカッツェ。
モ「最近、“米を洗う”なんていいますけど、米はやっぱり“研ぐ”ですよねぇ」
山(ジ)「いや、最近は精米技術がいいもんで“洗う”に近いかもしれんぞ」
モ「城の2ゴール見ましたぁ、すごかったですよね〜」
話題かえやがったな。
(ところでさっきのクイズ、なんとか読もうとした人、ひっかかりましたね。
あれはいい加減に書いたモノ、答えなんてございません。声を出して読んだあなた、いい人だぁ)
 
朝食の用意も出来上がり「おはスタ」を観ながら今日の予定を話していた。
山(ジ)「今日は一歩先へ進もうと思うんじゃが、どうだろう?」
モ「やった〜ま〜ん! やったーきーんぐ!(ものまね)どすーん!がははははは!」
山(ジ)「そおれ、おしおきだべ〜〜(ものまね)」
モ「さすが師匠! おみそ汁ございます」
山(ジ)「んん、よろしい」
 
まぶしい木漏れ日の中、更に上のワザを会得するためモンゴル・タカの修行が始まった。
山(ジ)「今日からワシの奥義である“分身の術”を憶えてもらう」
モ「“分身の術”ですか?」
山(ジ)「そうじゃ、自分の体をいくつかに見せて相手を惑わしスキを作らせ、
     そこを攻めるという大技じゃ、お前と出会った時も使っておったがのぉ」
モ「やっぱりそうでしたか、目のかすみかと思って“すまいる40”探しましたよ」
山(ジ)「ワシはドラゴンボールの“こどもそふと”派じゃ、ケース付きじゃぞ」
モ「師匠、片付けますよ」
山(ジ)「…冷たいのぉ」
 
片づけも終え、アンパンマンの再放送が始まるまで修行の時間となった。
モ「はなまるの“クイズママダス”観たかったなぁ・・・」
ジタバタする暇もなく世紀末…じゃない、修行が始まった。
 
山(ジ)「まずは精神統一からじゃ、そして次は分身するイメージを頭に浮かべ気を貯める
     そして一気に気を放つと・・・はぁっ! ブイーン」
ブイーン! ?
モ「あ、3人に見える!・・・・けど横に3人じゃなくて縦に3人じゃ意味な〜いじゃん」
山(ジ)「そんな贅沢言っちゃあ、ダメ、ダメ」(byダメダメボーイズ)
チャーシュー、長州、皆の衆!!(by村上ショージさん)
モ「…ま、ええわ。やってみよ。えーっと、イメージを統一して精神を分身させ、頭を一気に放つ!」
もう何回目になるだろう。モンゴル・タカは物忘れがはなはだしいのだ。
今朝めくった日めくりのカレンダーを夜もめくってしまいセロハンテープで貼るくらい
物忘れがはなはだしいのだ。
 
プイーン
 
今度は“プイーン”!?
モンゴル・タカの周りを 小さいモンゴル・タカが無数に飛び回っている。
これはこれで不気味だしうっといしいが、失敗は失敗。
 
モ「やったー!出来た、出来た!」
おいおい。
山(ジ)「見事じゃ」
お前もかえ!
 
2人は池で2人乗りの足こぎボートを漕ぐロッコツマニアような笑顔で喜んでいる。
こうして不気味でうっとおしいモンゴル・タカの新必殺技“モンゴル天使”が完成したのである。
 
山(ジ)「よし、祝杯じゃあ!」
モ「おっけぇ!」
2人+分身2人+小さいモンゴル・タカ無数の宴会は朝まで続いた。
♪うらみぃっこなあしで、わっかれましょうねぇ〜
 ふぁらふぁふぉふっへへほへろへろほへら♪
うるおぼえなら歌うんじゃない。
 
山(ジ)「じゃが、お前も世界を見ないといかんじゃろうな」
モ「え?せかい…ですか?」
山(ジ)「そうじゃ、アメリカにでも行けばもっと強くなるじゃろう」
モ「アメリカかぁ…」
 
謎のレスラー、モンゴル・タカ 修行・二人でお酒を編 完
 
次回、謎のレスラー、モンゴル・タカ アメリカ上陸!?編 お楽しみに!!


謎のレスラー、モンゴル・タカ アメリカ上陸!?編(第8話)
 
山根師匠ことジェニーにアメリカ行きを勧められたモンゴル・タカ。
しかし彼は悩んでいた。
と言うのも“アメリカ”と言う所がどこにあるのかわからないのだった。
 
師匠に聞いても「まずは西を目指せばいいじゃろう」と
言うだけで何も教えてくれなかった。
まぁ、聞いてもすぐに忘れるんだが。
どれくらい忘れやすいかと言うと、…今日は言わない。
 
モ「西かぁ・・・、マンモス西ならわかるんやけどなぁ」
真っ白な灰にしてやろうか。
 
モ「しかし西って言う事は、お日さんの沈む方向ちゅうこっちゃな、
  正確な方向がわからんと迷ってまうし、あ!そうや!」
よからぬ考えが浮かんだらしい。
 
ガサゴソ、ガサゴソ・・・・
何か探してるみたい。
 
モ「あ、あった!これでOKや!もうこれで方向に迷うことはないやろ」
なに?
 
モ「♪ふふん、ふふふん、ふふふふふん♪」
ごきげんだ。
 
ペト、ペト、ペト、ペト・・・
ぺと? 何か貼ってる…音?
 
モ「じゃーん!かんせ〜い!」
…どうやらエレキバンを頭のあたりに集中的に貼っている。
 
モ「これで北がすぐわかるはずや、あったまいい〜」
…頭にはきっと良くない。(良い子はまねしちゃダメ)
 
モ「よし、早速“水魚のポーズ”!」
“ゲームセンターあらし”か君は。
 
モ「ムムッ、こっちの方角やな、待っとれアメリカ!」
颯爽と飛び出すモンゴル・タカ、しかしすぐに引き返す。
 
モ「あぶな〜、勢いで行ってしまうとこやったわ、食料持っていかんとな」
そう言うと彼はマジソンスクウェアガーデンのカバンにいろいろと詰め始めた。
 
モ「まず食べるもんがないとな、腐ったらあかんから乾きもんがええやろ
  干し椎茸やろ、ひじき、するめ、切り干し大根、ふえるわかめちゃんと・・・」
何をどこで調理するんだ。
 
モ「まぁ、こんなもんやろ。アメリカくらい“あっ”ちゅう間やで」
 
こうして決意も新たにアメリカ大陸を目指す事になったモンゴル・タカ、
モ「あ、魚屋に寄っていかなあかん」
え? 魚屋? 何買うの?
 
モ「おっちゃん、これもらって行くで」
魚屋「あぁ、そんなんで良かったら持って行き」
モ「これで何もかもOKやな」
なに? なんやろ?
 
なにやら魚屋さんでもらった物を片手に“アメフト走り”で西へ向かった。
目の前に広がるのは太平洋、近くの飛行場から飛行機が飛んでいく。
 
モ「あれはアメリカへ行くんやろうか」
…ん!?待てよ、パスポート持ってたっけ?
 
モ「よっしゃ〜!行くで〜!! とぉ!(ザブ〜ン!)」
ザブーンて、まさか!
 
モ「ぷはー、行くぞ相棒!」
…あれはさっき魚屋でもらった発砲スチロールのフタ。
ビート板の代わりにしようってか! しかもバタ足じゃないか!
 
モ「おう!ええカンジやないか!」
 「よし!お前に名前を付けたろ。“iボード”や」
マジックできゅ、きゅと書いている。
裏には“モンゴル・タカの!”としっかり書いていた。
 
バタ足する事2時間。
異変が起こった!
モンゴル・タカの背負ったカバンが異様にふくれ始めたのだ。
“ふえるワカメちゃん”が増え始めたのだ!
しかも微妙に干し椎茸、ひじき、するめ、切り干し大根も戻り始めたみたいだ。
 
モ「なんや、なんや! ふくれっ面やな、何怒ってんねん」
少しずつ沈んでいるのも気付かずにバタ足は快調だ。
こういった時にでも事の状態を把握出来ていないと言うか、把握しないというのが
モンゴル・タカなのだ! と思う。ポジティブだ。
 
見る見るうちに膨れ上がるマジソンスクウェアガーデン(以下MSGに省略)のカバン。
今にも裂けてしまいそう。
 
「あら、なんだ?変なもんが浮いとるぞ」近くを通りがかった漁船がモンゴル・タカを発見した。
「ゴローさん、見てみな。」
双眼鏡を渡す。
「・・・ん?なんだありゃ」
八島五郎46才、初めて見る生き物だ。
 
これでもかと思うくらいに膨れ上がったMSGのカバンと白い発泡スチロールの板、
それにスゴイ勢いでバタ足をするその姿と時折プ〜ンと漂う椎茸の香り。
新種の生物だと直感した五郎は
 
「安、銛持ってこい。とっ捕まえてやる!」
危うしモンゴル・タカ!
 
モ「急に背中が重くなったと思たらこいつらかぁ」
たった今気付いたらしい。
既に2リットル以上海水を飲んでからの事だった。
 
五「覚悟せいや〜!」
銛をかざして突進してくる。
モ「おっ!こんなとこまで来てサイン責めかいな、まいったなぁ」
一回刺されてしまえ。
 
モ「こんな時にはさっき思いついた必殺技、“鳴門名物、うず潮ターン”!」
どこにターンするんだ。
モ「さらにターン! そしてターン! ターン&ターン!」
 
しかし期待とは裏腹に竜巻のようなスゴイ状態になってしまった。
1番驚いているのはモンゴル・タカなのだが。
 
突然起こった竜巻に漁船はなす術もなく遠くへ飛ばされてしまった。
数日後、この海域で“謎の海生物現る”の情報が飛び交っていた。
 
そしてその頃飛ばされてしまった八島五郎は
五「見てろ、ジャクリーヌ・・・いつか倒してやる!」
知らないところで勝手につけられた名前で狙われるモンゴル・タカであった。
 
バタ足28日目。
♪星の降る夜は〜あなたと二人で〜♪
“鯉のぼり”のメロディで歌うモンゴル・タカ。
なんか気持ち悪い。
 
背中の食料がだんだん尽きてきた頃とうとう大陸が見え始めた。
モ「思てたより早いな。玄関開けたら2分で御飯くらい早いなぁ」
 「いや、待てよ。レンジで煮魚1分半くらい早いか。」
迷うこと30分・・・。
 
モ「…さて、上陸だ」
結局どないやねん。
 
モ「お前とは今日でお別れや、iボード。いきなり“バキッ”っと2つに割った」
 「これで今日から双子としていきて行けよ。フリップフラップ」
 
 
モ「さあ、着いたで。アメリカ大陸や!修行を始めるとしょうか」
 「お、あそこに人がおるぞ。」
モ「チョーップ!!」
住民その1「痛いな、急に何するんだよ!」
モ「はは、びっくりした? すまんすまん」
住民その1「見かけない人だね。どこから来たんだい」
モ「なんば」
住民その2「なんば?NGKの近くかい?」
モ「いやOCATの方」
住民その2「どうしてまたこんな遠くまで来たんだい」
モ「アメリカに修行しにきたんや」
住民その2「アメリカと言ってもここは南アメリカ大陸だけど・・・」
モ「何やて〜! またスカタンこいてもうた!」
 「で、どう違うん?」
住民その1「アメリカ合衆国に行くんだったらもっと北だよ」
モ「アメリカって1つとちゃうの?」
 
こんな事に今さらジロー、渡辺ジロー、坂上ジローな小柳ルミ子。
回って見せるぜ大澄賢也。
 
特別出演:住民その1=丹波哲郎
     住民その2=ユリ・ゲラー
 
謎のレスラー、モンゴル・タカ アメリカ上陸!?編(第8話) 完
 
次回、謎のレスラーモンゴル・タカ 南アメリカペルー編(第9話)お楽しみに!


「謎のレスラー モンゴル・タカ」うぅわ!間違えてるやん!編( 第9話)
 
 
モ「しっかし、なんやなぁ、おんなじアメリカちゅうても
  南アメリカ大陸とは気付かんかったなぁ。」
 
少年「おっちゃん、なにしに来たん?」
 
モ「誰がおっちゃんや!お兄さんや!まだ若いんやで、こう見えても」
 
少年「んじゃ、おっちゃんみたいなおにいさん、なにしに来たん?」
 
モ「修行や。レスラーとして最強を目指すため、ずっと向こうから海を渡って
  ここまで来たんや。」
 
少年「向こうって?」
 
モ「・・・めっちゃ遠いところやな。」
 
少年「どれくらい?」
 
モ「年間で東京ドーム100杯くらい」
 
少年「…んじゃ」
 
少年はこんな奴に関わるとロクな事にならないと察知し逃げモードに入った。
 
モ「まぁ、待て。今のは確かにサブかった。ほんまはバタ足で約1ヶ月くらいや」
 
少年「近いじゃないか」
少年はモンゴル・タカの恐ろしさをまだ知らなかった。
 
モ「それはそうと、この辺に強い奴おらんか。勝負したいんや」
 
少年「うちの父ちゃんは強いぞぉ!なんたってここら辺じゃ“ブルワーカーのウーヘイ”って
   呼ばれているんだから!」
 
モ「ほう、会ってみたいんやけど」
 
少年「いいよ。」
 
モ「坊主、名前は?」
 
少年「おいらはメル。“最終兵器”って呼ばれてる」
 
モ「俺はモンゴル・タカ。たま〜に“コウジ”って呼ばせているが本当の名前やない」
 
メル「おっかしな人。さぁ、こっちこっち。」
少年メルに案内されタモリのイグアナのマネをしながらメルの家に向かうモンゴル・タカ。
 
2時間ほど歩くと家が見えてきた。そこにはアスパラドリンクに出てきそうな筋肉質の固まりの
ような男が迎えてくれた。
 
男「あ〜〜、す、ぱ〜〜、ら!」
本物かもしれない・・・。
 
男「ようこそ、我が家へ。君がここに来る事はわかっていた、私の名はウーヘイ」
 
モ「えぇっ!?ほんまですかっ!ウーヘイさん!」
 
ウーヘイ「謎のおパンダさんを覚えているか?」
 
モ「あん?」
この男にそんな記憶などあるはずがない。
 
ウーヘイ「あのお方がここへ導いてくれたのであろう」
 
モ「は?“イデの導き”ならわかるんやけどな」
 
ウーヘイ「まぁ、いい。最初からワシが相手をしても仕方がない。
     まずは息子達を相手にしてみるがいい」
 
モ「息子達?メルか?」
 
メル「おいらは2番手さ。最初はダニーだよ。ダニーッ!」
 
ダニー「まいど。今日はなにしまヒョウ」
20年前の大阪商人のように両手をこすりながら猫背で出てくる少年。
 
モ「なんや、へんな大阪弁使いやがって、わしのキャラ薄なるやんけ!」
 「わし、こんなキャラやったっけ?」
・・・・(寝)
 
ダニー「日焼けの濃さでは家族で一番、鼻毛を抜いたら止まらない憎〜い男。そいつはオレの事さ!」
キャッチフレーズかい。
 
モ「まぁ、ええ。よっしゃ、こうなったらどっからでもかかってこんかえ!」
往年の岡八郎のような動きで相手を惑わすモンゴル・タカ。しかもちょっと音速。
 
ダニー「…そんな。動きがセキツイ動物じゃな〜い!」
一瞬にして戦意を喪失したダニーはマイク・ベルナルドの右フックを食らったが如くヒザから
倒れ込んでいった。しかしマイク・ベルナルドにやられた方がいくらか精神的にマシだったろうに。
 
モ「カチンコチン体操で鍛え直すんだな」
 
ダニー「…くっそ〜! ま、負けたぁ・・・」
 
男「よくぞ勝利した。しかし次はそうはいかんぞ、ダニー見せてやれ」
 
ダニー「はい。これが遊戯王でこれがポケモン、これが新しい優香ちゃんのやつ」
自慢のカードを見せている。週一でラクダの商人が持ってくるらしい。
 
モ「おわっ! すっごいやん!」
見事にハマっている。
と、そこにカードに見とれているモンゴル・タカの後ろに迫る影!
 
危うし!モンゴル・タカ、このトレカの魅惑から逃げ出せるのか!?
 
次回、謎のレスラー モンゴル・タカ 角砂糖は2こで、編
 
お楽しみに。


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