『一人の夜に』
 
深夜、一人で牛丼屋に入る。
客はまばらに座っている。
夜でも、真昼のようににこやかな店員さん。
牛丼・並で。

茶髪でロンゲの若い男2人が、
今日のパチンコの戦績を大きな声で検証中。
それ誰の金だ?ちゃんと働け〜。

牛丼大盛り、うどんも付けて、それをあっと言う間に
たいらげる人。
御飯はゆっくり、そう言われなかった?

店の中に響く、若い女の子を笑い声。
早く帰れ〜。親、心配しないの?

はい。牛丼・並です。
素早く用意された牛丼に、七味をかけて。
これが、今夜の夕飯です。

ガラスに映った、自分の顔。
疲れてる。
よく見えないけれど、化粧もきっと崩れている。
あたし、何やってるんだろ?

夜遅く、一人で牛丼屋。
家に帰れば、溜まった洗濯物がお出迎え。
やらなきゃいけない仕事もまだあって。
持ち帰ってまでするなんて、真面目だぁ〜と思いながら、
パソコンの電源ON。
なんかよくわからないけれど、妙に面白い深夜番組観ながら、
仕事の続き。残業手当つかないのにさ。

あたし、何やってるんだろ?
好きで始めた仕事だったけなぁ。

そう言えば、最近どっか遊びに行ったっけなぁ。
彼氏・・・いないな。

タバコに火を付け、ちょっと休憩。
あれ?いつからタバコ吸ってたっけなぁ。

レールの上、とことこ歩いてるのかなぁ。
実は、歩かされてるのかなぁ。
だって、実感ないよ〜。
御飯食べて、仕事して。
気が付けば、朝が来て。

今までね、がむしゃらに生きてきたわけじゃない。
でも、結構がんばってるんじゃないの?と思ったりもする。
そうそう、今日みたいな日にね。
けど、なんでがんばってるんだろ〜?
何が目的なんだろ〜?って・・・心が空を見上げる。

元気にしてる〜?
久しぶりに飲みに行かない?
友達からのメールに、返信。
行こう!いつにする?

何にがんばって、何がやりたいのか、答えはいつもわからない。
でも、わかんなくてもいいのかもな〜。
まずは、飲みに行こう。
何なら焼き肉がっつくか?
 
 
 
〜終わり〜