山に向かいて・・・・

『高校生のための・・・石川啄木読本』(南條範男著、宝文堂刊)によれば、近代の短歌で高校生に圧倒的に人気の高いのが啄木の短歌だそうです。2006年12月に、啄木の生まれ故郷である渋民村(現在は、岩手県、玉山村)を訪問しました。「ふるさとの山に向ひて(現代語表記なら、「向かいて」)、言うことなし、ふるさとの山はありがたきかな」も人気が高い歌のようです。タクシーの運転手の方に、「ふるさとの山」というのはどの山のことですかとお聞きしたところ、西側に見える岩手山(上の写真)と東側に見える姫神山(下の写真)のことでしょうとのことでした。上の写真は、渋民にあるこの歌の歌碑(といっても、展望台によくある山などの形を示すドーナツ型のテーブルの一部にこの短歌が彫られているもの)から見た岩手山です。それにしても、この歌の人気は高く、『啄木文学碑紀行』(淺沼秀政著、白ゆり刊)によれば、この歌の歌碑が全国で七つもあるようです。同書によれば、96年現在で啄木の歌碑は、この七つを含めて、渋民周辺だけで24基、全国では124基もあるそうです。その内の一つは、啄木の墓標で、「函館元町の八幡坂と記念館摩周丸」でご紹介しました。

渋民にある渋民公園の園内には、大正11年に村民によって建てられた啄木の一号歌碑があります。「やはらかに柳あをめる、北上の岸邊目に見ゆ、泣けとごとくに」(現代語表記なら、「やわらかに柳青める北上の、岸辺目に見ゆ、泣けとごとくに」)と書かれています。

遠くから碑を眺めたところです。

公園内から北上川と岩手山を写したのが下の写真です。

渋民には啄木の資料を集めた啄木記念館があり、その庭には、啄木が代用教員を務めた、母校「渋民尋常高等小学校」の校舎が移設されています。

教室内は、当時の雰囲気が残されていました。

下は渋民駅ですが、盛岡から、「IGR、いわて銀河鉄道」で20分ほどで着きます。

(2007年1月7日)

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