[しのび寄る成人病]消化器疾患/中 胆石 コレステロールが一因・・・・・・
1996.11.01 東京本紙朝刊
(著作権の関係上、内容をそのまま全て掲載出来ません。 概要として纏め直して掲載しています。)
予防は、糖分控え3食をきちんと摂る事!
胆石は臓器・器官にたまる石として、腎臓(じんぞう)結石と並ぶ“横綱”である。
それ自体は良性であるが、胆のうがんや胆管がんが発生する確率は、「石を持たない人」に比べ約10倍に跳ね上がり、胆のう炎や胆管炎を併発し易く、男性より女性に多いのである。
胆のうは、肝臓で作られた胆汁が肝管を通じて流れ込み、蓄えておく所で、胆汁
は胆のうの収縮運動によって、総胆管を通して十二指腸に送られる。
ここで、膵(すい)臓で作られる膵液と混ざり合い、食物の消化が行われる。
7〜8回/日の収縮運動があるが、食後に最も強く収縮する。
結石には大別して3種類ある(菅田文夫・昭和大医学部客員教授の談)。
(1)食物中の成分と、肝臓で作られるコレステロールが主成分のコレステロー
ル結石
(2)酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビン(寿命は約120日)が壊れた黄色の色素・ビリルビンとカルシウムから主として成るビリルビン・カルシウム結石
(3)ビリルビン重合体(ビリルビンが多数結合したもの)が主成分の黒っぽい黒色石。
どうして結石ができるのか?。主な原因としては
(1)肝臓で作られるコレステロールが多過ぎる事、
(2)血中のビリルビン値は普通1cc当たり1mgだが、どこかに異常があって高値なこと、
(3)胆汁が十二指腸に流れ込む総胆管末端の十二指腸乳頭(直径1mm程度の細い穴)の開閉の異常でよどむこと。
これらが原因で、もともと石を溶かす作用がある胆汁の機能も追いつかなくなり、コレステロールやビリルビンが結晶化、析出するから。
できる場所は胆のう内部(胆のう結石)、総胆管(総胆管結石)、肝臓の中にあっ
て総胆管につながる肝管(肝内結石)である。
コレステロールが多すぎると動脈硬化から心臓病や脳卒中につながるが、胆石症も
同じである。コレステロールの元になる糖分、動物性脂質(特に卵)の摂取は控えた方が良い。
胆石発症の男女比は、胆石の6〜7割を占めるコレステロール結石で1対3。他の
結石はほぼ同じだが、40歳代で肥満、多産の女性に多く、太り過ぎは糖分が原因の様だ。
お産をすると、女性ホルモンの関係もあって、各臓器・器官を巡って肝臓に戻るコレ
ステロールが胆汁中に多くなるからだ。
胆石があると、胆汁がスムーズに流れなくなり、腸内細菌が小腸上部に上がってき
て胆のう炎を起こしやすいほか、板状・針状結晶のコレステロール結石は胆のうの内
壁を刺激して胆のうがんになる場合があり、その確率は2〜3%。他の結石では1%程度という。
超音波検査で95%は診断がつく。治療としては
薬による胆石溶解療法、
口から内視鏡を入れて除去する方法、
腹部に直径5ミリの穴を4カ所開ける腹腔鏡下胆のう摘出術 等があり、
比較的安全だ。胆のうを取っても総胆管が代替をするので支障はほとんどないという。
予防については、「3食をキチッと摂る」「糖分摂取に気をつける」ようにすること。