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動脈硬化を遅らせ脳活性化でも魚が脚光
「目の周りに多く含まれる不飽和脂肪酸を食べると、頭が良くなる」と言われ、受験シーズンに入り、鮮魚店でマグロの目玉が人気を集めている。
頭脳だけでなく、成人病の「万能予防薬」として、いま魚が脚光を浴びつつある。「魚以外では取りにくいEPAとDHAと呼ばれる『オメガ3』系不飽和脂肪酸の効果は、目を見張るものがある」と、富山医薬大第一内科の浜崎智仁講師(日本脂質栄養学会副会長)は、自信たっぷりにこう語る。
漁村地区の人の血管は、5〜10年も若い
浜崎講師は、寒ブリ漁で有名な富山県氷見市の漁港地区と、海岸から車で40分の山間部地区の住民を対象に動脈硬化度を調べた。
脈の伝わり方は、血管が硬いほど速く、この脈の伝搬速度を測り血圧値で標準化した結果によれば、全員が漁業関係者であり毎日魚を食べる住民が9割という漁港の平均値は、毎秒7.0m。これに対し毎日魚を食べる人が一割しかいない山間部では、7.7mと動脈硬化がより進んでいた。
浜崎講師によれば、「この差は5〜10年の血管の若さに相当する」という。
心筋こうそくによる10万人当たりの死亡率は漁港14人に対し、山間部は100人。魚をたくさん食べている為に、血液の凝固を防ぎ血栓を生じにくくさせ、血流をよくするオメガ3の効用と見られている。
オメガ3が注目されるきっかけは、北極圏のグリーンランド先住民の場合には、アザラシや魚が主食で摂取脂肪やコレステロールが多いのに、心筋こうそくによる死亡率がデンマーク人の1/10以下という同国学者の調査報告による。
一連の研究では、先住民にはオメガ3が際立って多く、必須脂肪酸であるアラキドン酸が少なかった。
アラキドン酸の代謝物は、炎症や痛み、血栓、不整脈を生み出すが、オメガ3は、その代謝物の作用を抑え、抗血栓作用のほかに抗腫瘍作用や抗アレルギー効果、脳の活性化を図る働きが判明した。「このようにオメガ3は、心臓病だけでなく癌や脳卒中、さらに骨粗しょう症にも効果が期待できる。」と、浜崎講師は、魚の持つ幅広い効用を強調する。
それを裏づけるデータとして、国立がんセンター疫学部長を務めた平山雄博士が17年間、27万人を対象に行った世界最大規模の食生活と死因の調査がある。
それによると心臓病、脳血管疾患だけでなく肝臓がん、子宮頚がん、高血圧など全項目で魚食が有効で、毎日魚を食べる人は、魚を全く食べない人より平均5年長生きしている。
「最近の研究から生活の仕方には、成人病になりにくい『歩道』と、危険な『車道』があることが分かってきた。発病してから慌てるのではなく、ふだんから安全な歩道を歩くことが大切だ。」と平山博士は説く。
富山医薬大第一内科の小林正教授も、「魚を過信するのではなく、適度な運動やストレス解消策をデザインした生活の中で、一日一食、魚を取り入れる工夫が、簡単な食事の健康法。」と話す。
「骨があって食べにくい」「調理がめんどう」。とかく若い人に敬遠されがちな魚料理だが、健康面から復権するかな?。
必須多価不飽和脂肪酸は、オメガ3系と6系に分かれる。オメガ3系のEPAとDHAは、タイなどの高級魚よりマグロ・サバ・イワシなど青み魚の、とりわけ皮下脂肪や目の付近などに多い。
DHAには、不整脈の予防効果も注目されており、点滴剤も研究、開発中だそうだ。
《魚介類を毎日食べる人を1とした場合の、各疾患死亡率の比較》
死因 毎日 時々 まれに 食べない 総死亡 1.00 1.07 1.12 1.32 脳血管疾患 1.00 1.08 1.10 1.10 心臓病 1.00 1.09 1.13 1.24 高血圧症 1.00 1.55 1.89 1.79 肝硬変 1.00 1.21 1.30 1.74 胃がん 1.00 1.04 1.04 1.44 肝臓がん 1.00 1.03 1.16 2.62 子宮頚がん 1.00 1.28 1.71 2.37 (平山博士の調査から)
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