「マウスも腹八分目が長生き−−東海大グループが発表」・・・
1990.01.13 東京毎日新聞 朝刊
(著作権の関係上、内容をそのまま全て掲載出来ません。 概要として纏め直して掲載しています。)
いつもお腹一杯食べられる“満腹”マウスに比べ、食事を八割に制限された“腹八分目”マウスの方が長生きする――。こんな研究結果を東海大医学部微生物学教室の橋本一男教授、田爪正気講師のグループがまとめ、12日発表した。
この両者のマウスの間では、免疫機能や腸内細菌にも差が見られ、「腹八分目は長命のもと」との人間界の格言を科学的に解明する手掛かりになりそうだ。
田爪講師らは食事の制限と老化との関係に注目し、この実験を実施した。
生後五週間で特定の病気を持たない普通のマウス200匹を用い、半数は食べ放題飲み放題とし、残り半数は食事の量をその80%に制限した。
無菌マウス百匹についても同様の実験を行った。
この結果、平均寿命は、普通の満腹マウスが74週だったのに比べ、腹八分目マ
ウスは122週と長かった。無菌の場合も満腹マウスが90週、腹八分目マウスが
110週と差が出た。
また、生後20週位を境に、免疫機能の点で腹八分目マウスの方が満腹マウスより優れていることも判った。
更に、腹八分目マウスの場合、無菌マウスよりも普通のマウスの方が長命だったことから、腸内の細菌に注目し、生後約2年の腹八分目マウスと満腹マウスを比較したところ、満腹マウスに無い2種類の細菌が腹八分目マウスには存在した。
これらの結果について田爪講師は「長寿がエサによるものか、細菌に関係している
かはまだ判らないが、食事制限されたマウスの方が良く動くので、運動が関係してい
るかも知れない。」と話している。