筑波
 
 


 東京駅八重洲口のバスターミナルから筑波へ向かう。天気がよく、気分がよ
かった。                                       
 


11時前、筑波駅に着く。筑波山は目の前だが、「筑波神社前」行きのバスま
でにはかなり時間があった。                            
  


バス亭の裏には、かつて鉄道が通っていたものか、駅のホームらしきものが
目に付いた。四人のおばさんがホームのベンチで話しており、その姿が、来
るはずのない列車を待っているようにも見えた。来るのかもしれない。    
 

             
乗り継いだバスを終点で降り、とりあえず神社へ向かう。太鼓の音がする社内
を覗くと、ちょうど結婚式が始まるところのようだった。              
 


 山頂までは、神社からすぐのケーブルカーでも行くことができたが、ロープウェ
イにも乗りたかった。ロープウェイ乗り場のある「つつじが丘」へ向かうべく、
境内から少し戻って登山道へ入る。                        
 


ガイド雑誌ではただ「曲がりくねった道」とあったが、結構きつい山道だった。
ほかに通う人もなく、山頭火気分で歩く。                    
 


汗だくになって「つつじが丘」へ着く。一服していると、寒さと強風でどんどん
体が冷えてくるので、あわててシャツを着替える。売店の近くの「ガマ洞窟」
が気になったが結局やめにした。この建物には、他にもだめそうな施設が
充実しており、山ごと「ガマ要塞」の趣がある。                 
 


ロープウェイ乗り場からの眺めはすばらしかった。眼下に、地平線を丸く感じ
るほどの広々した景色が広がる。                         
 


上からの眺めはさぞかし、と思ったが、山頂近くになると雲の中に入ってしま
い、何も見えなくなってしまった。                         
 


山道を歩くのには支障がないが、先がどうなっているのかが全く見えない。
歩いていると、急に「ガマ石」が現れてびっくりしたりする。          
 


雲の中に、突如として出現した街並。しんと静まりかえっている。核戦争後の
世界に来てしまったのか。各店の奥を覗くと、それぞれおばさんがおり、こち
らを眺めておられた。いらっしゃい、と声をかけてくれた人もいた。       
 


10軒ほどの店が並んでいるようだが、ケーブル乗り場に近い2軒は廃墟に
なっていた。中に入り、しばし寒さをしのぐ。                   
 


 ケーブルカーに乗って神社前へと戻る。降りた瞬間、外気の暖かいのに驚く。
雲の中と下とで、こんなに気候が違うとは思わなかった。           
 


神社では、まだ結婚式が続いているようだった。今度は、花嫁さんの姿も見
えた。                                         
 


筑波駅までバスで戻り、岩瀬駅行きのバスへ乗りこむ。昼飯を食べそびれて
おり、神社前で購入した「ガマせんべい」をばりばり食べて少し眠る。    
 


終点から駅までは少し歩いた。駅へは別のバス停があったのかもしれない。
電車の時間まで駅周辺をぶらぶらした後、下館へ向かう。           

    
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