下館(1)
4時過ぎに下館駅へ着く。寂しい岩瀬駅から乗ってきたこともあり、駅周辺の
賑わいに驚く。浴衣を着た人もあちこちにいて、祭への気分が盛り上がる。
とりあえず、下館に1軒残る銭湯の「松の湯」へと向かう。住所を調べてあっ
たが、「丙」地区はなかなか広く見つからない。たまたま見えた煙突を追っ
て行ったが、なにかの工場跡のようだった。
美術館の裏あたりで再び煙突を発見、今度こそ「松の湯」だった。内部は旅館
の浴室といった感じで、こじんまりした浴槽は3人も入ればいっぱい。幸い客
は私一人になり、ゆっくり入ることができた。
登山の汗も流し、また短パンに着替えて気分がよかった。夕方の風に涼みな
がら、祭りの日をいいことに缶ビールを片手に商店街を抜け駅まで。煙草を一
服したあたりで6時半となり、相馬君たちを乗せた電車が駅に着く。
今回は、相馬君の実家にお世話になった。実家は立派な寺である。話は聞
いていたものの、ほんとうに寺だよ、というのにどこか感慨があった。
荷物を置かせていただき、挨拶などあった後、みんなで祭り見物へと繰り出
す。こういう感じで祭りを見に行くのは初めてのことで、かなりの「繰り出し感」
があった。履き物のカラコロという音がさらに興を添える。
神輿は駅前にいた。日本一というだけあって、大きい。永澤君も言っていたが、
ちょっと遠近感がわからなくなる。
神輿は駅前から稲荷町商店街へと移動、我々もその後をついていく。ゆるゆ
ると神輿の後をついて歩いていると、なんとなくパレードに参加しているような
気分にもなってくる。
道の脇には出店が多数出ていたが、「煮いか」の屋台が多いのが気になっ
た。初めて見る屋台であり、下館の名物かと思ったが、そうでもないらしい。
永澤君が意を決して購入する。みかみ君ともども、かじらせてもらう。味はか
なりしょっぱい。タウリンと塩分の組み合わせから、それだけ激しい祭りだと
いうことを暗示しているのか。
神輿を先回りするかたちで、目的地の羽黒神社へ移動する。境内に入ると、
この時間は各町の神輿が社のまわりを周っているところだった。ここでしばら
く先の神輿の到着を待つうちに、荒川君も到着する。
やがて神輿は神社へ続く坂を登り、到着する。坂のあたりからは人があふ
れ、うかうかしていると圧死しかねない盛り上がりを見せている。人波にもま
れるうち、なぜだか昔見たボアダムスのライブを思い出していた。
神社前の広場で、「ドッコイドッコイ」のかけ声で始まる数え歌のような歌に
あわせて神輿をもむ。担ぎ手・観客の熱狂は高まってゆくが、歌自体は、の
んびりした味わいがあってなんともいい。
最後には、三基の神輿がともに揺られ、大盛り上がりとなる。いったん終了と
なった後、「これで終わっちゃうんですが...アンコールはありますかァ」の声に
ふたたび会場が沸く。
最後は三本締めで終了、時計は11時半頃になっていた。
相馬家へ戻り、お母さん心づくしのご馳走をいただいた。腹一杯になり、幸せ
な心持で就寝。ごちそうさまでした。