超短篇・500文字の心臓

作品募集(2014年10月27日更新)

第135回タイトル競作『熱くない』投稿方法

募集締切:2014年11月09日(日)



集計結果(2014年10月20日更新)

第134回タイトル競作『湖畔の漂着物』集計結果

作品一覧



作品発表(2014年10月04日更新)

第134回タイトル競作『湖畔の漂着物』作品一覧

選評締切:2014年10年13日(月・祝) →選評掲示板





タイトル競作 正選王受賞作品

 湖畔の漂着物19 作者:水池亘

 ぬはこのあたりの湖でよく見られる。泳ぎは上手いが間抜けなのでたまにほとりに打ち上げられる。放っておくと腐る。有志のボランティアが水・土曜の朝に回収する。
 全体的にゆるい楕円形をしており、さらに右下部にも小さなまるみがある。ここを切り取り刺身にして食べるとほどよい甘味があって美味い。残りは硬くて人間には食べられないので湖に逃がす。
 まるみを切られたぬはめとよく似ているが全く別の科の生き物である。素人には区別がつかず本人たちにも見分けがつかないのでしばしば生殖活動をしている。遺伝子の関係から子の大半は死滅する。まれに成長しのとなる。のは幸運の象徴としてアクアリストに人気があり高値で売れる。
 近年ぬを町おこしに利用する動きがあり、ぬいぐるみやストラップが販売されている。人気はなく、たまに湖のほとりに捨てられている。有志のボランティアが水・土曜の朝に回収する。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 湖畔の漂着物8 作者:つとむュー

 海水浴をしていたら、水が凄く冷たい場所に迷い込んでしまい、驚いて砂浜に駆け上がった。
「あははは、あんちゃんもビックリしたか?」
 様子を見ていた海の家のおっちゃんがニヤニヤしている。
「そこ、みんな驚くんだわ」
「なんなんですか、ここは?」
 するとおっちゃんは口の前に人差し指を立てて、小声で話しかけてきた。
「この浜にはな、たまに湖畔が漂着するんだよ。だからその部分は真水で冷てぇんだ」
 湖畔が漂着する? どういうことだよ、それ。
「嘘だと思ったら、水の中ァ覗き込んでみな」
 言われる通り水の中を覗き込むと、赤や金色の魚が泳いでいた。
「海だったら鯉なんて泳いでねえだろ? だから湖畔なんだよ。砂や景色だって違うぜ」
 確かに砂もその部分だけ黒っぽくて、なんだかゴツゴツしている。波が静まると、見た事の無い山が雄大な姿を水面に映していた。
「これって……蜃気楼?」
「なことねえよ。山なんかどこにもねえだろ? それより今回はどこの湖畔なんだろうなぁ。あんちゃん、その景色に見覚えねえか?」
 見ると山頂はマッターホルンのように尖っていて、とても日本の山には思えない。
 ヤッホーと叫んでみると、ヤッホーと日本語でこだまが返って来た。