ヒューのことを話すのは、とても難しい。
周りのみんなには僕とヒューがつき合っていると思われているけれども、僕としてはそう いう次元の問題ではないと思っている。
愛よりも濃い必然。
それが、僕とヒューの関係を示すピッタリな言葉じゃないかな。

ヒューは遠目だと中学生にも間違われそうな程幼く見える女の子だけれど、近くに寄れば磁器人形のような透き通る肌を持った美少女だということがわかる。そんな女の子だ。
ただ、ヒューには少し変わったところがあって、始めにも話した通りこれを説明するのはとても難しい。けれど、言葉を選んで慎重に説明しようとすると、
ヒューには尻尾がある。それも、ふわふわの尻尾だ。
と、こんな感じになるだろう。

ヒューと出会って間もない頃は、いつものお気に入りのアクセサリだと思っていたけれども、それにしてはどうにもくるくると動きすぎる。灰色と黒の縞模様だったから、多分猫の尻尾じゃないかと思って、ヒューに本物?って尋ねてみたんだけれど、「にゃあ」と答えたから、多分猫の尻尾に近いものなんだろう。

人間に尻尾があってはいけないのか?と尋ねられても、如何ともし難く答えようのない質問だけれど、僕としては自転車の後輪に引っかからなければそれでOKなんじゃないかと思ってる。だから、ヒューに尻尾があってもそれはそれで似合ってるんじゃないかと、そんな風に考えている。

だけど、ちょっとだけ不思議なこともある。
ヒューの尻尾はヒューのご機嫌にあわせて動いているけれども、それが僕と二人の共通の知人である呉氏以外には、誰にも見えていないってこと。
呉氏が云うには、
「君以外の人間の脳にとっては重要ではないと認識された結果、尻尾の存在自体が知覚されなかったか、尻尾が付いているヒュー自体を尻尾の付いていないヒューと置き換えているかのどちらかだろうね」
と、飄飄と云っていた。まぉ、呉氏はいつも飄飄なんだけれども、多分間違いはないのだろう。

ヒューは、よく散歩をしたがる。
僕も散歩が趣味で、僕とヒューが出会ったのもその散歩の途中であったある一つの出来事がきっかけだったんだけれども、その話は別の機会に譲るとして、つい先日、一緒に公園を散歩していた時の話だ。

 

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