2002年5月


「アザーズ」- The Others -

アルハンドロ・アメナーバル監督脚本、ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン、クリストファー・エクルストン、アラキナ・マン、ジェームズ・ベントレー。

1945年英国、霧深いジャージー島の屋敷に住む母グレース(ニコール・キッドマン)、光アレルギーのために暗やみで暮す娘アン(アラキナ・マン)と息子ニコラス(ジェームズ・ベントレー)。ある日、以前この屋敷に奉公していたというミセス・ミルズ(フィオヌラ・フラナガン)たち三人が訪れる…。
「オープン・ユア・アイズ」の監督に、それをお気に入りのトム・クルーズが製作というと、一筋縄では行かない裏がある展開というのは予測出来る(というか前半で簡単に判った)。それでも、闇と霧に徹する繊細な映像の作り方や、音響での恐怖感の出し方はゴシック・ホラーの定番を押さえた、なかなか上手い作り。ニコール・キッドマンも頑張っていたが、フィオヌラ・フラナガンの不気味さはなかなかのもの。

「アザーズ」Official Website


「ザ・ワン」- The One -

 ジェームズ・ウォン監督脚本、ジェット・リー、デルロイ・リンド、ジェイソン・ステーサム、カーラ・グジーノ。

多次元宇宙捜査局(MVA)の元捜査官ユーロウ(ジェット・リー)は、125のパラレルワールドのそれぞれの自分を殺し、全能の存在<ザ・ワン>になる事をたくらむ。MVA捜査官ローデッカー(デルロイ・リンド)とファンチ(ジェイソン・ステーサム)は、最後の標的ロサンゼルス郡保安官ゲイブ(ジェット・リー)を狙うユーロウを追う…。

ジェット・リー同士のカンフー対決という試みが面白いと思ったけど結果的にはイマイチ。アクションはそれなりに味があるけど、やはり強い悪役あっての対決の面白みが出る。映像的にも斬新で捨てがたい面はあるのだけど、それだけに全体のストーリ作りが残念。
最後のまとめ方もいかにもSF的ではあるけど、ちょっと納得出来ない。ところで、なぜ多次元宇宙が125個なの??

「ザ・ワン」Official Website


「アトランティスのこころ」- Hearts in Atlantis - ☆

スコット・ヒックス監督、スティーブン・キング原作、アンソニー・ホプキンス、アントン・イェルチン、ミカ・ブーレム、デイビッド・モース、ホープ・デイビス。

 ボビー(アントン・イェルチン)の父は幼い頃に亡くなり、母リズ(ホープ・デイビス)と二人暮らし。11歳の誕生日にもらった母からのプレゼントは図書館のカード。親友は野球好きのサリー(ウィル・ロスハー)と向かいに住むキャロル(ミカ・ブーレム)。ある日、ボビーの家の二階に謎めいた老人テッド(アンソニー・ホプキンス)が下宿することになった…。

あんまり評判になっていない気がするけど、すごく面白かった。ストーリは単純で、小品ではあるがキングの中のハートウォーミングな雰囲気が見事に出ている。アンソニー・ホプキンスが上手いとは当然として、それに子役のアントン・イェルチンは立派に対抗しているし、「スパイダー」でもよかったミカ・ブーレムの愛らしさがいい。

「アトランティスのこころ」 Official Website
原作「アトランティスのこころ」感想


「アリ」- Ali -

マイケル・マン監督脚本製作、ウィル・スミス、ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス、 ジェフリー・ライト、ジョン・ボイド。

1960年ローマ五輪のライトヘビー級金メダリストのカシアス・クレイ(ウィル・スミス)は、1964年2月26日、ソニー・リストンを破りヘビー級チャンピオンとなる。黒人イスラム団体「ネイション・オブ・イスラム」への入信、指導者イライジャ・モハメドから授けられたモハメド・アリを名乗る。結婚、マルコムXの暗殺、そしてベトナム戦争への徴兵拒否のため試合から締め出される…。

 2時間37分とかなり長く、坦々とした展開だけど結構楽しめた。黒人問題、ベトナム戦争、自由民権運動、ブラック・ムスリムなど織り交ぜながらも、重くならず、あまり気負いが無くまとめている。
物語は絶頂期で終わり、アトランタオリンピックの聖火アンカーで見せた、現在のパーキンソン病と戦う姿は無かった。頂点の時代で終わるのは判らないでもないけど、ちょっと中途半端な感じ。

「アリ」Official Website


「ローラーボール」- Rollerball -

 ジョン・マクティアナン監督、クリス・クライン、ジャン・レノ、LLクールJ、レベッカ・ローミン=ステイモス、ナヴィーン・アンドリュース。

 近未来、プロホッケー選手のジョナサン・クロス(クリス・クライン)は、友人のマーカス(LLクールJ)の誘いで、ローラボールの世界に入る。華々しい世界は実はペドロピッチ(ジャン・レノ)により支配された、視聴率の上げるための陰謀渦まく世界だった…。
 
 リメイクではあるが、 なんとも雑な作りの映画で呆れてしまうほど。どうせ金をかけるなら、ちゃんとストーリを練ってもうちょっと納得出来るモノにして欲しかった。ゲーム自体の映像はそれなりにスピード感が出ているだけに残念。
  リメイクだけど、オリジナルの方もあんまり覚えてない…。

「ローラーボール」Official Website


「スパイダー 」- Along came a spider -

 リー・タマホリ監督、マーク・モス脚本、モーガン・フリーマン、モニカ・ポッター、マイケル・ウィンコット、ぺネロープ・アン・ミラー、ミカ・ブレーム、マイケル・モリアーティ。

ワシントンDC、VIPの子供が通う警戒厳重な私立学校キャシドラル・スクールから、ローズ上院議員の娘ミーガン(ミカ・ブーレム)が誘拐される。犯人ゲイリー・ソーンジ(マイケル・ウィンコット)は、犯罪心理捜査官のアレックス・クロス(モーガン・フリーマン)を捜査担当に指名する…。

「コレクター」の犯罪心理捜査官のアレックス・クロスであるが、続編という印象は薄い。心理捜査官としての活躍はほとんど無く、しょうもないどんでん返しに終始している。思わせぶりだけど意味がないマザーグースやリンドバーク事件、「マラソンマン」もどきの意味なんか、どこにあるのだろうか?タマホリ監督も、「ワンス・ウォーリアーズ」の時のような勢いが無くて残念。

「スパイダー 」Official Website


「ナースのお仕事/ザ・ムービー」

 両沢和幸監督脚本、観月ありさ、松下由樹、神田うの、藤木直人、石原良純、国分佐智子、伊藤かずえ、吉行和子、ウド鈴木、根岸季衣、原田龍二、蟹江敬三。

 若葉総合病院、ドジなナース朝倉いずみ(観月ありさ)、新米外科医の高杉健太郎(藤木直人)は新婚旅行の事で大ゲンカ。そんな時、尾崎主任(松下由樹)を慕っている元入院患者猿渡(ウド鈴木)がマシンガンで武装し立て篭もり事件を起こす…。

 全体には劇場版のするほどの魅力に乏しい、ラストの泣かせる場面でも雑さが目立つ。もうちょっと丁寧に作っていいんじゃないのだろうか。
観月ありさは、神田うのなどに比べると、キャピキャピな演技をするにはかなり厳しい年になっている。場内、八割が小学生の女の子で、ちょっとビビった。

「ナースのお仕事/ザ・ムービー」Official Website


「E.T. 20周年アニバーサリー特別版」- E.T. -

 スティーブン・スピルバーグ監督、ヘンリー・トーマス、ピーター・コヨーテ、ドリュー・バリモア。
 一人地球に残された異星人E.T、それを助けるエリオット少年と兄妹はE.T.を星へ帰そうと努力するが、NASAの科学者の追及が迫る…。

 通してみたのは考えてみると公開以来。ストーリは単純だが、やはり盛り上げ方はうまい。時々、見せる冴えた映像もいい(クロースアップに広角を使うのが絶妙)。ドリュー・バリモアのかわいさが光ってた印象は前と同じだけど、あの後のつらい青春時代を思うとちょっと悲しいものがある。
 そうえいば、ユニバーサル・スタジオの「E.T.」のアトラクションが思ったより映像イメージに近いのを再認識した。大ヒットするほどいい映画だとは思ってなかったけど、やはり上手さは認めるべきか。

「E.T. 20周年アニバーサリー特別版」Official Website


「K.T.」

阪本順治監督、中薗英助原作、荒井晴彦脚本、佐藤浩市、キム・ガプス、チェ・イルファ、筒井道隆、原田芳雄、ヤン・ウニョン、香川照之、大口ひろし、柄本明。

 朴大統領による独裁政治下の韓国、政敵の金大中(チェ・イルファ)を日本で暗殺する計画に、自衛隊諜報員の富田満州男(佐藤浩市)が加担する…。1973年8月8日、九段下のホテルから姿を消し、5日後にソウル市内で目隠し姿で発見されるまでの実際の事件をベースにした物語。

 当時の政治的背景や、実話という背景の緊張感はなかなかいいが、イ・ジュンミ(ヤン・ウニョン)などは取ってつけたエピソードな感じがする。
全体ではなかなか面白いが、実際の事件という重苦しさに満ちていて、息抜きが出来ない。もうちょっとエンターテイメント性もあってよかったと思う。

「K.T.」Official Website


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