[現代こよみ読み解き事典]によりますと、「七曜は」ユダヤ教からキリスト教へ、そして中央アジア を経由し、キリスト教の布教と伴に普及したものであるとあります。また古代インドにおいて「七曜壌災決(しちようじょいさいけつ)」という占いの術が 古代中国の陰陽五行説の確立の背景になったといいます。
陰陽説とは天地万物の全てが「陰」と「陽」から出来ていて、その陰と陽とが交互に現れ対立して お互いに消長を繰り返すという「二元論」の考え方を言います。
五行説の考えを表にまとめますと次のようになります。
1 水は潤下し 水は土地を潤し、集まり川となり海へ下る 2 火は炎上し 火は燃え上がる 3 木は曲直 木には曲がったものや真っ直ぐなものがある 4 金は従革し 金は形を変えて様々な物になる 5 土は稼穡(かしゃく)す 土は種を実らせる
この考えが斉の国の陰陽家「鄒衍(すうえん)」によって五惑星と結び付けられました。
- 天地の始め渾沌とした中で明るく軽い気が陽の気とを作り火となる。
- 暗く重い気が陰の気を作り水となる。
- 天上では火は太陽となり、
- 水は月となり、
- これらが組み合わされて五惑星となる。
- 地上では火と水から五原素が出来る。
引用:暦と占いの科学より
五惑星の関係を表す五行配当は次のようになります。
五行 木 火 土 金 水 五星 歳星(木星) ケイ星(火星) テン星(土星) 太白(金星) 辰星(水星) 五味 酸 苦 甘 辛 [齒成](塩辛) 五節 人日(1/7) 上巳(3/3) 端午(5/5) 七夕(7/7) 重陽(9/9) 五神 蒼竜 朱雀 黄竜 白虎 玄武 十干 甲乙 丙丁 戌巳 庚辛 壬癸 十二支 寅卯 巳午 丑辰未戌 申 子亥 この陰陽五行説の組み合わせにより「日月と五惑星」の考えが生まれたようであります。
これが日本での惑星の名前になっていますね。
七曜が日本に伝わったとされるのは、空海(弘法大師774-835)が遣唐使として中国に渡り 唐の国から持ち帰った「宿曜経(すくようきょう)」であると言われております。宿曜経の「宿」は二十八宿(中国占星術:星座区分)を指し、 「曜」は七曜(日・月と木星・火星・土星・金星・水星)のことを指しておりまして、 毎日の吉凶を知る方法を説いた経典です。
七曜は平安時代の初めに空海が持ち帰ってから間もなく、 朝廷で作られる具注暦に付されております。 又「貞享暦」になりますと「朔日値月曜」などと記されておりまして、 江戸時代までは「七曜星」として吉凶の判断に使われていたということです。
明治の太陰太陽暦から太陽暦への改暦に伴い、「七曜」が「曜日」として使われるように成りました。 それまでの江戸時代では曜日の概念よりも大安・仏滅といった「六曜」が曜日として使われていた 感があります。この「七曜星」や「六曜星」につきまして別に項目を設けようと思っております。
ここまで曜日の由来に付いてお話してまいりましたが、 とても古い項目なので内容に付いては一部間違いがあるかもしれません。 例えばアブラハムはカルディアの出身でユダヤ人の祖先と言われておりますが、 史実ではないようです。ただ宗教書を読んでおりますとさも実在しているように書かれておりますので、 私まで引きずられてしまっているような個所もあります(^^;皆様とは個別の意見の相違がありましょうが大きくは間違えていないと思っております。 例えば民族の分類は学者の数ほどあると言われております。私はイスラエルに付きましては 通常の民俗学の区分ではなく宗教的或いは政治的な経緯や区分で考えております。 民族で見ますとユダヤ人を多民族国家と分類される方もおられますが、 なによりイスラエル自身が決めたユダヤ人の定義(大論争になりましたね)があるため これに従っております。
●現代こよみ読み解き事典・岡田芳朗。阿久根末忠編著・柏書房 ●暦と占いの科学・永田久著・新潮選書 ●時と暦・青木信仰・東京大学出版会 ○時間と宇宙について。アイザック・アシモフ著。山高昭訳。早川書房(注A) ○ギリシア神話・付北欧神話。山室静著。社会思想社・現代教養文庫430 ○旧約聖書略解・日本基督教団出版局 ○世界の宗教と経典・自由国民社 ○世界の神話伝説・自由国民社 ○古代文明の遺跡と謎・自由国民社