大島もえでございます。 議長より発言の許可をいただきましたので、「第17号議案 尾張旭市特別職の職員で常勤 のものの給与及び旅費に関する条例の特例を定める条例の制定について」について反対 の立場から討論させていただきます。 この条例の内容は、市長及び副市長の給料月額をH21午4月1日から12月11日まで の間つまり、現市長の任期が切れるまでの9ケ月余り、それぞれ10% 98,700円と 5%39,550円を減額する内容となっております。 議案上程の理由として、市の説明は、H21年度当初予算調整や事業所訪問で、経済情勢 に痛みを感じて市長判断でこの提案に至ったと理由を述べられました。 私は、市長がこのように、常に社会や市民の暮らしの様子に敏感に感じる深い感受性を お持ちになって市政運営をなされようとしていることには心からの敬意を申し上げるも のであり、否定するものではありません。しかし、その感受性に基づく手段としての方 法論について、意見が異なるため、以下の理由に基づき、疑問に思うことについて、総 務委員会における審査の中で市の答弁を求めましたが、納得できるモノではなかったた め、この議案に対し、反対の立場をここに表明しております。 @ つめの理由といたしまして、特別職の給与というものの定義についての理解が あります。 私は、市長は、特別職という、その職責に対する報酬として本来受け取るべき水準がど れだけに値するかを定められて給与を受け取っているものだと理解しています。 それは、自らがさじ加減で決められるものではなく、客観的な要素に基づき、第3者機 関である特別職報酬等審議会に@諮問し、A答申を受けてB議会で議決をするという手 順の元に、明らかに公開の元で決められるというルールによって保障されております。 その点において、今回の議案上程にあたり、直近の報酬審議会は、第工回は昨年平成20 年末の12月1日に、第2回は今年H2l年1月7日に開かれ、同1月21日には答申を 頂いておりますが、白紙諮問であり、この度の減額において諮問された経緯が会議録か ら読み取れません。 以下、会議録をご紹介いたしますと、市長は冒頭あいさつの中で、「今年の人事院給与 勧告は、民間との給与格差が小さいということで、据え置きとのこと、聞いております。 さて、連日のようにテレビ、新聞などで報道されておりますが、世界的な金融危機の深 刻化や株の乱交下、雇用情勢などを含めまして、大変危惧しております。こうした情勢 は、我が国の財政にも、大きな影響を及ぼしかねず、市政のかじ取りにも、より一層の 緊張感を持ってあたらなければならないとの思いがございます。」と、経済状況を実感し ておられながらも、続く部分で、「最後になりまずが、今回、委員の皆様方には、白紙で の諮問とさせていただきますので」と、減額ではなく、白紙の諮問をなさっておられ、 その答申も据え置きが適当であるとの結論に至っております。 その審議は、公平中立の立場の各委員が率直かつ慎重に、4項目の視点から客観的総合 的に判断しておられ、@過去3年間の人事院勧告を考慮し、A現下の経済・雇用情勢が 大変厳しい状況にあることにも懸念し、B本市の財政状況さらにはC県内各市との比較 により本市が低水準にあることなどにも及んで尚、「特別職が今後も重責を果たしてい かれる期待を込め、全員一致で現行の額への据え置きを」と結論付けられておられます。 私も、職責においてこの200億円余の予算執行の結果市長の言葉を引用するならば、市 政のかじ取りの中で、その成果として市民の痛みを和らげるために努力し還元すること が求められているのであり、給与カットは別次元の方法ではないかと考えております。 Aさんという市長に対しての給与ではなく 「市長」という職責に対しての鈴与であり A 市長個人の問題としてはいけない次元のことだからそのようなルールがあるのだと思っ ております。 政治家として、寄付行為も制限されておられることの意味することを考えるならば、ま た、戦前、参政権は15円以上納税している男子に限られていた時代から、社会が成熟し て収入や性別にかかわらずすべての人が政治参加できるように発展してきた現代におい て、自らの報酬給与を削る判断をする場合には、そのことが私物化と見られないように、 客観的な要素に基づく手続きを経る慎重な姿勢を持って、政治不信にも立ち向かわなく てはならないと思っています。 更に、報酬審議会は答申の付帯事項として、「今後の財政状況等、諸情勢の変動によって は、弾力的に臨時の審議会を開催されることが望ましい。」とまで述べられております。 委員会審査の中で、私は、今回の議案上程までに時間的に諮問することができなかった のだとするならば、今後の諮問予定はどうかと質問いたしましたところ、市の答弁は、 しかるべき時期にとは考えているものの、具体的に予定は無いとのことでした。更には、 「しかるべき時期」を、例えば客観的な市の財政力を示す数字がどれだけの危険値に達 したから:諮問するなどの客観性を持って定めているわけでもありませんでした。その危 険水準値にあっても尚、諮問という手順を省いてはならないと思います。 これらの経緯から、答申を反映するかどうかは別としても、諮問という段階を省いたな らば、そこに客観的な判断や根拠を失うばかりか、この報酬審議会の存在意義すら否定 することにもならないかとの心配および、他の自治体の事例などを参考にする限り、残 念ながら、この度の議案上程に、賛成することが出来ません。 更には、委員会審査の中で、何故、痛みが10%、5%の減額で表現されたのか、20%や 5%でない根拠は何かとの他の委員の質問に対しても、回答するすべがなかった点につい ても、この手続きの経緯を物語っているものと思います。 昨今のムダを省き効率的な財政運営を求められる情勢下にあって、その職責を持って厳 しい現況に応えていただくことを心から願って、反対討論とさせていただきます。 尚、次号の 「第18号 尾張旭市教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例 の特例を定める条例の制定について」にも同様の理由及び、教育長の任期3月の手前、 12月で区切られる点の違和感は、教育委員会の政治的独立に対してのものであり、教育 長は、任命権者は市長であって特別職に準ずる待遇であるようではあっても、教育公務 員であることから、市の委員会答弁にあった「いわゆる市の三役にあたる」といった解 釈からの議案上程には反対の立場を表明いたしまして、討論を結びます。 議員各位のご賛同をお願いいたします。ありがとうございました。 |