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         尾張旭市情報公開懇話会(懇話会)委員まとめ

  

 第1回(2月22日) 懇話会の進め方

 基本的な懇話会の進め方は、趣旨説明(事務局等)〜質疑応答〜調査・審議(意見発表)〜まとめの循環型で実施する。「尾張旭市情報公開大綱()(以下、「大綱案」という)については、「尾張旭市情報公開条例()(以下、「条例案」という)を逐条審議等の過程で相互に参照し、都度検討を加えていき最終的に纏める。なお、逐条審議といっても日程その他の条件からして、情報公開の本質に的を絞って提言への過程を進むため、各条の文言の詳細な修正等までは及ばない。 情報公開懇話会の目的は、「尾張旭市情報公開懇話会設置要綱」(目的) 第2条による。「(5月17日 削除・訂正) (目的)の前の「(以下、「懇話会」という)を削除、また、懇談会とある個所を懇話会に訂正」

 議事録は公開を前提にしてとるが、要約になるため、各回の整理をした「まとめ」を各委員・事務局に配付する。

 1(222) 懇話会 足立 委員 記

 条例案(目的) 第1条の「知る権利」については、「知る権利を尊重し」でなく、一歩踏み込 んで「知る権利を保障」にできないか

 情報公開制度は行政情報の公開を原則とし、例外的に一定の範囲については適用除外事項とし、非公開とすることを受け入れている制度である。本条にある知る権利の淵源を求めれば、憲法前文・第1条・第11条・第13条・第15条・第19条・第21条・第23条・第25条・第26条・第92条等にある。また、世界人権宣言第19条・人権規約B第19条・市民的及び政治的権利に関する国際規約にも見られる。国民主権は国の基本原理であるから知る権利が尊重されることは必然であって、それを保障することは、尊重することの担保である。また公文書の開示請求権も知る権利の担保である。  「(3月22日 追加) 情報公開条例をつくる意義は、「知る権利」の具現化として,市民に情報公開を請求する権利があることを定め、市民は請求権を権利として行使し、行政側は開示の義務を負うことでないのか。もって市の市民に対する説明責任や市民の参加があるのではないか。それでこそ、情報公開の本旨が明確になるのではないか」

 本条での「説明責任を全う」については、公文書公開をもって終了するのでなく、行政全般についての責任をも、持つものである。したがって、説明責任を具体化する措置が条例案の中に組み込まれなければならない。公文書の管理体制・公文書の検索体制・意思形成過程における審議資料、議決資料、会議録・メモ・会議の公開等各機関内部情報の積極的公開が、市民の監視に堪えてこそ、市民との信頼関係が確立されるための基礎となるのである。自治体自らがその非公開の範囲を拡大しないよう取り組むべきである。

 「(517日 追加) 大阪府・京都府・沖縄県・川崎市・京都市・国立市・三鷹市が前文に、高知市・那覇市・日野市・町田市・逗子市・高槻市・吹田市・飯塚市・春日市・品川区・世田谷区・中野区・静岡県蒲原町などが目的規定に「知る権利」の保障を規定した。知る権利は地方自治の場においてこそ創設され得てよいものである。」

 第2条の実施機関については、各種審議会(諮問機関)(例 特別職報酬等審議会・文化財保護審議会等)は含まれているか

 地方自治(住民参加)は、自らの問題や課題を自ら処理することをその趣旨とする。特に審議会等の諮問機関の存在理由は住民参加であり、行政の民主化である。当然にして、公開されるべき内部情報(意思決定過程)が非公開であっては本末転倒である。審議会等の諮問機関は可能な限り、大綱案 基本的原則1・[要点]1にも詠うように、公開することを原則とし、開かれた市政の実現を図るべきである。いたずらに当該審議会等の議決や規則で決めるのでなく、条例案での不開示適用事項の判断を基に、当該審議会等の性質・審議事項の内容で、個別に具体的に決めるようにすべきである。議論内容を公開することは、一時的に混乱や誤解が生じたとしても、結果としては大きく民主主義の熟成に益することとなる。審議会等の意思形成過程を公開することはすなわち、自治体の行政が市民から遊離し、独り善がりの体質へと傾斜し、批判を容認しない硬直した体制へと陥る等の諸弊害から免れ、自治の本旨に根ざした、行政への市民の参加(責任を持つことでもある)理念が達成される。審議会等諮問機関の委員の人選についても行政当局の自由裁量によってなされないよう配慮すべきである。例えば特別職報酬等審議会については、昭43.10.17自治給第942(4)によれば、審議会の運営に際しては「当該地方団体の多くの住民の意見が反映するよう努めるとともに、答申にあたっては、審議経過、答申の理由等を明確にし、住民の理解が得られるよう特に留意すること。」とある。当市では現在審議経過等の判る会議資料等は作成されていない。 平成7年9月29日「審議会等の透明化、見直しについて」閣議決定で、審議会等の公開、議事録の公開を行うこととしている。 川崎市議会公開制度研究委員会は1997年(平成9)3月にまとめた答申で、市民の「知る権利」として、傍聴や議事録の公表などで会議を原則として公開する会議公開の条例を制定すべきとしている。

 本条2は該当実施機関の組織において業務遂行上必要なものとして利用・保存されているものであるが、意思形成過程における審議資料、議決資料、会議録・メモ・会議の公開等各機関内部情報の積極的公開が計られてこそ、市民に対して説明責任を具現化したことになる。(私的情報(文書)か公的情報(文書)の判断には司法省事件(BNA事件)(1984)が参考になる。)

 本条 2(3)については、歴史や文化的な資料であればあるほど、学問等の発展に寄与させるためにも公開すべきでる。必要とあればその公開手段も措置すべきである。 「(3月22日 追加)「管理しているもの」の文言は法律のように「保有しているもの」にすべきである。文書不存在への対応。 大綱案 要点2」

 3条の実施機関の責務で、「個人に関する情報がみだりに…配慮しなければならない。」とあるが、この文言は不要では。

 本条の指摘個所は大綱案[基本的原則]2にもあるが、個人の尊厳を守ること自体は枢要なことである。情報公開の観点から考えた場合、ここでこの文言を重ねても、基本的な判断基準は、第7条 ()(2)(3)に基づいてなされ、大綱案[基本的原則]2は具現化されているのではないか。改めて義務化された場合守秘義務違反との兼ね合いで、現場の職員に対する情報公開への消極的な心理的抑制効果が作用しないか。また個人情報保護条例ならともかく、情報 公開の責務規定のなかにおくべきではないと考える。むしろ「公文書を恣意的に作成しなかったり、廃棄したり、秘匿したりするようなことがあってはならない」と文言を入れ替えるべきである。

 第4条の利用者の責務は必要か

 情報公開の本旨が知る権利を保障するものであるなら、憲法第13条・第21条等の関連から、特に責務規定での確認は不必要であると考える。どのような目的に使用するかは、各自の問題であって、情報公開条例で確認することではない。使途の制限された情報公開はありえない。開かれた市政の目的とは相容れない。開かれた市政を作る目的を課されているのは先ずは行政側なのである。情報公開法の目的からもこの点は読み取れる。濫用してはならずとは市民からの観点ではない。

 5条の何人もについては妥当か

 本条の何人は、国民主権(市民)との関連で整合性欠くが、世界が同一システムの情報アクセスの体系化に組み込まれている今日的状況からすれば、情報は遍く使用されてこそ生きると考える進取的な対応こそ、情報化社会のあるべき基本であろう。FOIAは世界中の人に公開されている(ただし、プライバシー法(Privacy Act)は、U.S .citizens or permanent resident aliensのみ)。また、大綱案の[基本的原則]3にあるように、分かりやすく、利用しやすい制度とするには、本条に「公開請求者は、実施機関に対して、公開請求に必要な情報の提供と助言を求めることができる。」の文言が必要である。 「(3月22日 追加) 法人・団体についての範囲についても入れるべきではないか。」

 6条の公開請求については

 公開請求書による方法をとっているが、今日においては当市もホームページを開いて情報の公開に努めていることを考慮すると、ホームページ・Eメール・ファックス等も含めた多様な公開請求の手続きを考えるべきである。したがって、本条の(3)の実施機関が定める事項は、各実施機関によって煩雑な要件を追加するのでなく、公開請求書に関する上述した多様な手続き方法に対応するものと見なすべきである。また、公開請求者の求める公文書入手方法(電磁的媒体等)についても配慮する必要がある。

 第7条の公文書の公開義務について

 (1)は、いわゆる個人識別型とプライバシー型とが混在されているが、個人情報に関する条項は個人のプライバシーを侵す情報は公開しないということで、個人名が分かるから公開しないというのではない。個人識別型は情報公開の幅を狭く解釈する。プライバシー(他人に知られたくない情報)の侵害にあたる情報は非公開とするのが明確である。なお、プライバシーのなにがの対象については、「北海道情報公開条例」第10条のようにすれば、実施機関の判断にも、公開請求者にもわかりやすい。

 (1)ウの (当該公務員の氏名…)については、当該公務員の私生活に係るところはプライバシーに関する本条の(1)等が判  断基準となるが、公務に関する情報は本来プライバシーとは無関係であるから、公開によって説明責任を全うすべきと考える。したがって不要な文言である。判例・学説の大勢は個人に公務員は含まないとしている。

 ()アについては、著しくという文言を「害する」の前に置いて、範囲を限定的にすべきである。

  イについては、秘密約束情報のような場合、提供者が情報の非公開を条件とすれば、内容が如何様なものでも非公開   となしえ、情報公開の趣旨を不完全なものとしてしまう。したがって非公開かどうかは一律にその情報の取得手段によって決めるのでなく、情報の内容によって決めるのが合理的である。 (3)については、明らかなの文言を「おそれがある情報」の前に置いて限定すべきである。

 (4)については、情報公開の本旨を理解するとき、実施機関の主観によって恣意的に「…おそれ」があると判断されて、非 公開措置がとられることは望ましくない。「…中立が不当に損なわれるおそれ、」・「不当に利益を与え若しくは不利 益を及ぼすおそれ」が具体的・客観的に明白に存在することを要するとの考え方が必要である。一律に非公開にするので なく公開請求の具体的情報の内容によって都度の判断ができる必要がある。また、非公開とする保護利益は期間が経過す れば失われるはずであるから非公開の対象から積極的に外す措置が必要である。

 (5)についても(4)と同様に考えられる。

 (6)については、地方分権が推進されている中、地方自治体が担う事務としての「自治事務」、国の利害に関連する事務としての「法定受託事務」があるが、法定受託事務については、事前協議等の選択余地が無いわけではないので、自治体としての裁量を自ら放棄するような規定を設ける必要性はないと考える。むしろ本条例の公開の適用除外項目に該当するかどうかを問うて、協議すべきであろう。

 「(3月22日 追加) 情報公開法要綱案の考え方 7補則(3) に、「地方公共団体の自律性を尊重し、地方公共団体に対して、国の情報公開法を直接適用することはしないが、それぞれの地方公共団体において、この法律の趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し、」との文言がみられる。関連法第41条 (地方公共団体の情報公開) ・要綱案6」

 「(3月22日 追加) ()ウについて、(当該公務員の氏名…)は、この文言をいれるにしても、「不当」を「相当に」とかの文言に入れ替えるべきと考える。そしてその相当に害するおそれのある場合の現実についての挙証責任は実施機関にある。中央省庁の課長相当職以上のものについての件に関しては、地方自治体としてはどう考える。」

 「(517日 追加) 大綱案7(1)の公務員の職及び氏名に関する情報と、12総号外平成12512日 事務局の考え方についての関連は」

 第8条の「ただし」書きについて

 有意の情報が記録されていないと認めるのは、実施機関の一方的な判断(裁量)に委ねることになりはしないか。理由の付記措置か公開等が必要である。

 第9条の裁量的公開について

 本条は地方公務員法第34条 職務上知り得た秘密と職務上の秘密を守る義務との関連でみた場合、免責条項ともとれる。第7条の(1)()(2)の但し書きにて、公益上の比較衡量的判断はなされている。本条の積極的意味を考えると、(第7条第6号の情報を除く。)の文言を除くべきである(「情報公開法要綱案の考え方」からすれば、第7条の(5)に関連して、本条を言及しいている。基本的には公益上の判断である。)また、この条文の中の文言で特には、情報を公開するという観点からは限定的になるので除くべきである。

 第10条の自己情報の開示について

 基本的には個人情報保護条例を制定して、自己情報の開示請求権を保障していくの筋である。情報公開が個人情報に係る適用除外事項を受け入れたのは、他人の自己情報制御権またはプライバシー権を侵すことやそのおそれがあると考えたからである。であるならば、そのようなことのない本人には公開がされてもよいはずである。判例でも本人請求であることから、プライバシー保護は非公開(非開示)の理由にならないとしている。したがって「ただし」以下の文言は除き、234は残す。第7の第6号は先の審議による。

 小・中学校指導要録の大幅な改訂(1991年)の点からも(2)は考慮されなければならない。(関連: 「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律施行 平成1101日 第13条処理情報の開示」

 第11条の公文書の存否に関する情報について

 もともと情報公開は当該情報が適用除外に該当する場合のみ例外的に公開請求者に非公開(拒否)をするものであるが、存否応答拒否は「あるともないとも言えない」という理由で当該の公開請求を拒否するものである。しかし、このような存否応答拒否はそれだけで論理が破綻している。公開請求者は多分あると判断する。FOIAでは屋上に屋を重ねてexclusion(対象外情報)を設けた。つまり、″ない≠ニ答えてよいとした。現実(運用)処理ではプライバシー型の非公開でよいと考える。この条項を置く場合でも、北海道条例に見られる「特定個人の生命、身体又は名誉が侵害されると認められる場合に限り」とすべきであろう。これも上述した理由からあまり意味はない。非公開にしたことには変わりないし、公開請求者はあると判断するかもしれない。むしろ情報隠しに濫用されないようにすべきである。自治体の事務作業に存在自体を秘密にすべきことはないはずである。

 「(3月22日 追加) 静岡県の例で、個人のプライバシーを侵害するおそれがあるため「非開示(ただし文書の存在を前提としない)」という主文をもって非公開とした。」

 2(322) 懇話会 足立 委員 記

 第12条公開請求の拒否

 情報公開の本旨は、原則公開、例外非公開(の中に例外公開を含む構造)である。その基準は、第6条から第11条までに見られる。本条は、恣意的解釈が濫用されやすい上に、実施機関現場に、さらに裁量を与えることによって、実質公開の制限が働くことになる。公開への所定の手続に基づいてなされる開示請求が、不当な目的であると如何に判断されえるのか。まずもって情報公開の目的は、行政の保有する情報を公開することにある。公開を請求する側の目的を問うことではない。第4条での趣旨と同様と考える。大綱案6と齟齬をきたす。本条が大量請求などを想定しているとしたら、条例案第15条による、公開決定等の期限特例に拠ればよい。一概に大量請求や繰り返し請求をおそれるのでなく、実施機関側のファイリングシステム等(文書目録の理解の容易性等)の整備・コンピュータ化をし、行政情報の公開に対処するのが、本筋であろう。条例化によって、拒否すべき問題ではないと考えられる。また、請求段階における公開拒否は権利を侵すものと考える。

 13条公開請求に対する措置

 1項・2項とも、「公開請求者に対し、」の次に「速やかに」の文言を挿入すべきである。また、2項の場合、その決定に対して不服申立ができることを併せ記載するようにする。

 第14条公開決定等の期限

  (1項 ただし書きは、行政手続法 第789関連)

  2項「遅滞なく」は「速やかに」の文言に変えて、迅速な処理を実施機関に求める。

 「(4月19日 追加) 確かに事務局回答の用語説明です。ここまで調べたなら、条例案第16条3項(1項は任意規定である。大綱案14も任意である。情報公開法要綱案第13条3項「速やかに」)にある、直ちにの説明はどう整合性をとるのか。「直ちに」は、遅滞なく・すみやかにと比較し、一番時間的即時性が強く、すぐにやれという趣旨をあらわそうという場合に多く使われている。また、「遅滞なく」と「直ちに」は違反して遅れた場合は、それが不当というだけでなく、違法という問題にまで発展する場合が多いといえる。これでは、当該公開請求者との扱いにおいて、均衡がとれていないのではないか。なお、「直ちに」は時間的即時性をあらわすよりは、むしろ、「通常の場合にふむべき所定の手続をふまないで」か、「何らの条件をつけないで」ということをあらわす趣旨で用いられていることもある。この説明の意味で条例案第16条3項解釈すれば、その趣旨は何か。 「遅滞なく」の文言を用いる例もあるが、多くの場合「速やかに」が使用されている(愛知県条例第8条3項)。本条は既に合理的な理由に基づく遅延(延長)は、当該公開請求者になされているのだから、もう「できるだけはやくやりなさい」ではないか。それとも、「直ちに」文言を換えるか。」

 15条公開決定等の期限の特例

 第12条との関連。「著しく大量である」や「相当の期間内」とか判断基準が不明であるが、実施機関の恣意的裁量にならないように、不合理な遅延を防止するための制裁規定を置くべきである。また、「相当の部分」を公開請求者と相談の上で決めていくなどの運用も実務レベルでは必要である。

 「(4月19日 追加) 情報公開法要綱案の考え方5 「開示請求及び処理の手続(6)処理期限及び著しく大量な行政文書の開示請求の取り扱い」で、「・・・相当の部分の開示後、適宜の方法で、開示請求者の意志を確認するなどの運用上の措置も考慮に値する。」の文言がある。」

 第16条第三者に対する意見書提出の機会の付与等

 本条は既に第7条で判断がなされているのであるから、このような手続は不要である。機会を付与するとしても、第9条の場合に限られるであろう。また本条を存続させる場合でも次のような理由で、任意規定にすべきである。実施機関が個人や法人の不利益と公開することによる公益を比較衡量するのであるが、判断を間違えた場合、当該第三者から、開示の差止めや損害賠償等を求められるおそれがあることを避けるための、担保である。しかし、情報公開が当該第三者の利益保護を重視するばかりに、情報公開との均衡をくずすことにはならないか。また、行政手続法にいう不利益処分に直接的にあてはまらないのではないだろうか。

 2項の機会付与については、「機会をあたえることができる」任意規定でよいのではないか。

 3項において、公開決定日から実際に公開するまでの期間が延びないように配慮すべきである(参考:一週間程度か)

 公文書に複数の第三者の情報が記録されている場合は必要な程度に通知すればよい。(行政事件訴訟法9条「当該処分又は裁決取消を求めるにつき法律上の利益を有する者」・行政手続法2条4「不利益処分 行政庁が、法令に基づき特定のものを名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう」に、単に当該公文書に当該第三者の情報が記載されていても当てはまらないのでないか。利害関係の度合いの程度。行政不服審査法4条「行政庁の処分に不服がある者は・・・」)

 「(4月19日 追加) 第三者に通知する場合においても、公開が遅延しないよう、第三者からの回答期限や回答の手段も種々講ずるべきである。また第三者の権利・利益の保護は行政争訟によらなければならないわけではない。」

 第17条公開の実施

 公開の実施あたっては、公開請求者側の受領方法の要望を取り入れる等の運用がなされるようにする。郵便は当然として、特に情報化の進展する中、ファックス・E-mail・フロッピーディスク・直接パソコンからパソコン・光ディスクファイルシステム等の文書管理コンピュータからの文書・図画の直接公開請求者への交付などの方法を、ファイリングシステム(情報公開が有効に実施できるように、文書が管理・整備されていること)の中に取り入れて、費用と手間を省くようにすべきである。

 第18条他の制度による公開の実施との調整

 本来なら、新規に制定された情報公開法の本旨に合わせるように、存続する個別法の公文書の公開に係る規定を調整すべきである。他の法律によって、情報公開法の開示適用を制限すべきではないと考える。情報公開法要綱案の考え方 7補則(5) に、「基本的には情報公開法の規定と個別法の規定とがそれぞれ適用されることにしてよいと考えられる。」としながら、「個別法は行政文書一般に対する開示請求権を定める情報公開法がない時期に制定されたものであることにも留意する必要がある。調整措置を講ずるに当たっては、情報公開法の適用について何らかの特例を認める場合にも、本法の趣旨に反しないことを基本とした上で、本法を並行的に適用すると個別法に基づく事務の適正な遂行に支障が生ずる特別の事情があるかどうか、特例を認める文書(情報)の範囲等が法律上明確にされているかどうかなどの点について個別に検討することが必要である。」との文言がみられる。

 「(4月19日 追加) 合理的であるかどうかの判断は公開請求者に留保されるべきもので、どの法令等に従うかは選択できてもいいのではないか。請求者・担当職員には説明の問題であって混乱はないとかんがえる。」

 第19条費用負担

 ほんらい情報公開制度は、日本国憲法の定める国民の諸権利から帰納される、知る権利の具現化でありその保証である。その権利行使が円滑に遂行される環境を整備する必要がある。

上述からして、本条1項の手数料(閲覧等の)を無料とすることは評価できる。2項についても、情報の公開は住民の権利に根ざした地方公共団体の責務と見なしたとき、疑問の残る余地がある。公文書の写しの交付形態は現在、コピー用紙での交付を想定しているが、保有する電磁的記録を直接他の同じような方法にて受領できる場合(:コンピュータからコンピュータ・媒体を持参してそこに電磁的記録をしてもらうことによって、公文書の交付を受ける)・本人持参のカメラ撮影による交付・カラーコピーでの交付等種々の形態を考慮すべきである。なお、公開請求に際しては、請求の目的・利用の目的等(大綱案 6・条例案第6条)は問わないのであるが、本人申請内容によっては、謄写費用の減免措置がとられることも配慮すべきである。

 第3回(419) 懇話会 足立 委員 記

 第20条審査会への諮問

 ()は、行政不服審査法 第45条異議申立期間に基づく表示はあるか。

「情報公開審査会の答申を受けたときは、これを尊重し、当該不服申立てに対する裁決または決定をしなければならない。」の義務規定を設ける。また、情報公開条例が行政不服申立を主としているのは、簡易迅速な権利救済を必要としたためである。したがって、不服申立てがあった時は、不服申立てを受理した日から○○日以内に、裁決または決定を行う努力規定も必要ではないか。(北海道情報公開条例 第21条 翌日から三月以内)

諮問した旨の通知を省いた積極的理由は何か、法は手続規定を義務付けしているが。

情報公開審査会の答申は公開をする。

 第21条第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続

 本条は、第16条との関連趣旨で不要と考える。第三者の権利・利益が、事後の損害賠償請求で損害の回復が可能と考える。必ずしも行政争訟だけにのみに限らない。

 第22条情報公開審査会の設置

 法にある調査の文言を削除した積極的な理由は何か。条例案第25条(審査会の調査権限)・第29条(調査審議手続の非公開)との論理の整合性は取れていない。諮問された事項を審議するには、その前提として、調査(事項を明確にするため)することは要件と見る。審議は当該事項の可否・適否を詳細に論議することに、視点がおかれたものと考える。

 2項は、「意見を」の文言を「助言的意見(勧告的意見)を」に換えて、条例の実効を醸成するようにする。 (地方自治法 第138条4 (委員会・委員・付属機関)第3項)

 第23条組織

 現在,委員の人数は5名のところが殆どであるが,一時的に審査会の答申が滞り遅延するような状況が生じた場合には、部会等の検討も必要になるのではないか。

 第24条 委員

 情報公開審査会の委員には、市の顧問弁護士のような立場にあるものは公平さの見地から避けるようにすべきであろう。委員のうち一名ないし2名は、広く住民の中から情報公開に関心のあるものを一般公募の方法で委嘱することも考慮すべきである。選任過程を透明化すべきである。

 議会の同意を得て委嘱するということにならないか。首長制による長の付属機関ではあるが、地方自治法第96条以下の観点・条例案の趣旨から見ても同意を得てもよいのではないか。

 3項は引き続きの再任の上限を定めることが必要である。例えどのように優れた識見を有するものでも、その能力の限度・弊害等を知るべきで、機会損失的発想を持つべきである。委員の再任の常態化は救済判断の硬直化を生じる。

 4項については秘密を漏らす行為については罰則規定を設けるべきである。いずれにしても、委員には第三者性が期待されうることを重視して欲しい。

 「(5月17日 追加) 裁量権の行使に際しては、条理上の制約が存していると解すべきである。いわゆる公益原則・平等原則・比例原則などが考えられるが、行政庁が裁量権を行使するにあたり遵守すべき原則と解される。が、条例で規定しておいたのが恣意的裁量を減じられる。」

 「(5月17日 追加) 「愛知県情報公開条例(愛知県情報公開審査会)第205 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。」で、再任の規定はない。」

 第25条審査会の調査権限

 1・2項インカメラ手続、3項ウ゛ォーン・インデックス手法といわれているのであるが,いずれにしても、その前提となる、情報公開を目的指向したところの、文書作成段階・文書整理・保管・保存・廃棄に至る公文書管理システムの確立がなされ、庁内で周知徹底されることが肝要であり、情報公開の実行を期すことができる。

 1項・3項の文言必要があると認めるときは不要である。求める時は必要な時なのであって、その判断は「〜できる。」とされた、審査会が決定することであって、諮問庁の判断ではない。

(1項 関連 憲法 82条裁判の公開 民事訴訟法(文書提出命令等)第223条3項)

(4項 関連 行政不服審査法(参考人の陳述及び鑑定の要求)第27条 (物件の提出要求)第28条)

 第26条意見の陳述

 本項は、書面審理とあわせて口頭意見陳述は、不服申立人等の主張内容を如実に聞くということで、その手続的意義は甚大である。したがって、但書き以下の文言は不要と考える。

条例案と行政不服審査法は並存法制である故に、諮問庁に対する口頭意見陳述は不要でないか。(行政不服審査法(審理の方式) 第25条但書き)

 第27条意見書等の提出

 (行政不服審査法(証拠書類等の提出) 第26条 そのまま)

 第28条提出資料の閲覧

 審査会は資料・物件の提出があった場合に、不服申立人等にその旨の通知は必要でないか。

 行政不服審査法(弁明書の提出)223項の規定に関連付ける。

 (行政不服審査法(処分庁からの物件の提出及び閲覧) 第33条2項関連)

 第29条調査審議手続の非公開

 答申書の公開は前提とすべきであるが、インカメラ審理で非公開文書を扱う限りは、審査会の会議・審査機関の意見聴取等非公開が原則であろう。しかしながら、議事日程や議事項目の外形的体裁の記録文書は公開を前提とすべきである。なお、審査期間についての期間に関する定めがないが、行政不服審査法(定義)第2条2項に制約されるのか。

※法は答申書の送付等を第34条で定めているが、運用に任せるだけでなく、条例案に規定すべきでないか。

 第30条 情報提供の推進

 情報提供の総合的推進の具体化として、会議公開(実施機関とその付属機関及びこれに準ずるものの会議は公開・議事録の公表等)や個人情報保護情報の維持管理をも視野に入れ、市民が行政に対して信頼の置ける情報提供ができるようにすべきである。

 情報公開の推進として、積極的に市民に対して情報を公開する義務規定も必要ではないか。例えば、武蔵野市のように、市民として知るべき情報の最小限(CIM Civil Information Minimum)を行政(各実施機関)に義務付け、行政の説明と責任を果たしていくという方法も、情報公開という観点から新たに考慮する課題である。

 第31条公文書の検索資料の作成等

 情報公開を有効ならしめるためには、実施機関の現場職員が、簡単に当該文書へアクセスできるよう管理されていること、当該文書の存在場所が容易にわかる検索システムが整備されていること、これらに基づいて公開請求者に対して必要な情報が提供されることが肝要である。これらのことから、情報公開制度に適合したファイリングシステムの構築は必須である。特にファイリングシステムにはコンピュータ化を強く意識した制度規則が必要である。

 また、従来型の一方的な配布情報を扱うのでなく、多様なニーズを持った市民などからの情報引出しを扱うのであるから、特に(機械化による)情報検索体系化は庁内の公文書取得段階から意識することが必須である。法 (行政文書の管理)37条・(開示請求をしようとする者に対する情報の提供等)38条を積極的に取り入れるべきである。

 第32条実施状況の公表

 本条は、一定の管理すべき事項の存在を前提とします。条例案の円滑な運用を図る為の措置としての法第37条・第38条を取り入れていてこそ、管理基準が明確になり、それに対する報告となります。いわば情報公開の経営管理に等しく、管理サイクル(計画・実施・評価・見直し)に則ります。基準なくして、管理なしである。審査会は報告を受けその内容について条例の施行状況についての意見を述べることができる。情報公開推進のために必要ではないか。また、議会への報告をも考えるべきである。

 実施状況の公表の内容については触れていないが、Freedom of Information Act5 U.S.C. § 552(e)が適用できるのではないか。

 (e)(1) On or before February 1 of each year, each agency shall submit to the Attorney General of the United States a report which shall cover the preceding fiscal year and which shall

include -- (A) the number of determinations made by such agency not to comply with requests for records made to such agency under subsection (a) and the reasons for each such determination;

(B)(i) the number of appeals made by persons under subsection (a)(6), the result of such appeals, and the reason for the action upon each appeal that results in a denial of information; and

(ii) a complete list of all statutes that the agency relies upon to authorize the agency to withhold information under subsection (b)(3), a description of whether a court has upheld the decision of the agency to withhold under each such statute, and a concise description of the scope of any information withheld;

(C) the number of requests for records pending before the agency as of September 30 of the preceding year, and the median number of days that such requests had been pending before the agency as of that date;

(D) the number of requests for records received by the agency and the number of requests which the agency processed;

(E) the median number of days taken by the agency to process different types of requests;

(F) the total amount of fees collected by the agency for processing requests; and

(G) the number of full-time staff of the agency devoted to processing requests for records under this section, and the total amount expended by the agency for processing such requests.

(2) Each agency shall make each such report available to the public including by computer telecommunications, or if computer telecommunications have not been established by the agency by other electronic means.

(3) The Attorney General of the United States shall make each report which has been made available by electronic means available at a single electronic access point. The Attorney General of the United States shall notify the Chairman and ranking minority memberof the Committee on Government Reform and Oversight of the House of Representatives and the Chairman and ranking minority member of the Committees on Government Affairs and the Judiciary of the Senate, no later than April 1 of the year in which each such report is issued, that such reports are available by electronic means.

(4) The Attorney General of the United States, in consultation with the Director of the Office of Management and Budget, shall develop reporting and performance guidelines in connection with reports required by this subsection by October 1, 1997, and may establish additional requirements for such reports as the Attorney General determines may be useful.

(5) The Attorney General of the United States shall submit an annual report on or before April 1 of each calendar year which shall include for the prior calendar year a listing of the number of cases arising under this section, the exemption involved in each case, the disposition of such case, and the cost, fees, and penalties assessed under subparagraphs (E), (F), and (G) of subsection (a)(4). Such report shall also include a description of the efforts undertaken by the Department of Justice to encourage agency compliance with this section .

 第33条出資法人等の情報公開

 地方自治法 第221条(予算の執行に関する長の調査権等)に則り、調査し、文書の公開をするという、定めをおくべきである。また、尾張旭市補助金等交付規則 第14条等に係る定めをおくべきである。大綱案24の関連として具体化する。北海道は、出資法人等の情報公開に関して、「北海道出資法人等情報公開要綱」を作成している。努めるものとする。の文言は法に倣って、措置を講ずるものとする。の文言にする。

 「(5月17日 追加) 「愛知県情報公開条例 (出資法人等の情報公開)第27条 実施機関は、県が出資する法人その他県が財政的援助等を与える法人等のうち実施機関の規則で定めるもの(以下「出資法人等」という。)について、その性格及び業務内容に応じ、出資法人等の保有する情報の公開が推進されるよう、出資法人等に対し指導する等必要な措置を講じなければならない。」とある。」

 第34条委任

 法第35条に類する条文の定めがないため、本条が審査会の調査審議の手続に関することをも含めているなら、審査会の必要事項(要綱等)は審査会が定めるようにする規定が必要でないか。情報公開の対象となる実施機関が定めるのは、審査会の第三者救済機関としての自主性に支障がある。条例案では基本事項が定められ、細目については施行規則によるわけであるが、公開請求者にとって利用しやすいことと、実施機関にとっても公開請求に係る事務処理が迅速且つ円滑に行われる仕組みが必要である。

 「(5月17日 追加) 北海道情報公開条例 (会長への委任)第36条」

 附則

 2項は公文書の作成・取得等の時期にかかわらず、施行時以降に実施機関が保有しているもの、又は保有すべきものについて適用すべきである。情報公開法要綱案では、「第29 2項で、施行日前に行政機関の職員が作成し又は取得した行政文書についても、施行日以後現に行政機関が保有しているものについては、この法律を適用するものとすること。」としている。膨大な情報(公文書等)を保有する国レベルでさえ実施するのであるから、本市でもできる筈である。文書管理の整備未完了は情報公開適用の除外とはならない。したがって、2項の文言は不要である。

 情報公開要綱案の考え方では、「当該行政機関の事務運営に必要な範囲で保有されているものであり、情報公開法の施行日の前後で適用関係を異にすることは合理的でない。そこで、本要綱案では、情報公開法の施行日前に作成し又は取得した文書も対象となることを明確にした」・「法の施行前に、開示請求に的確に対応することができるよう、行政文書が適切に管理されるようにしておくことが不可欠である。」との文言が見られる。

 4(517) 懇話会 足立 委員 記

 大綱案について

 「韓国「公共機関の情報公開に関する法律」第1条(目的)この法律は公共機関が保有・管理する情報の公開義務及び国民の公開請求に関して必要な事項を定めることで、国民の知る権利を保障し、国政に対する国民の参加と国政運営の透明性を確保することを目的とする。」と、ある。

 情報公開の制度は、市民に市(自治体)の保有する情報の公開を請求する権利を認め、自治体にはその請求に対して情報を公開する義務を課すことである。この権利・義務の対応において、自治体による恣意的な解釈に基づく判断が減じられ、市民の必要に応じた情報が得られるようになる。その具現化として、条例での「知る権利」としての保障がなければならないと考えられる。

 情報公開法(地方公共団体の情報公開)40条、地方分権推進法第71項、情報公開法要綱案の考え方7補則(24〜第29)(3)地方公共団体の情報公開「地方公共団体の自律性を尊重し、地方公共団体に対して、国の情報公開法を直接適用することはしないが、それぞれの地方公共団体において、この法律の趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならないという規定を設けることにした」などからみても、情報公開法を超えた条例の制定は合法と考えられる。したがって、大綱案〔基本的原則〕に、知る権利の保障を積極的に明記し、よって条例案の構造の骨格とすべきと考える。

 5(629) 懇話会 足立 委員 記

 提言まとめ

 情報公開は地方自治体が国の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)」に先立って条例を制定してきた経緯が存在する。したがって、条例の上位規範は地方自治法に根拠を求め、さらに深めれば、憲法に依拠する。情報公開法よりも先進的な規定を持つ条例があっても、例えば、知る権利の保障を明記していても、法の抵触・齟齬は生じていない。むしろ、情報公開に際し、法はミニマムを制定したと考えるべきである。

 本市は2001年に施行される予定の情報公開法に合わせての条例制定となる。愛知県下の各市の条例制定状況と比較しても、条例制定は早い方ではない。(参照:情報公開制度実施状況・市区町村数及び市区町村条例等の制定率 自治省作成)しかしこのことは、本市が条例制定に多くの先達を得ることでもあり、市民にとってよりよい情報公開条例を作成するには、環境は整っている状況である。本来なら、懇話会と同時進行で、情報公開に関する市民の意識調査もあわせできれば、条例の制定に寄与すると考えるが、情報公開は一方で、一度施行されたらそれで良しとするのでなく、実施し調整する場面も考えられるで、市民への浸透を図る意味においても、広く市民の意見を聴く機会を設ける必要がある。

 また、本市は制定の準備期間が短いことを議会でも指摘されているが、開示・非開示の判断に、守秘義務との関連で、無用な混乱を生じないように、実施機関に対するマニュアル・教育手段・対象となる公文書の整備が急務であることを、特に付しておく。

 さて、懇話会は逐条審議を重ねてきたが、その理由は、大綱案は本旨としても、情報公開請求の場で、実際に判断し適用される基準は各条項であり、また、大綱案の趣旨は各条がそれぞれ情報公開条例の目的とするところに沿っていれば、大綱案の趣旨は充足されると考える。

 本来情報公開の目指すところは、私たちを取り巻く所与の生存環境は私たち市民自身が決定するという地方自治の本旨に基づくのである。それは換言すれば、私たち市民一人一人が個々の課題に取り組むために必要とする情報を提供することである。膨大な公文書の公開は、市民に公開されることにより新しい意味を付され、個々人の課題の対応あるいは問題提起となって、裨益することになる。それはひとえに大量に纏められ・整理され・いつでも必要な時に取り出せる資料として、公開されることが必須である。また、私たちが共有化された判断資料をもつことにより、認識の共通化が図れ、自治体取り組みへの参画が容易になる。 提言にあたっては、いくつか留意しておきたい。

 第一に、地方分権化に伴い、行政機関自身が自分達の自治体は住民と共に処するという意識を新たにして欲しいことである。そのために市民(公開請求者)に対する積極的な公文書公開の応接をし、問題解決等に向かう市民との新たな関係樹立望むものである。公文書の公開は従来の手続に伴う実務処理以外に、これまで内部資料としていたものを公開するという激変にも似た状況が発生するのであるから、その教育を繰り返し徹底する。

 第二に、公文書は本来住民に帰属するものであるということである。プライバシーとの相克はみられるが、基本的には実施機関の裁量によって公開されるべき性質のものではない。したがって、公文書公開の請求権利とそれに伴い実施機関の公開の義務がある。

 第三に、原則公開に則り、各実施機関は市民の批判の下に置かれることを恐れずに、情報公開が種々の課題を解決するための手段であることを認識することが必須である。

 第四に、情報公開条例施行にともない、各実施機関の公文書の整理状況をホームページ・広報等で公示する。どのような文書が整理されつつあるのかを逐次広報する。

 第五に、情報公開は単に本市民だけが公開請求者ではないのだから、インターネット等の処理手続を十分に利用すること。文書の電子化は二次・三次加工の時間にも寄与するから、極力その制度を整えて実施する。

 以下のまとめは、「尾張旭市情報公開懇話会(懇話会)委員まとめ(以下、「まとめ」という)」による。 

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 情報公開制度の意義

 情報公開の制度は、市民に対しては市(自治体)の保有する情報の公開を請求する権利を認め、自治体にはその請求に対して情報を公開する義務を課すことである。この権利・義務の対応において、自治体による恣意的な解釈に基づく判断が減じられ、市民の必要に応じた情報が得られるようになる。その具現化として、条例での「知る権利」としての保障がなければならないと考えられる。

 1 情報公開の目的

 情報公開条例をつくる意義は、「知る権利」の具現化として,市民に情報公開を請求する権利があることを定め、市民は請求権を権利として行使し、行政側は開示の義務を負うことでないのか。もって行政機関の市民に対する説明責任そして市民の批判の下に公正で民主的な行政の運営を推進することではないか。それでこそ、情報公開の目的が明確になるのではないか。「まとめ 第1条」による。

 2 実施機関及び対象情報

 「まとめ 第2条」による。特に実施機関については、条例案の定義に、各種審議会(諮問機関)等の住民への情報公開のあり方を望む。

 3 実施機関の責務

  「まとめ 第3条」による。

 4 利用者の責務

  「まとめ 第4条」による。

 5 請求権者

  「まとめ 第5条」による。

 6 公開請求

  「まとめ 第6条」による。

 7 公開・非公開情報

  「まとめ 第7条」による。

 8 部分公開

  「まとめ 第8条」による。

 9 裁量的公開

  「まとめ 第9条」による。

 10 自己情報の公開

  「まとめ 第10条」による。

 11 公文書の存否に関する情報

  「まとめ 第11条」による。

 12 公開請求の拒否

   「まとめ 第12条」による。

 13 公開請求に対する措置

  「まとめ 第13条」による。

 14 公開決定の期限

  「まとめ 第14条」による。

 15 公開決定の等の期限の特例

  「まとめ 第15条」による。

 16 第三者に対する意見書提出の機会の付与等

  「まとめ 第16条」による。

 17 公開の実施

  「まとめ 第17条」による。

 18 他の制度による公開の実施との調整

  「まとめ 第18条」による。

 19 費用負担

  「まとめ 第19条」による。

 20 審査会への諮問

  「まとめ 第20条」による。

 21 第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続

  「まとめ 第21条」による。

 22 情報公開審査会の設置

  「まとめ 第22条」による。

 23 組織

  「まとめ 第23条」による。

 24 委員 

  「まとめ 第24条」による。

 25 審査会の調査権限

  「まとめ 第25条」による。

 26 意見の陳述

  「まとめ 第26条」による。

 27 意見書等の提出

  「まとめ 第27条」による。

 28 提出資料の閲覧

  「まとめ 第28条」による。

 29 調査審議手続の非公開

  「まとめ 第29条」による。

 30 情報提供の推進

  「まとめ 第30条」による。

 31 公文書の検索資料の作成等

  「まとめ 第31条」による。

 32 実施状況の公表

  「まとめ 第32条」による。

 33 出資法人等の情報公開

  「まとめ 第33条」による。

 34 委任

  「まとめ 第34条」による。

 附則

  「まとめ 附則」による。

 付記 各詳細提言内容は、「尾張旭市情報公開懇話会(懇話会)委員まとめ」1〜16ページによる。    

 謝辞

 下記の文献等を引用・参照等させていただきました。いちいちのお礼は致しませんが、地方分権化の時代にあわせ、いか   に情報公開が、私たちを取り巻く生活環境の共通課題を解決するために、大きな手段となり、またその解決への意思形成・決定の過程に参画できる方法であるかを学ぶことができました。情報公開が真に住民のツールとなったときには、未来への対応の展望は開けると考えます。

 また、今回はインターネットを利用しての文献へのアクセス・各自治体のホームページを通しての資料入手など、短期間   に情報公開に対する考えを纏めるのに、大いに助かりました。このことからも、時間・経費の節約には多大なものがあり、各自治体が情報公開(資料公開)をホームページ上でも、取り組むべき最優先課題であると考えます。概して、情報公開に熱心 な自治体は対応(応答)が早いということがわかりました。

[参考文献]

『情報公開と文書管理』(平成9年5月20日再版発行) ぎょうせい

『情報公開制度のポイント』(平成9年101日初版発行) ぎょうせい

『地方公共団体における個人情報保護対策の考え方』(平成2928日発行) ぎょうせい

『市民のための情報公開条例』(1999105日改訂版第1刷発行) 自治体研究社

『情報公開条例の論点』(1999330日初版発行) ぎょうせい

『自治体情報公開のすすめ』(1999430日初版第1冊発行) 旬報社

『情報公開』(平成101010日初版発行) ぎょうせい

『日本の情報公開法』(1997620日初版第1冊発行) 花伝社

『市民のための情報公開』(1997912日第1冊発行) 明石書店

『条例規則の読み方・つくり方』(1991年第4次改訂版) 学陽書房

 <インターネット関連主なもの>

An American Civil Liberties Union Publication http://www.aclu.org/library/foia.html

武蔵野市 http://www.city.musashino.tokyo.jp/

中野区役所 http://www.city.nakano.tokyo.jp/

山形県金山町 http://shinjo.dewa.or.jp/kaneyama/index.htm

名古屋市 http://www.city.nagoya.jp/

つくば市 http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/

川崎市役所 http://www.city.kawasaki.jp/index.htm

自治省 http://www.mha.go.jp/

「情報公開法要綱案」

「情報公開法要綱案の考え方」

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