尾張旭市監査委員 殿 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求書 1. 請求の要旨 市民生活部環境課職員(以下「環境課職員」という)は、住民へ何らの根拠ある説明も無しに、「尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定書」(以下「協定書」という)以って、尾張旭市市長、尾張旭市マイバック持参ネットワーク、市内事業者との間で契約を締結し、市の平成20年度実施計画(平成20〜22年度)の施策「資源循環型社会の形成」(以下「施策」という)を推し進めようとするものである。 開かれた市政の推進を掲げる本市にとって、住民の強い支持を獲得するには情報公開の一環としての会議公開は必然のことである。しかしながら、環境課職員は過去三回の「尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク」(以下「ネットワーク」という)の会議も議事録も公開せずに、あたかも官製談合の如く秘密裏に事を進め、「尾張旭市内のレジ袋の有料化を平成21年度4月1日」とホームページ上で宣言したのである。 環境的条件の背景を理解したとしても、レジ袋の有料化、マイバック等は普く一律に住民に費用の負担を強いるものであり、斯様なことが環境保全の美名の下に為されることは住民に対し憲法に定める財産権の侵害となり、また事業者へ環境的背景を行使し行政指導による協定書の締結を迫ることは長年の間に培われた商慣習に行政が容喙することであり、本来民主主義を標榜するわが国においては、経済的自由権を侵すことにもなる。 さて環境課職員からの聴き取り調査でも、レジ袋有料化、マイバック持参後の環境へのトレードオフは説明できなかった。因って事実証明書に添付した「問合せメール」の内容に付き、愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ(以下「県」という)に問合せ(10月1日)する仕儀となった。 会員(各市町村)宛の「ごみゼロ社会推進あいち県民会議(19ごみゼロ県民第22号平成19年11月22日)」の内容について、県は各市町村に強制することなのか、を聴き取り調査(9月30日)したところ、強制ではないとの回答を得た。よって環境課職員が自らの施策の一環として選び取ったのである。 環境課職員は協定書などで、レジ袋の「無料配布中止」を謳い、また無料と説明しているが、果たして現在各スーパーマーケット等で住民が買い物時に当該店から入手する袋は無料なのだろうか。例えば、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第八十四条では、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする」とされ、費用の把握が為されているのである。つまり、総原価+利益=販売価格である。総原価には販売費及び一般管理費が含まれているのである。 したがって住民(購買者)はレジ袋の費用込みの商品価格で購入しているのであって、決して無料ではないのである。また、事業者がこのレジ袋費用を直接的、個別的に対応し、各商品にその費用を配賦しているならば、尚更の事である。 環境課職員は諸々の条件を精査・考慮することなく、施策の事業として取込み、事業者の費用負担を削減し、最終消費者である住民に満遍なく負担を強いるのである。また、協定において、「レジ袋の無料配布中止により、収益金が生ずる場合」を想定しネットワーク協力金として事業者に拠出を迫るのである。 斯様な施策の推進によって、住民は逃れることの出来ない二重の負担を強いられることになる。そして事業者に対しては拠出のための収益を予定するため、先々住民にとっては、現今の原油の高騰による生活諸物価値上がりを見るまでもなく、統制の効かない賦課となり、生活の不安材料となるのである。特に超高齢化社会(尾張旭市平成20年8月末日現在25.6%(注))に突入している当市にとっては、日々の生活に直結する安心の確保は格別の事である。 環境の重大性は認識するとしても、環境負荷軽減の施策について、選択の多様性を放棄しては、生物環境の頂点に存在する生活者としての人間を困窮させる結果となるだけである。経済的負担による環境の保全は、結局新たな環境負荷を発生させることになり、悪循環となる。議決機関の論議が俟たれるのである。 以上のことから環境課職員は、憲法はもとよりであるが、先ずは地方自治の根本法である地方自治法の第十四条二項「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」に抵触し、一定の施策の下、契約(協定)に基づいて、本来なら住民全体に及ぶのであるから条例を制定し公金として扱うべき性質のものを、環境課職員・事業者・ネットワーク間で財産の取得、管理、処分を予定する。結果、条例に拠らずして住民に義務を強い賦課することになり、住民の財産権 よって平成20年度から予定している尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定等に関し、当該行為を事前に防止するに必要な措置として、 @「尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定」参加者募集の差止め A協定書締結の差止め B施策の実施に当たっては情報公開(会議・会議資料等)をすること C必要なら再検討し条例制定によること を請求する。 2. 請求者 住所 略 職業 略 氏名 略 地方自治法第二百四十二条第一項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。 平成20年10月6日 [ 「中日新聞」(2008年9月27日付) ‥1部 「尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定」参加者募集要領(案)1部 尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定書‥1部 尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク会則‥1部 尾張旭市ホームページ資料「マイバック持参運動、レジ袋削減事業」‥1部 尾張旭市第四次総合計画平成20年度実施計画(平成20〜22年度)抜粋 (2枚)‥1部 ごみゼロ社会推進あいち県民会議(19ごみゼロ県民第22号) (3枚) ‥1部 レジ袋削減取扱店に登録しましょう(2枚)‥1部 愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ宛への問合せメール‥1部 《桃》文庫へ |