尾張旭市監査委員 殿
尾張旭市企画部秘書広報課職員措置請求書
1. 請求の要旨
地方財政法は予算の執行に関して、第4条1項で「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」としている。 地方自治法も同じ趣旨で、第2条14項「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と定め、公金支出の必要最少限の原則を旨としている。これは自治運営の基本的な事柄である。 また平成18年7月7日に施行された「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」第1条においても、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革を実施するためとしている。 尾張旭市企画部秘書広報課(以下、「秘書広報課」と記述する)は上述の法の趣旨に反し、広報誌を一新するとして外部委託を計り、予算ベースで年間約六百万円のコスト高になる歳出をするものである。 秘書広報課職員からの聴き取り調査によると、第一義的には恒常的な担当職員の残業廃止を目論んだものであり、従来の広報「尾張あさひ」を特に変更をしなければならない差し迫った用事はなかった。 職員の残業の軽減を図るのであれば、広報作成業務の平準化、手順化、分散化等の見直しを庁内全体の職員配置の適正化・業務間の相互援助・職員の多能化等も含めて検討するものであって、短絡的にアウトソーシング(外部委託)を選択し、歳出増の要因を作るべきではない。アウトソーシングに際しては、行政内部資源の徹底活用と較量した上、歳出の縮小・削減および明確に効果の上がるもの等に限定されるべきである。 特に歳出に関し、住民に対する説明責任を果たすためには、最少の経費で最大の効果を上げることが強く要請されるところである。それには事務作業の徹底した調査分析に基づき、その作業の意図する効果実現の費用・多岐に亘る選択肢の検討がなされた上で、決定されるべきであることが、説明責任の担保となる。 聴き取り調査では代替案等の検討の経緯は無い。また、庁内に亘っての工夫も見られず不明な効果の理由を以って理屈付けをし、歳出の増を為したのである。 公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図るには、秘書広報課自体も民間と競合すべき創意と工夫の努力が必要なのであり、単に歳出を以って負担軽減を図るものではない。 以上のことから秘書広報課においては、平成18年度予算で、外部委託に伴う約六百万円(精確な額を早急に確定させる必要がある。新聞によると人件費抑制で大半をカバーできるとしている)増の不当な予算を計上し、執行する為、 当該行為を事前に防止するに必要な若しくは事後的に是正するに必要な措置(新規歳出になる事務事業に付き最終案決定に至る複数案検討過程作成手順書等の作成を含む) を講ずるよう請求する。
2. 請求者
住所 職業 氏名
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
平成18年8月2日
[事実証明書]
「中日新聞」(2006年5月10日付) 1部 広報「尾張あさひ」改訂趣旨 1部 経費説明表 1部
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