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8月7日
テヘラン

背中に銃をしょった守衛

絨毯博物館

7:30モーニングコール、9:00にホテルを出発。 ホテルのすぐそばにある絨毯博物館に歩いて行く。

入口の最初の部屋のど真ん中に池がある。 やっぱりこの池も大きな噴水があるわけではないけど、 たっぷりの水があふれて周りで受け止めるタイプ。 「たっぷりの水」がイランでの幸せなのだろう。

絨毯で作られたホメイニー師の肖像が飾られている。
たくさんの絨毯の中には模様のものと絵のものがあるけど、 絵よりも模様の方がきれいな感じ。
絨毯織り機が展示されていたが、 絨毯の幅に合わせた大きさのものを使うそうだ。 模様の物はイランらしく左右対称が原則。 何人もが横に並んで織るらしいが、 左右の人で次の色を指定しあって織っていく物らしい。

入口付近でイランのどこで絨毯が作られているかの地図があって、 それの写真を一応撮ってみたところ、「カシャ、カシャ、カシャ」 と軽快に3枚撮られてしまった。 昨日オートブラケットのテストをした設定が残っていたのだが、 よりによってずいぶんつまらないものを3枚も撮ってしまった。
他のメンバーも音にびっくりしていたが、私はすごくがっかりしていた。。。


バザール

ウェディングドレス屋さんに群がる真っ黒なチャードルを着たイランの女性たち。 何処の国の女性も美しいドレスには興味があるものなのだ。

時計屋さん

腕時計(トリプルセンサー)のバンドが切れてしまったので、 バザールで交換することにした。 バスで降りたそばの洋服屋で、時計屋の場所を聞いてみると、 英語が理解できないながらもおおよその場所を教えてくれた。 実際そちらの方に行ってみると時計屋が何店もあった。 イランのバザールは日本の問屋街のように同じ系統 (絨毯、時計、など)の店で固まっているものらしい。

バザールでの時間が十分にあるわけではないので、 最初の店に入って、 「(英)これと同じじゃなくていいから別のに換えて」 と言うと、 「これと同じタイプの物はないよ」 と切れているところを指さしている。 「これは壊れたから直したい。 皮のやつとかなんでもいいから換えてくれる? そこにある皮のとかいくら?」 と聞くと、「1,500トマーン」と答えて、 電卓には15,000と入力した。 一瞬とまどったけど、口頭ではトマーンを使って、 電卓にはリアルで表現するものらしい。
不安だったのでお札を出して確認すると、 値切る間もなくお札を握って立ち去ってしまった。

どこに行ったのか心配だったのもあって、 「もしかして15,000Rlよりも安くなったりした?」 と残った店員に質問すると、 「彼は別の店に行って買ってくるから、それは無理だよ」 とのこと。 「別の店の商品なのになんで探す前から値段が決まってるの?」 と思いながらも、 (イランにしては高いけど)たいした値段ではないので納得した。

彼が戻ってくると、 当然トリプルセンサーのものはなかったが、 似合いそうな物を探してきてくれた。 二つの中から良さそうなのを一つ選んで交換してもらった。

モスク

スカーフのお店の前で商品を見ていると 「May I help you?」と話しかけてくるイラン青年がいた。 当然店員だと思って商品に質問をすると、 全て店の中にいる人間にペルシャ語に通訳するだけで、 商品については何も知らないようだった。

めぼしい商品がないので、「メルスィー」と言って歩き始めると、 なぜかその青年も一緒に歩き出した。 「なんのこっちゃ」と思って笑ってると、 「(英)なんで笑ってるの?」と聞くので、 「あなたは何者なの?あなたはさっきのお店の店員じゃないの?」 と笑って聞いた。 うすうす分かっていたが、実はお店の人ではなくて、 別の近所の絨毯屋の店員らしかった。

その青年が近くにモスクがあるというので、 お願いしてそこの案内をしてもらう。 中には、国王のお墓と12イマームの誰かの息子のお墓があった。 いずれも大理石。 信者の人はイマームの息子のお墓に、頬づりをしメッカの方を向いて、 お祈りをしていた。

モスクの中は一面にガラスが張りめぐらされている。 「鏡には何か意味があるの?」と聞いたら、 「鏡は真実を映し出すという意味があるんだ」とのこと。
単独行動になっていたからこそできたとても貴重な体験だったし、 イスラム教を一番身近に感じることができた瞬間だった。

彼には本当に感謝していて、 その後連れて行かれた絨毯屋では本当に買ってあげたかった (物も悪くなさそうだった)けど、 集合の時間が近づいていたので、絨毯を買うことはできなかった。
「見たいけど、本当に時間がないからゴメン」 と言ってチップを渡そうとしたら、 「いらない」と言う。
イランにはチップの習慣は基本的にないが、 私が「じゃぁ、さっきモスクにお金払ってたみたいだから、モスクに寄付して!」 と言っても「いらないよ」 と拒否した。

この頃からだんだんイラン人の優しさを思い知っていった。 彼と固い握手をして、 「ホダーハーフェズ!」(さようなら)と笑いあって、店を後にした。 彼の写真を撮らなかったのはちょっと後悔。

親切なおじさんと照れるおじさん

バス見あたらず

バスに再集合する予定の12:30に5分ほど遅れてしまった。 走って戻ってみるとバスもメンバーもいない。 「いつも集合時間なんていいかげんなのに、 たった5分で置いてっちゃうの?」 と思って見回していると、ウェディングドレス屋のおじさんが 「バスを探してるのか? バスならさっき行っちゃったから、 また付近を回って戻って来ると思うよ」 というようなことを得意でない英語で教えてくれた。

「ほんまかいな」 と思いながらもとれる行動は待つことしかなかったので、 ウェディングドレス屋のショーウィンドーなどを見ていると、 その親切なおじさんが 「俺達の写真を撮ってくれ」 と隣のお店のおじさんの肩に手を回した。
こっちのおじさんはとても照れ屋らしくて、 最初必死に彼の手から逃げようとしていたが、 最後には覚悟を決めて写真を撮らせてくれた。
それでも照れまくっている姿は笑いをこらえるのに苦労したほど。 照れすぎて写真でも目をつむってしまってる。 こういう恥ずかしい、という感覚はあんまり欧米人にはない感じがする。

結局バスは集合場所のずいぶん手前で止まって、 親切なおじさんが「こっちだよー」 と教えてくれた。 「ずいぶん予定の場所と違うじゃないの」 と思いながらも、おじさんにお礼をいってバスに向かっていくと、 何事もなかったようにガイドが他のメンバーを乗り込ませていた。
集合時間に他のメンバーが間に合ってなかったのもなんだけど、 せめて集合場所まで来てくれてもいいのに。。。


イラン人は電話好き

昼食

もう何度目かになるシシカバブも一段落すると、 店のおじさんが「お香か何かをみんなにかけてあげる」 というパフォーマンスを始めて、 どうやらそのためのチップを要求しているようで、 メンバーの何人かはチップを払ってパフォーマンスを受けていた。

その中の一人がチップを払って、 他のメンバーにパフォーマンスを受ける自分の撮影を依頼した。 引き受けた人は派手なイベントがあるものと期待していたために、 シャッターチャンスを逃してしまったが、 それを聞いた依頼者は、 「せっかくの瞬間だったのに」。
別のメンバーにも 「頼んだのに撮ってくれなかったんですよぉ」 と大声で報告していた。ツアーってこんなもの?

切手

葉書用の切手をみんなでまとめてハッサニに買ってきてもらった。 3枚分とリクエストしたが、 「5枚分でいいよね」 と言われ、「いいよ」 とは言ったけど、 「1枚分が500Rlで、5枚だと2,500Rlだけど、 500Rlのお釣りはない (ここまで細かいコインなどはあるにはあるが、 普通は使わない)から3,000Rl分の切手でいい?」。 「4枚分ならお釣りはいらないんじゃないの? 確かハッサニは理系だったのに」 などと思ったがそのまま買った。

余った切手はこんなにあっても処分に困るので、 メンバーで切手を買っていない人にあげた。


涙の壺

アーブギーネ博物館

別名ガラス&陶器博物館。 途中まで考古博物館かと思っていたので、 「思っていたよりもガラスとか壺とかが多いなぁ」 などと間抜けなことを考えていた。 この誤解も「涙の壺」を見てやっと解けたけど、 この壺が「歩き方」に載っていることを知っていたのは添乗員だけだったみたい。

ハッサニ(イラン人現地ガイド)の話だと、 「涙の代わり水を入れる人もいる」らしい。 ほんとにこの壺を目的通りに使った人がいるってことなのかなぁ? どこまでが冗談かは難しい判断かも。

室内での撮影はネガを久しぶりに使ってみた。 フィルムにはまずまずの感じで写ってるんだけど、 何も指定せずにプリントしてもらうと黒を茶色になるまで露出をあげてくれる。 ちゃんと「黒にしてください」と言えば、悪くない色になるんだけど。。。

柱のガラス細工

ガラス細工のお土産

お土産コーナーで宮殿の寝室にあったのや、 この博物館の柱に施されていたのと同じガラス細工を見つけた。 作った本人が店員をやっているようだったが、 彼はあまり英語が話せないようだった。 試しに値切ってみると、どうやら 「政府の博物館だからそれは無理だ」 というようなことをプリントを指さしながら言っている。

そのペルシャ語を聞きつけたハッサニが、 英語で事情を説明してくれて、 「このお土産をここ以外では見たことがないから、 欲しかったらここで買った方がいい」 という話だったので、買うことにした。

涙の壺とかは売ってないようだったけど、 売ってても旅行中に壊れないようにするのが大変そう。

アーブギーネ博物館

博物館入口

イラン考古学博物館

イランの博物館に置いてある物は意外とレプリカが多くて、 本物は海外の有名な博物館に行ってしまっている物が多い。 同様に、イラン国内の物はここに持ってきてしまうので、 ペルセポリスの博物館はしょぼい物しか置いてないそうで、 今回のツアーでは希望者以外の入場はしなかったほど。
博物館職員
博物館の女性職員が階段に座って両手で頬杖をついて暇そうにしているので、 「あなたの写真を撮ってもいい?」 と聞くと、ちょっとびっくりした後、 「Yes.どこで撮るの?」 と聞いてくるので、 「こっちの明るいところ」。 すると「ちょっとだけ待っててね」 と言ってどこかに行ったかと思うと、 すぐに帰ってきた。どこに行っていたのかは不明。 イラン人の特に若い人は写真に撮られるのがすごく好きみたい。

博物館内でメンバーの一人 (職業は写真家だけど、お客として参加している) に「なんでフードちゃんとつけないの?」 と指摘される。
ケースに入りきらないので、 大抵フードは逆さにしてレンズにはめてあり、 その状態だとフードとして機能しないばかりか、 ズームも動かしにくかったりする。
でも今回は山に登ったりするわけではないので、 ケース無しでフードをちゃとつけたままでもよさそう。 この人にはこの後も何回か注意してもらった。
ただフラッシュが必要なときには内蔵ストロボを使うので、 フードをちゃんとつけ続けていたためにケラレが発生した写真が多かった。

 

空路シラーズへ

ホテルの中にある絨毯屋

絨毯屋に入ってみると、 人のいいおじさんが声をかけてくる。 ほんとに調子のいいおじさんで、 絨毯には興味はないんだけど、 このおじさんと話すのが楽しくて相手をしていた。

他のメンバーの中には絨毯を気に入った人もいて、 予約金(US$5)を払ったりしていた。 人のいいおじさんは、 こちらが「絨毯を買いたがっている」 と確信しているらしくって、 他の客の相手をしている間も 「君にも同じものをSpecialPriceで用意しておくから、 また帰りのテヘランの時にも来てね」 なんてこと言う。
軽い社交辞令だと思っていたのに、 テヘランに戻ってきたときに本当に覚えていてくれて、 熱烈に出迎えてくれたのには正直うれしかった。

本屋

絵はがきとか英語の本を売っているお店に入った。 5枚くらいの絵葉書を持っていくと、 「5枚でUS$1だよ」 と店主が言っている。 すでにメンバーの一人が7枚をUS$1で買っていたので、 「えー、7枚でUS$1で買えるって聞いたよ」と言うと、 「5枚でも7枚でもUS$1だ」。

当然のようにあまり欲しくもない2枚を追加してレジに行くと、 「おまえは日本人か?日本円を換金してくれたらその絵葉書はあげる」 と訳の分からないことを言いながら、 財布から\2,000を取り出した。 どうやら日本円しか持っていない日本人が無理矢理日本円で買っていったようだ。

特にお金の心配はしていなかったので、 「いいよ。\2,000って何ドル?」 と聞くと、すばやく電卓をたたいてUS$1=\120で計算をした。 「つい最近レートは\114に変わったよ」 と言ったのだが、 「俺の知ってる情報では間違いなく\120だ」と譲らない。 結局日本で換金したレートと同じUS$1=\120で換金してあげた。

国内線搭乗

初日にライトアップされていたアーザーディー・タワーが見える。 昼間の方がなかなかかっこいいけど、残念ながらバスから降りての撮影の時間はなし。
現地ガイドは「降りようか?」と行ったらしいけど、 飛行機乗り遅れの危険を感じた添乗員の判断でこの案はなしになったらしい。 正直この判断は正しかったでしょう。。。

国内線に乗るときにはカメラの電池をスーツケースにしまわないといけないそうで、 「国際線ではなぜチェック無しなのか」とか、 「動作可能なカメラが問題だとするとメカニカルカメラ (今回は天体屋が多いことも関係してか、メカニカルの人がとても多い) の場合には電池を抜くことが意味なしなのに」とか、 「電池が問題だとすると予備やカメラ以外の電池もスーツケースの中に入れるのか」とか、 いろいろ混乱もあったが、 とりあえずみんな電池をカメラから出してビニール袋に入れた。

ビニール袋に電池を入れたまま手に持ってると、空港の職員が 「Mix」と軽く言ってきたので、 「(英)スーツケースに入れればいいんだよね」 と答えると、なぜかとても喜んで、ニコニコしながら 「Yes,Yes」と言っていた。 やっぱりパキスタンと同じで、 カメラじゃなくて電池がいけない (時限爆弾に使われるから?)んじゃないのかなぁ。

みんなのチケットは問題なかったけど、 ハッサニの飛行機のチケットがないらしい。 どうやら最初に同行するはずだった現地ガイドが持っていたためらしい。 イランでは国内線でも別人が乗ることはいけないらしく、 ハッサニはいやいや眼鏡をはずして、 別人の名前を語ったらしい。
多くのメンバーは彼は今日は乗れないだろうと気軽に考えていたが 「何とか乗れてやれやれ」と言った感じ。

ブロッケン現象

飛行機から外を見ていると大量の雲が見える。 「テヘランと南の地方は別だろう」 と思ってテヘランの雲を納得していたのに、 雲はどんどん増えてきてなんか話が違う。
などと考えながら窓から外を見ていると、虹がまーるく見えた。 よく見ると、虹の中心に飛行機の影が雲に映っている。 ブロッケン現象だ。 珍しい現象だけど、そんなうれしさよりも雲の多さが気になるばかり。。。

夕食

シラーズの空港に着いて、シラーズのホテルに向かい、すぐに食事。

イスラム教に少し興味があったけど、 「ムスリムでもないのに勝手にお祈りしたら失礼にあたるかもしれない」 と思って、ハッサニに「(英)お祈りって私でもしていいの?」 と食事中に聞くと、彼曰く「やってもいいけど、意味なーい」。 これを日本語で言われたときにはさすがに笑えた。
「意味なくてもいいからやってみたいから、教えてね」。 ハッサニは旅行中はいろいろと忙しかったので、 この約束が守られたのは最後のテヘラン泊の時だった。


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