脈拍測定器

pulse meter, sphygmograph


 これは19世紀末の脈拍測定器です。

 リボン状の布を手首の所に巻きつけて、拍動を触れる部分に振動を感じるプローブを合わせて、その振動幅を梃子の原理で増幅して、煤を付けたテープ状の紙を上を細い針金で引っ掻いて記録するのです。写真左側の四角い部分はそのテープ状の紙を送り出すためのゼンマイが入った部分で、上のレバーはON/OFFです。

 おおー、これは珍しい!貴重そうだ!と思うでしょ? ところが、この脈拍測定器 (Dudgeon's sphygmograph) は結構、市場に出てきます。値段も、そんなに目が飛び出る程ではありません。

 よく見かける理由の一つは、この写真のモデルを作った会社(と思われる)が各地のディーラーに卸して、それぞれの名前で発売(OEM?)していたため、一台集めれば、大抵はそれで終わりになってしまってコレクションとして成り立ちにくいことです。(寡占状態であった、というか、他社があえて参入するウマミもない商品であった?)

 また、もう一つの理由は、この脈拍測定器がとっても使いにくかったためです。

 医者が患者に不整脈を視覚化して見せるための道具だったわけですが、これを患者の手首に巻きつけて、プローブが触れる位置を探し、煤がついたテープ状の紙をセットし、うまく針金が煤を引っ掻くかを点検して、紙送りをスタート、、、とまあ、時間がかかってしょうがないし、そのとき不整脈がうまい具合に出なければ、やり直し、、、と、うんざりしてしまって、ケースに収めたまま、医師の引き出しの奥に納まったまま、、、というコースを辿るため、現在市場にでる脈拍測定器は(ケースはそれなりに痛んでいても、本体は)どれもこれもとてもウソのように状態が良いものです。ハハハ、、、

 その使い心地の悪さを実感するために、手元に一台置いておきたいアイテムですね。
 

脈拍測定器のメーカー

 

 

脈拍測定器 pulse meter についての本は

Old Medical and Dental Instruments by David J. Warren,1994

脈拍測定器 pulse meter に関するリンクは

 Epact


オークションなど
 
 

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