更新日 1998年 7月 20日
Windows95ビギナーのためのPOV-Ray入門
ささやかながら、Windows95ビギナーである自分自身の経験をもとに、POV-Rayで3次元コンピュータグラフィックスを楽しむための事柄をまとめてみました。
高価なソフトも機材も不要です。ただ、好奇と創造の心、それにInternetとWindows95パソコンがあれば良いのです。
1. POV-Rayとは何か
次のインターネットホームページにアクセスして、概要を知ってください。リンクなども充実しています。
2. ソフトの入手
ここで紹介するものは、全てフリーソフトかそれに近いものです。
ソフトの入手では、必ずこちらのRingServerのミラーサイトからダウンロードしてください。本家のftpサイトからダウンロードするとすごく時間がかかりますので、最新版の入手以外は避けたほうが良いでしょう。
- POV-Ray本体
ftp://ring.asahi-net.or.jp/pub/misc/povray/povray/Official-3.0/Windows/
ここのReadmeを見てください、自己解凍インストーラpovwin3.exeをダウンロードします。povwin_s.zipはそのソースファイルで、特に必要という訳ではありません。
- モデラー
描きたい画像を、立体や光源やカメラを使って作る訳ですが、その作業を直感的に行うためにモデラーと言う専用ソフトを使うと便利です。BreezeDesignerというのがあります。RingServerのミラーサイトのBreezeDesignerのフォルダからがよいでしょう。ここのbd2053dr.zip、bd205exe.zip、bd205map.zip、bd205plg_zip、bd205tex_zipの5つをダウンロードします。
これの簡単な日本語の操作説明も有ります。
- 解凍ソフト
解凍ソフトは、Lhasaがzipやlzhを解凍できとても便利です。Lhasaの最新版はhttp://www.st.rim.or.jp/~otake/で入手できます。
- 画像ビューワ/コンバータ
POV-Rayによって描かれる画像はTarga形式を基本としています。これを見たり画像形式変換を行うソフトはRingServerのミラーサイトのBreezeDesignerのフォルダの最後にあるwv170.zipのWinViewです。
BMP、TGA、GIF、JIFF JPEG、PCF、AmigaIFF等を読み込んで表示でき、BMP、TGA、GIF、JIFF JPEG等にアウトプットできます。スライド機能、スクリーンセイバ画像作成機能まであります。
- 画像処理ソフト
窓の杜のレタッチ・加工のコーナーにいろいろ紹介されています。そのなかで、和製フォトレタッチソフト Dibas がお勧めです。
一般的な画像処理を全て備えている凄いもので、プログラムサイズもさほど大きくなく動作は軽いです。これを使い込むとかなりのグラフィックの使い手になれそうです。特にGIF減色ツールは細かく設定できる充実したもので、透明GIFやインタレースGIFやJPEGをサポートしていて、Internetホームページ用にはたいへん便利です。
Windows95にはdbs32103.lzhで、解凍してDibas32(.exe)(眼のアイコン)をダブルクリックするとソフトが起動します。日本語のヘルプも付いていて、分かり易く使いやすいソフトです。インストールは問題なくでき、実際に使用しても問題有りませんでした。
3. インストール
インストールは、特に問題なくできるはずです。自己解凍インストーラpovwin3.exeをクリックしてください。それによりできたフォルダPOV-Ray for Windows の中身を簡単に説明します。これ以外は、初心者には特にいじることは無いと思います。
- フォルダbin
ここのアイコンpvengine をクリックすると、ソフトが立ち上がります。ショートカットキーをつくってデスクトップに置いておけばよいでしょう。
- フォルダDosdemo、フォルダPovscn、フォルダPov3demo、フォルダTexsamps
これらのフォルダ内にあるものはサンプルシーンファイルです。ファイルの種類が「POV-Ray scene file」となっているものをダブルクリックすると、POV-Rayがそのファイルを開いた形で立ち上がりますので、レンダリングさせる(例えば、アイコンメニュー右端で[160x120,No AA]を選択、[HELP]の左隣のアイコンメニューボタンをクリックする)と160x120pielsサイズの3D-CG画像が得られます。
これらのフォルダ内の拡張子.povの付いたファイルはシーンファイルと呼び、モデラなどでつくった英文半角テキストのシーンを記述したものです。
フォルダPovscnのものは、POV-Ray Ver.2に付属していたサンプルシーンです。フォルダTexsampsのものは、テキスチャに関するサンプルシーンです。
- フォルダInclude
これらのフォルダ内にあるものはファイルの種類が「INC ファイル」となる、拡張子.incの付いたファイルでインクルードファイルと呼びます。シーンファイルで使う頭1字大文字の語の定義を記述した英文半角テキストファイルです。
シーンファイルにほぼ共通して使うものをこのフォルダに置きますが、限られたシーンファイルにしか使わないものはそのシーンファイルと同一のフォルダに置くようにします。
4. マニュアル
マニュアルは、POV-Rayを立ち上げて、アイコンメニューの[DOCS]をクリックすると
ハイパーテキストの英文マニュアルのウィンドウが現れます。
でも御安心ください、POV-Ray3.0の膨大なマニュアルが翻訳されました。日本語翻訳プロジェクトの方々の御尽力によるものです、暫定版ですが以下よりダウンロードできます。
http://ted.shinshu-u.ac.jp/~takatera/comp/povdoc3j.lzh
http://www.on.rim.or.jp/~ryo2/archives/povdoc3j.lzh
http://www.vector.co.jp/authors/VA000449/archives/povdoc3j.lzh
http://www.win.or.jp/~kom/povjp/povdoc3j.lzh
HTML版も近々公開予定とのことです。
5. 実際に3D-CGを描いてみる
作業は、次の3つに大別できます。
1.モデリングによるシーンファイル.pov 作成
2.シーンファイルをレンダリングして出力画像ファイル.tga 作成
3.出力画像ファイルコンバート(画像保存形式変換)
5-1.モデリングによるシーンファイル.pov 作成
pvengineを立ち上げるとinternal editorの状態になります。ここでアイコンメニュー最左のボタンで新しいファイルを開いたり、その右隣のアイコンメニューボタンでファイルを読み込みます。
internal editorは検索や置き換えもできる(メニューバーの[Search])強力なものです。メニューバーの[Insert]からよく使うものを選択して書き込むこともできます。
画像のシーンファイル.pov や、語の定義のインクルードファイル.inc をここで作成し、それらの拡張子.incや.pov を付けて3番目のアイコンメニューボタンからsaveします。
最初のうちは、サンプルシーンファイルを開いていじってみると良いでしょう。ちょっと変数や座標を変えてはレンダリングして結果をみてみることをお勧めします。
わたしは、もっぱら、この直接数値変更とレンダリングの繰り返しで作業しますが、BreezeDesignerなどのモデラーソフトを使うと直感的に作業できます。
5-2.シーンファイルをレンダリングして出力画像ファイル.tga 作成
[Help]の左隣のアイコンメニューボタンをクリックするとレンダリングされます。
右端の数字のアイコンメニューは、レンダリング結果の出力ファイルサイズ、縦横のpixels表示です。AAはアンチエイリアシングで時間がかかりますので、最後の仕上げのレンダリングの時のみ選択、試行錯誤の際には[No AA]で出来る
だけ小さい160x120などのサイズを選択します。
レンダリングされた画像はウィンドウ表示と同時に.tgaの拡張子の名前のTarga形式にsaveされてゆきます。出力ファイルを特定フォルダに出すこともできますが、シーンファイルと同じほうが整理が楽です。これは、メニューバーの[Render]/[Edit Settings]で開くウィンドウから設定できます。
アイコンメニュー左から4番目は[FileQueue]、これは一度に複数のシーンファイルをレンダリングするためのもので、アイコンメニューボタンをクリックしてウィンドウを開いて、[Add File]にていくつでも(たぶん100位まで)ファイルを指定してウィンドウ内のリストに取り込みます。そこでOKをクリックすると、それらが自動的に片端からレンダリングされTargaファイルで保存されてゆきます。したがって、じゃんじゃん[FileQueue]でレンダリングして、ビューワーWinViewのスライドで片端から見ることが可能です。わたしは、これを使って、全部のサンプルシーンファイルをいつでも見れるようにしてあります。
5-3.出力画像ファイルコンバート(画像保存形式変換)
Targa形式はあまり一般的ではないので、WinViewなどのヴューワー兼コンバーター
ソフトでBMP、JPEG等に変換します。それから、Dibasでサイズ変更したり合成したり、32色位まで減色したGIFファイルでInternetのホームページに利用するのも良いでしょう。
6. さらなる表現力を求めて
POV-Rayの最大の特徴は、たくさんの POV-Ray ユーザーが、自由に自分の持つテクニックや作品を公開、情報交換し合っているところにあります。皆さんも積極的にその輪に加わって、さらなる表現力を身につけていってください。
参考までに、私がよく通うホームページを「POV-Ray リンク」としてまとめました。是非御覧ください。
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