面白い、楽しい

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「面白い」というのは、そこに何か発見があるということだと思います。発見のないこと、つまり当り前のことは面白くありません。当り前のことからどれだけうまく離れているかが面白さを決めます。つまり、「面白さ=そこから得られる情報量」なのではないでしょうか。情報には意識される情報と暗黙の情報がありますが、意識される部分の割合が多ければわかりやすいがすぐ飽きてしまい、暗黙の部分の割合が多ければ理解しにくいが面白さが長続きする、ということになります。

我々は面白そうなことを探したりしますが、「面白そうなこと」が実際に面白いとは限りません。それは面白さが「予想のつかなさ」だからです。発見は予想できません。また、人によって「当り前」は違うので面白さの感じ方も違います。したがって、面白いことは試行錯誤や偶然に頼って自分で探すしかありません。そして、そのような精神の状態が僕の考える「自由」です。つまり、面白いことを探している状態が「自由」です。しかし、自由は偶然や試行錯誤に頼った状態で、何が見つかるのか、あるいは何かが見つかるのかどうかすらわからないのだから不安定です。したがって、我々は面白い時に笑うとは限りません。こわいことを発見して、それが面白い場合もありえます。

「面白い」の反対は何でしょうか。「面白い=自由=不安定」だとすると、その反対は安定です。我々の精神が安定するのは「楽しい」状態でしょう。楽しいことは発見ではなく確認です。予想通り、思い通りのことが起きると自分の「当り前」が確認されて楽しいのです。しかし安定というのは、予想通り、思い通りのことしか起きない状態なので、発見はなく、自由もありません。つまり「面白い」の反対は「楽しい=安定=不自由」です。

「面白い」の反対は「つまらない」のような気もしますが、それは我々が「面白さ」を求めているのに得られない場合です。「面白さ」(自由)を求めているのに当り前(安定)しか得られなかったら、その「当り前」に対して否定的になるでしょう。当り前を否定的にとらえると「つまらない」になります。しかし、当り前のことも肯定的にとらえれば「楽しい」はずです。また、「面白さ」の源である自由を否定的にとらえると不安定であり「こわい」のではないでしょうか。

自由と安定は正反対の状態で、我々はその間を揺れているわけですが、ものごとに対して肯定的な精神状態であれば、自由は面白く、安定は楽しいでしょう。否定的な気分であれば、自由は不安で、安定は退屈でしょう。ではどうすれば肯定的な気分になれるかというと、肯定的な行動をとることだと思います。