集中力の効用

何かの作業にうまく集中することができると、時間の感覚が変わる。集中した状態では、ほんの一瞬を長い時間のように感じたり長い時間がアッという間に過ぎたりする。短い時間を長く感じるのと長い時間を短く感じるのでは正反対だが、どちらも我々が集中した時に起きる。集中すると、我々の意識は普段とは全く違う時間軸の世界に入り込む。つまり、集中することによって、我々は客観的な時間軸から離れることができるのである。

我々は普段、時計が示す客観的な時間軸に沿って暮らしている。日常生活において、我々はいつも「就業時間」や「日程表」や「待ち合わせの時刻」なんかを気にしながら生きている。そういうのはみんな客観的時間軸上の取り決めみたいなもので、我々は客観的時間軸に束縛されているのだともいえる。そして、客観的時間軸に沿って暮らすのはシンドイ。プレッシャーとかストレスというのは、要するに時間に追われることなのである。客観的時間軸から離れるというのは、そういう束縛から解放されることである。我々は集中力によって自由になることができるのだ。

我々の意識が客観的時間軸に沿っていると、楽しい時間は短く、面倒な作業をしている時間は長く感じる。これは我々にとってあまり嬉しくないことである。楽しいことは長く続いて欲しいし、面倒なことはさっさと終って欲しい。ところが、集中すればそのとおりになったりもするのだ。深く集中すれば短い時間を長く感じることができるし、その逆も可能である。楽しいことのために使える時間が短かったとしても、集中すれば長い時間のように感じることができるし、面倒な作業も集中してしまえばアッという間に終る。

では、どうすれば集中できるのか。我々が集中できるのは「自分が心の底から大事だと思うことに対して」である。集中するには、その作業が自分にとって本当に大事だと思っている必要がある。頭で考えて「このことに集中しよう」と思ってもうまくいかないのは、本当に大事だと思っていないからだ。他人から見てすごくつまらないことに集中できるのは、その人にとっては本当に大事だからだ。自分にとって何が大事なのかがわかっていないと、何にも集中することができない。

大事なことは人によって違う。自分が集中できることが自分にとって大事なことである。とにかく、自分が集中できることに集中して集中力を身に付けるのが大事だ。集中力が身に付いて客観的時間から離れることができると、楽しい時間は長く感じ、面倒な作業は早く終るように感じるようになる。集中力は魔法のようなものである。スター・ウォーズに出てくる「フォース」というのは集中力のことだと思う。「ルーク、フォースを使え!」

 → 「集中力の使い方」