6.特色ある社会主義市場経済

注)2002年11月25日の文章に加筆

最近は新聞でもテレビでも“中国”という言葉を見かけない日はないくらいに、よく取り上げられている気がします。ですから、最新の中国事情は皆さんよくご存知だと思います。私が今更お話しするまでもないのですが、今回は私が身近で見聞きした話しをつれづれなるままに…

 

中国の特色ある社会主義市場経済って?
先日テレビで、海外留学後中国に帰国して活躍する人達を特集していました。“海亀組”と呼ばれてましたね。(“亀”と“帰”の中国語の発音が同じなので、海外から帰ってくるという意味と、海亀のように帰って来てたくさん卵を生んで!という意味をかけているのでしょうね。このあたりが中国語の妙。他にもたくさんこのようなかけ言葉があって、私が中国語に惹かれてしまう理由の一つです!脱線してしまいました……)何を勉強してきたかによっては、就職口も引く手あまたで高給が約束されているようです。
そんな優秀な海亀組が大量に帰ってくると、国内で働いている人達はいつリストラされるかわからないので危機感をつのらせているようです。友達の中国人は日本で就職しているのですが、私もそろそろ帰国しようかなと親御さんに電話したら、「今は就職口ないわよ。日本の大学を卒業しただけじゃだめ。大学院を卒業してないと。」とけんもほろろに言われたそうです。彼女はとても優秀な人で日本語も英語もほぼ完璧なんですが、それでもダメみたいです。彼女のお母さんにしても、もう定年間近だというのに自分が職場でパソコンが使えないということに危機感を覚えてパソコンの勉強をしたり、警察に勤めている弟さんも夜学に通って勉強しているとか。中国では日本以上に学歴が重視され、更に会社側が他の条件も厳しく要求してきますので、とにかく今みんな給料アップのため、失業しないために勉強しているようです。このあたりは日本より熾烈です。
熾烈といえば、中国の場合、就職する際に容姿も重要視されます。え、日本でもそうですか?でも、日本よりも強烈に!直接的に!差別されるみたいですよ。
すごいなーと思ったのは、天安門広場で国旗の側に立っている兵隊さんの選考基準。背の高さはもちろんのこと、顔の長さ、股下の長さも基準があるそうです。この基準、上回ってもダメなんです。ぴったりじゃないとダメ。というのも、行進の時に「右向け右!」と一斉に顔を右に向けた時に顔の長さが揃っている方がきれいだからだそうです。股下の長さを揃えるのも同様の理由です。そこまでするか!って感じですね。
また、深セン(香港の近くの工場地帯)で工場に就職しようと思ったら、視力の検査はもちろんのこと、座高の高さも測られるそうです。というのも坐ったまま作業するので座高がばらばらだったら作業効率にひびくからだとか。椅子を調整するのではなく、人間で調整するわけです。もちろん、視力が落ちたら首です。農村部から応募者が殺到するので、人材は選び放題なのでしょうが、これって、形のいい野菜を選別してるのと同じ感覚ですね。規格外は捨てられる……いやな感じです。
普通の会社の人材募集でも、「応募条件:身長○○cm以上。」と日本なら問題になりそうなことも平気で書いています。背の低い私は中国だったら失業者間違いなしです。もし私が中国人だったら永久就職するしかないのかしら?とつまらないことを考えましたが、残念なことにこちらも望み薄です。というのも、雑誌の後ろにはよく“征婚”という結婚相手募集コーナーがあるのですが、結婚相手の条件として9割方の人が身長を書いているのです。男性が「当方身長160cm。156cm以上の容姿端麗な女性を望む。」と書いているのです。その中途半端な156cmという数字の根拠が気になるところではありますが。中国人の友達に「自分も男性としては背が高くないほうなのに、なんで相手にこんな要求をするの?おかしいんじゃない?」と聞くと、「あら、自分の身長が高くないからこそ、相手の身長は高い方がいいでしょ?子孫のために。」と一笑に付されてしまいました。なるほど合理的といえば合理的か…私は日本に生まれてよかったと思いました。
永久就職のことは別としても、いまや中国政府のいう『中国の特色ある社会主義市場経済』は、限りなく資本主義に近いと思うのは私だけでしょうか?もう意地張らずに「社会主義」の看板下ろしちゃえばいいのに。なーんて思います。