言葉のない世界

ノノパパさんの自閉症の考察その1(自閉症は言語に関する脳の障害)を読んで、
悠太・光太に当てはまることから、言葉に着目して彼らの生活を考えてみました。

3歳10ヶ月時点の悠太・光太には言葉の概念がない。ゆうた、こうたが自分たちの名前であることも、物や動作に名前があることも分かっていないようだ。
いつかのキーワード(お終い、お家、ミルク等)はぼんやりと分かりつつあるようだが・・・。

言葉の発達の遅れ・偏り。悠太・光太にある障害特性だ。
言語の概念が無いということはどういうことなのだろう?
私達は物事を考えるのに頭の中で言葉を使うが、言葉の概念が無い彼らはどうするのだろう?

彼らは実物のイメージで考える。
悠太はお腹が空くと私達を台所に引っぱっていき、鍋、食器棚、電子レンジ、トースター、冷蔵庫と次々とクレーン(欲しい物に手を引っ張る行動)で指示する。悠太の中では冷蔵庫(鍋)から食べ物を出し、食器棚の中の器に入れて、電子レンジ(トースター)で温めるイメージがあり、それを再現しろと要求しているのだろう。
まさにThinking in Picturesの世界。
言葉のない彼らにとってクレーンは自分の要求を伝える(自分のイメージを実現に近づける)一番簡単な方法なのだ。
お腹が空いたとき、他の子供なら「(何かをもらえる暗黙の期待の上で)お腹が空いた」と言うだけかもしれないが、悠太・光太には目に見える形が必要、目に見えない暗黙のルールや抽象的な物事の理解は最も困難な事だ。

そんな彼らにとってこの世の中は理不尽なことで一杯だろう。
昨日は水遊びしたのに「今日は風邪気味だからダメ」。
お風呂では水遊びできるのにトイレの水は「清潔でないから遊んではダメ」。
「虫歯になると困るから歯を磨かないとダメ」。
そもそも「ダメ」の意味も分からないから強制的に止めることになる。これでは止める方も止められる方も疲れ果ててしまう。

今までは妻が生活の習慣を作ってくれたことと悠太・光太ののんびりとした性格のおかげで何とかなっていたが、4歳を間近にして自分で出来ること、やりたい気持ちが増えている。要求もクレーンだけでは伝わらないことも増えている。

世の中のことを目に見える形(視覚的構造化)にして、彼らに分かってもらう、要求を伝えてもらう工夫が必要だ。「言語の目を閉じて考える」彼らの支援を考える上でのキーワードになると思う。

以上、安定した生活に甘えて構造化をさぼっていた自分への戒めです。
こんなの書く時間にアイデアを形にしろと言われそうだが・・・。



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