少しずつ


 前回の更新で、とてつもなく暗い文章を書いてしまったところ、いろんな方からメールを頂きました。本当にありがとうございました。
 少しずつではありますが、自分の気持ちの整理をつけていっています。

 どうしようもなく落ち込んでしまったとき、人それぞれ対処の仕方は違うと思いますが、私はそんなとき、本屋さんへ行きます。いろんな本を手に取り、「救いの言葉」を探します。
気持ちを切り替えてくれる言葉、勇気をくれる言葉。とにかく、自分の気持ちにシンクロする言葉を探します。

 けど、今までは本屋さんへ行くこともままなりませんでした。
 活字が大好きな私ですが、出産後、小説一本読み上げたことはありません。いくら読みたくても、小説に没頭する時間など何処にもないのですから。
 子供が少しだけ手を離れ、ようやく本屋さんへ行って、じっくり本を手に取ることができるようになりました。

 手に取った一冊の本(「人生の地図」・高橋歩 編著)、一つのフレーズが心にすとんと落ちてきました。
 「ポジティブでもなく、ネガティブでもなく、リアルに。」

         なにを欲しているのか
         誰と生きていくのか
         なにを、誰を選ぶのか
         大切なものはなにか

 いろんなことに飲み込まれて、忘れていました。
 自分と向きあう時間が必要でした。

 もともと私は、枠の中にはまるのが大嫌いでした。
 けど、いざ結婚してみると枠の中にはまらざるを得ない。
  「妻」という枠
  「母親」という枠
 さらにその「母親」には枕詞がつきました。「双子の」母親、「障害児の」母親。
 その枕詞は、枠をどんどん狭めていきました。

 こうしなければいけない、ああしなければいけないという義務。
 これもできない、あれもできないという諦観。
 
 ちょっと待て。
 枠を狭めていたのは自分自身じゃなかったのか?
 私が、家族が幸せになるのに、誰に、何に遠慮がいるのか?

 心は自由なのに。
 もっと、突き抜ければいい。
 枠も、枠組みも必要。けど、それがしんどいのなら、枠をとっぱらうのも自由。
 
自分らしさを取り戻したい。
 「結婚も離婚も赤ん坊よりも、大切なものがある
  今日を生きることだけは、誰にも譲れない」
 ふと、矢野顕子の歌のワンフレーズを思い出しました。

 死にたくなるほどの気持ちも本当。
 でも、死ぬのはまた明日。とりあえず今日だけは頑張ってみよう。
 そうやって毎日生きていったら、天寿をまっとうできるかしら?

こんな言葉が、上記の本にありました。
「”自分の旗”を掲げるとしたら、大きな文字で、なんと書く?」
考えて、何度考えてみても・・・結局一つの言葉しか浮かびませんでした。
 それが、私の一番大切なもの。私の真ん中にあるもの。 

 私が座って本を読んでいたら、背後から光太がまわりこんできました。うつむいて本に没頭する私の顔を懸命に覗き込みます。
 「ん?なあに、何か用?」
 顔を上げた私に、光太がおもむろにチューしてきました。
 1秒・・・2秒・・・3秒。とってもスウィートなキス。
そして何食わぬ顔で去っていきます。
なんだかなあ、子供に慰められてる?私。

私の一番大切なもの。
大切なものを、大切に。




育児なんか大キライ!目次へ
ホームへ