新生活のはじまり


 4月7日、デイサービスを利用してK学園への通園が始まりました。
 この日、デイサービスのクラス「うさぎ組」さんの入園式ならぬ開始式がありました。園長先生をはじめ、保護者もみんな平服。あ〜あ、これが入園式ならみんな礼服着たりスーツ着たりしたんだろうなあ。私もきれいな服で参加したかった・・・

 それでも式らしく、先生の紹介があったりお話があったり。お友達は7、8人いたのかな?みんなお母さんの横に大人しく座っていました。大人しくできなかったのはうちの子だけ(汗)。先生がお話しているそばで、キャッキャッと笑いながらトランポリンしていたり、走り回って遊んでいたり。お〜い、君たち〜。
 もちろん、そんな二人をとがめるようなK学園ではありません。楽しそうに遊ぶ二人を写真に撮ってもらいました。

 翌日8日、本格的な通園生活のはじまりです。
 初めて二人に自分たちの着替えの入ったリュックを背負わせました。
まだ「自分の荷物」という認識ができない二人、どうにかしてリュックを下ろそうとします。が、ふふふ、そうはいかない。このリュックは子供用サイズとはいえ優れもので、登山用のリュックのように前でカチンと止めることができ、肩ひもが簡単には抜けないようになっているのです。どうにかこうにかかたっぽの腕をぬいても、体にはリュックがちゃんととどまっています。残念、光太!

いつもK学園近くのスーパーに車をとめ、そこから1、2分歩くのですが・・・
大好きなK学園。昨年から何度となく通い、いつもは二人とも意気揚々と、ニコニコ、ジャンプジャンプしながら歩く道のり。
しかし・・・いきなり悠太が座り込み、歩くことを拒否!抱っこを必死の形相でせがみます。
「なにやってんのよ、歩くよ!」と無理やり手を引っ張ろうものなら、「ふえ〜ん」と両手を目元にあてて泣きまねさえします。おいおい、涙出てないってば。
悠太1人なら抱っこもできるのですが、光太の手を離すわけにはいきません。
もともと腕力のない私、重量級の悠太の片手抱っこは無理!
それでも歩こうとしない悠太を仕方なく抱っこ。
もう限界!と悠太を下ろすと、また「ふえ〜ん」・・・いい加減にせんかい!いきなり登園拒否か!?
いつもはK学園が見えると、手を振り払って走っていくのに、門の前でも「ふえ〜ん」と抱っこ抱っこ。
門を抜けると、とたんに満面の笑顔で走りだして園庭で遊び始めました。
なんなんだ、お前は。

デイサービス利用のうさぎ組は、どうも毎日通園する子供はうちだけらしい。この日、クラスの子供はうちの子含め4人。デイサービスは基本的に母子通園のはずなのに、教室に来ていた母親は私1人(希望すれば子供だけのお預かりもしてもらえます)。
さ、寂しい・・・
やっぱり本来の通園部のようにはいきません。もちろん、少人数のよさもあるのですが・・・

悠太・光太にとっては勝手知ったるK学園。初めての先生にもすっかりなついています。母の出番は食事の介助以外ほとんどありません。
馴染みの先生も多く、声をかけてもらったり遊んでもらったりニコニコ。疲れたらちゃっかりおんぶしてもらっているし。
双子ということで存在感があるらしく、直接かかわりのない先生たちからも顔と名前を覚えられているようです。ずっと担当してくれている先生ならともかく、そうでない先生が「こうちゃ〜ん!」と、二人をしっかり見分けて接してくれているのを見てびっくりしました。「双子」という先入観で見たら、うちの子そっくりですからね。

芝生の園庭、遊具、砂場、たくさんのおもちゃ、決して無理強いすることのない優しい先生・・・まさに、悠太・光太にとってパラダイスです。
私にとっても、子供を安全に遊ばせることができて、神経を張り詰める必要がありません。そして何よりも、何でも相談できる、信頼できる先生がいてくれる、かけがえのない場所なのです。


通園が始まって最初の週末は絶好の花見日和でした。
イベント大好き、お花見大好き!の私は、「桜見に行こう〜!」
普通なら桜の木の下、お弁当もっていってピクニックなのでしょうが、悠太・光太がいてはそれも不可能です。(温かいものしか食べられない二人にお弁当は無理。たとえレジャーシートを広げても、あっという間にどこかへ行ってしまう多動ちゃんです。)
いつの日か、悠太・光太と一緒にお外でお弁当食べられる日がくるのかな?
その頃には悠太・光太はいいオッサンに、夫と私ははじーちゃんばーちゃんになっているかもしれません(書いていて悲しくなってきた)。
家族でのんびりピクニック・・・夢ですねえ。

お花見弁当は無理なので、とりあえず桜を見に行こう、と広島駅前の川沿いの桜並木を散歩することにしました。
しかしここでも、悠太は一歩も歩こうとしません。知らない場所で怖いのかな?その割には夫の腕の中でにんまり笑う悠太なのですが・・・ま、私は光太とのんびりお散歩。
しかし、これだけじゃちょっと芸がない。
私の行き当たりばったり、思いたったが吉日の性格が首をもたげました。
「よし!ここから市電に乗って平和公園へ行こう。確か遊覧船があったはず」

路面電車は初めての悠太・光太でしたが、抵抗はなかったようです。
電車に乗り込み、私と光太は空いている座席のある前の車両へ。
「こっちに席があいてるよ〜」と夫に身振りで伝えようと夫を見ると、なにやら夫があわてています。後できくと、悠太、座席は空いていないというのに強引に割り込んで座ってしまったらしいのです。どひー、やめてくれー!
割り込んでしまった場所は若いお姉さんの間だったらしく、幸いお姉さんは嫌な顔をすることなく、それどころか「かわい〜」と言ってもらったらしいです。
ほっ。でも悠太、それは3歳だから許されることなんだからね。

しばし車窓を眺めて、平和公園へ。
目的の遊覧船乗り場の手前に、小さな6人定員ほどの観光船がありました。10分500円・・・これでいいや!
乗船待ちの時間が大変。いや、大変だったのは悠太担当の夫だけだったのだけれど・・・
川に入ろうとするのですよ。お約束ながら。必死に制止するも、水遊びに泥遊び。すっかり靴も服も泥んこです。
そのあまりに「水好き」な悠太を見た船会社の人が、子供にはライフジャケットを貸してくれました。
いざ乗船すると、かなりうるさいモーターの音に悠太は耳をふさぎ、身をかためていましたが、光太は頭から川に飛び込みそうな勢いで前のめりで手を伸ばし、川の水に触ろうと必死。同じ船に乗ったお客さんが「危ないよ〜」と言うものの、言ったところでやめる光太ではありません。その光太の体をしっかりつかみ、しばしの(チンケな船での)クルーズ。
風が気持ちよく、川沿いに咲く桜も満開!
一味違ったお花見を楽しめました。

しかし翌日、気がつけば顔がヒリヒリ・・・
4月の紫外線をバカにしてはいけませんね。これからのアウトドア、しっかりUV対策をしなくては・・・


週があけて月曜日。
この日、赤ちゃん時代からお世話になったチャイルドシートを卒業して、ジュニアシートデビューしました!
この日のために、この車を買うとき、高いオプション代を払って後部座席をジュニアシート仕様にしたのですよ。ようやく日の目を見ました。
チャイルドシートも、子供の体が大きくなりそろそろ限界。高い位置にあるシートに、どっこいしょと重たい悠太を持ち上げるのがかなりきつくなっていました。
しかし、二人がジュニアシートを嫌がらないか、大人しく座っていられるのか?
その心配をよそに、二人はあっさりとジュニアシートに座り、ベルトをつけさせてくれました。
ちょっと視界が低くなっちゃったけど、すわり心地はいいようです。

今まではK学園で遊ぶのも、二人にとってはたまに行くレジャー施設のようなもの。それが毎日となると、かなりのストレスになるようです。
今まで家の周りとプールで好き勝手に遊んでいたのが、いくら無理強いはしないとはいえ、かなり行動も制限されてしまいます。好きなときに好きなところへいけない。好きなことをして遊べない。つまらない。そんな表情も出るようになってきました。
楽しく遊んで欲しい、いっぱい笑顔でいて欲しいと願う私にとって、少し複雑な気持ちです。

退屈だなあ、つまんないなあとぼーっとしている時間も、本人たちは頑張っているんですよ。そういう時間は決して無意味じゃないんですよ。
私の戸惑いを見透かしたかのように園長先生は言いました。

うん。そうだよね。まだまだこれから、始まったばかりじゃないか。
初めての社会生活に悠太・光太も戸惑いがあって当然。少しずつ、K学園での生活になれて、楽しみが広がっていけばいい。

ベストの選択だと信じて選んだK学園。その気持ちはもちろん変わりません。
卒園の3年後、二人がどんなふうに変わっているだろう?どんなふうにここで成長するんだろう?

ゆっくりゆっくり、焦らずに。
私も気長に構えていくとしますか・・・



育児なんか大キライ!目次へ
ホームへ