手抜きしちゃだめっ！


　以前にも書いたことがあるのですが、私は平日、プールが休館日の水曜日以外は掃除をしません。車で約３０分かかるプールになるべく朝早くのりこみたいので、掃除をする時間がないのです。
　午後は午後で、夕食の支度、二人がお昼寝するときはその寝かしつけ、二人の「遊べ」「あれやれ、これやれ」攻撃、お外遊び・・・あっという間に夕方、お風呂に夕食で、本当に時間がありません。

　けど、月曜日の夜のこと。
　夕食もすませ、片付けも済んで後は寝るだけ・・・
　しかし、ふと部屋を見回すとあまりにも汚い。砕けて粉々になったぼうろやお菓子のかけらが居間じゅうに散らばっています。
　普段、少々汚くても目をつぶる私も、これは限界を超えていました。
　もう少し時間はあるし、ちょっとだけでも掃除するか。
　おおまかに済ませようと、クイックルワイパーで床を拭き始めました。

　すると、それを見た悠太が、たたたっとどこかへ走り去ってしまいました。
　気にせずに掃除を続けていると、居間のすぐそばの洗面所の奥で何やらがっちゃんがっちゃん派手な音がします。そして、悠太の「あーっ、あーっ」という叫び声。
　もー、悠太は何をやってるのかなあっ。
　悠太の声を無視して床を拭く私。
「んあーーーーっ！！」
「もうっ、何よ、悠太！」
　振り向くと、しょえーーーっ！
　悠太が必死の顔で掃除機をうんしょ、うんしょと引きずってきていたのです。
　がっちゃんがっちゃんと派手な音は、充電器にたてかけておいた掃除機をどうにかこうにか倒して引っ張っていた音だったのです。
　大人にはかなり軽量なコンパクトサイズの掃除機も、子供にはかなり長く大きいはず。
よく持ってきたなあ。これで掃除をちゃんとしろってか？

「えーっ、やめてよ悠太。もう掃除機はしないよ」
「んあああああーーーっ！」（何言ってんのっ、手抜きしちゃだめよっ！）
　悠太の顔は真剣そのものです。
絶対コレ、命令されてるよなあ・・・
「分かったよ、やればいいんでしょ、やれば」
　あまりにも意外な悠太の行動にびっくりするやら、おかしいやら。

　掃除機をかけはじめると、悠太は納得したようににっこり。そして、妙なハイテンションで「きゃーーーっ！」と光太ともども部屋中を走り回りだしてしまいました。
　おいこら、お前は手伝わんのかいっ。

　いったん掃除を始めると、結局、「ここもやっておこうかしら」と一階すべてを掃除することになってしまいました。
　何が悲しくて一日の終わりにこんなに掃除しなけりゃならんのだ。
　一日の終わりぐらい、のんびり、ゆったり、まったりしたいのに・・・

　よし、済んだ済んだ。
　掃除機を充電器にたてかけて居間へ戻って見ると、フルチン光太のおしっこが海となっておりました。
「・・・・・」（もはや何の感情もわかず）
　さ、雑巾がけもして、と。

　こうして、我が家の清潔は子供たちの連携プレーによって保たれたのでした。


なんだかねえ。すっかり掃除機好きになってしまった悠太。
翌日の夜も、同じ時間帯に掃除機を引っ張り出すし。
確かに昨日はこの時間に掃除機をかけたけど、今日は午後にちゃんと掃除したからいいのっ！
で、そのまた次の日（今日）は朝一番で掃除機を持ってきて「掃除してっ！」・・・・って、ワタクシ、今朝ご飯食べてるんですけどぉ・・・
後でね、も許してくれない悠太にちょっとだけ掃除機を動かす。
「はい、おしまい」
「んあああああーーーーっ！（怒）」
ごまかされてくれよーっ（涙）後でちゃんと掃除するってば。

なんだか妙に部屋の床がきれいな今週（いつもはカオス）。
ま、いいことなんですけどねえ・・・




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