あるお母さんのお話


 先日の双子サークルで、悠太・光太と同い年の双子の男の子を持つお母さんからこんな話を聞きました。

 その双子ちゃんはもちろん健常児。でも、健常児だからこそ、言葉が喋れるからこその大変さがあります。この年頃、反抗期でもありますもんね(うちはまだですが・・・)。
 反抗期でもあり、それでも何かあったらすぐ「お母さん〜」の子供に怒鳴ってばかりの日々。子育てに煮詰まり、子供がかわいく思えない、子供が寄ってくるのもイヤになって(うーん、わかるなあその気持ち)、いっそ児童相談所に子供を保護してもらおうか、とまで思い詰める状態になったそうです。

 そんなとき、ふと「子供と1日中遊べたらいいんじゃないか」と思いついたそうです。そんな日があってもいいんじゃないか。
 で、1日中いっさい家事をせず、食事も適当にお弁当で済ませたりパンをそこら辺に置いて好き放題、お菓子も食べ放題。旦那様にも有無を言わせなかったそうです。
 そうして、子供にとことん付き合う日をもうけたそうです。
 そうすると、子供が何か言ってきても笑顔で受け応えができ、その日1日怒鳴ることなどなかったそうです。

 そのお母さんいわく、「私は自分の時間・都合に子供を合わせようとする、子供は子供の時間に私を合わせようとするからどこかに無理がくるんだ」。
 お母さんの仕事は大変です。家事だけでも十分大変なのに、子供がその邪魔をする、仕事が終わらない。そのイライラは相当なものです。
 けど、こんな方法もあるんだと気付き、一時「虐待してしまうんじゃないか」とまで思い詰めた気持ちも落ち着いたそうです。

 今の我が家、一切の家事放棄とまではいかないけれど、結構このお母さんの状態に近いかもしれません。
 自慢じゃないけど、平日掃除するのはプールがお休みの水曜日だけ。他の日は朝の片づけが一通り済んだらすぐ、部屋の中がごちゃごちゃだろうが9時ごろには家を出ます。
 プールの日は、プールでとことん子供と一緒に遊びます。
 療育センターの教室の日は、そこでとことん一緒に遊びます。
 いっぱい遊んで子供もニコニコ、私もストレス発散です。

 「掃除をしない」ということ、最初は物凄く勇気が要りました。
 だって、毎日掃除しているのに次の日には「どうして?」というくらい汚い部屋。1日掃除をさぼったら目も当てられない状態になるのです。
 もともと、何をさておいても家事優先の私。家事が終わらないことには、子供と向き合う気持ちにもなれませんでした。

 けど、吹っ切れると案外大丈夫なものです。掃除していない床はなるべく見ないようにして(笑)、日中はできる限り子供優先の生活です。ただ、人様を我が家に招くことだけはできませんが・・・「上がっていって」とは口が裂けても言えない(笑)。

 そのほかの家事、洗濯は子供が朝起きだす前になるべく済ませます。晩御飯のしたくは、食べられるものに限りがあるうちの子供、こればかりは適当にはできないので、昼食が済むとすぐにとりかかります。
 そうして、空き時間はとにかく子供と遊ぶ!
(たまに子供をほったらかしにしてマンガを読みふけることもありますが・・・)

 子供が満足して笑顔でいてくれれば、それだけで母親のストレスは減ります。自分の都合を子供にごり押ししたって、子供はわかってくれないのですから。
 私の一番のストレスは子供のぐずる声。思わず、「うるさいっ!」と怒鳴ってしまいます。
 今、1日の中で子供に怒鳴るということはほとんどありません。イライラすることもあまりありません。そのぶん、しつけ二の次でいいのか悪いのか・・・

 母親業は大変で、適当な抜け道を見つけられるのならいいのですが、どうしても煮詰まってしまうことも多いです。
 そんな母親のSOSに父親は鈍感なものです。
 上記のお母さんも、そんなに煮詰まった状態ながら、昼間の子供を見ていないお父さんは「お前の仕事だろ」みたいに言われ、「しんどい」と口にすることすら言い訳のように思え何も言えなくなったそうです。

 かくいううちの夫も、「しんどい、つらい」という私の愚痴は「うん、うん」と黙って聞いてはくれますが、実際あれは私の気持ちなんてちーっとも分かっちゃいません。
 1日2日、子供のお世話を頼んでも余裕でやってのけちゃう夫、悠太・光太を独占できる!と喜びこそすれ、子守が大変なんて思わないのですから。
「悠ちゃん、光ちゃんこんなにかわいいのに、何がそんなにつらいの〜?」ってな感じ、たちが悪いったらありません。
 以前、育児に疲れ「死にたい」とまで思い詰め、完全にうつ状態だった私に、「頑張れ」だの「悠ちゃん・光ちゃんのお母さんは1人だけなんよ」だの(その状態が辛いんだって言うのに!)NGワードをがんがんに投げつけ、奈落の底に突き落としてくれたこともありましたねえ。

 最後は夫の愚痴になってしまうけど、この際暴露してしまおう。
 今月の初め、私は肋骨にひびが入るという大怪我をしました。
 最近、テレビの上に上るのがお気に入りの光太。たまに、テレビと壁の隙間に挟まって身動きがとれなくなることがあります。そのときも光太が身動きがとれなくなり、「ふえ〜ん」と泣いて助けを求めていました。仕方ないなあ、と光太を救出すべくよっこらしょ、とテレビの前にあるサイドテーブルにのぼり光太を抱っこ。そのまま下りようとしたところ、サイドテーブルがひっくり返り光太を抱っこしたまま転落、サイドテーブルの縁にしこたま肋骨部分をぶつけてしまったのです。
 そりゃあもう、息もできない痛さに悶絶しました。並みじゃない痛さでした。
 他の部分ならお肉もたっぷりついているのに、なぜよりによって、私の体で一番スレンダーな肋骨部分をぶつけてしまったの〜?

 この痛さはヤバイ!と思いながらも、夫は会社、どうにもなりません。とても痛いのですが、腰痛持ちの私としては、腰を痛めたときよりもまだどうにか動けるのです。
 で、痛い、痛いと言いながら家事をこなし、ようやく病院に行けたのが3日後、夫が休日の土曜日。やはり肋骨にひびが入っているとのこと。なるべく重たいものは持たないように安静にして、と医師からお達しがありました。 

 そしてその日の夕方。
 夫は大学時代のお友達との飲み会に出かけてしまいました。
久しぶりに会う友達との飲み会、とても楽しみにしていたので笑顔で「行ってらっしゃい」と送り出したものの、おいおい、子供のお風呂も何もかも私がするんかい。痛い、痛いって言っているのに、肋骨にひびが入っているって言っているのに、こんな緊急事態に私は休ませてはもらえんのかい。
 いくら私でも、肋骨にひびが入っている夫に子守を押し付けて外出したりしないぞ!

 そりゃあ、平日は痛いと言いながら家事もした。けどそれは助けてもらえる人がいなかったから。夫に何日も仕事を休ませるわけにもいかないし、仕方がないからやった。
 けど、けど。土曜日ってあんた、休日だろーっ!
 どうして遊びに行くあんたを痛い思いして笑顔で送り出さなきゃならないんだっ!

 結局、私の「痛い、痛い」というSOSも夫には届いていなかったんですね。
ビックリ!
夫お得意の「大丈夫だと思って・・・」って、こんな大怪我、どこが大丈夫だっていうの!
「重たいもの持てない」と言っているのに、「やって」と頼むまで布団もあげてくれない、やっても次の日には忘れているし。どういうこと?
 最近夫を持ち上げすぎて、ことあるごとに「旦那さんっていい人ね〜」と言われていたけれど、結構人でなしなんですよ。

 結論。
 夫よ、妻の声にもっと耳を傾けましょう。聞き流しちゃだめですよ。懸命に妻はSOSを発しています。結局助けられるのは夫だけ。妻が子育てに行き詰らないように、1人で抱え込まないように、刃が子供に向かないように・・・




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