比べてもしようがないんだけれど・・・


  最近めっきり朝晩冷え込むようになってきました。特に冷え込みの激しい朝はファンヒーターが活躍しています。悠太と光太はこのヒーターが大好き。朝起きるとすぐにヒーターのまん前に暖を取る猫よろしく座り、動きません。温かくて気持ちいいことがわかってるんですねえ。そして少し温まったら、いそいそとパジャマとパンツを脱ぐ光太。おいおい、こらこら。いくらヒーターがついているからって、寒いでしょうが。

 話は変わって、我が家は昔からの家が集まる古い地区にあります。まわりは畑をつくっているおじいちゃん、おばあちゃんがいっぱい。目の前には夫のおじ・おばの家、いとこ夫婦の家があり、環境的にはとても恵まれています。庭のない我が家ですが、おじの家の庭、いとこ夫婦の家の庭を我が物顔で走り回っている悠太・光太です。

 いとこ夫婦の家には、悠太・光太より7ヶ月お姉ちゃんの女の子、1歳下の女の子がいて、さらに近くに住むもう一人のいとこにもうちと同い年の女の子(もう1人生まれたばかりの女の子)もいて、高齢の人の多い地区にあって、子供の声の絶えることはありません。さらに、このいとこがとても社交的で、たえずお友達が集まっているので、輪をかけてにぎやかです。

 先日の夕方、悠太・光太を外で遊ばせていると、いとこの家からわらわらと子供が出てきました。たまたまその日は双子ちゃんが二組遊びに来ていたよう。その双子ちゃんたちは悠太・光太より1学年上ですが、私も双子サークルで顔見知りの双子ちゃん、お母さんたちでした。
 うちの子を含めて、その場に似たような年齢の子供が8人。それはもうにぎやかです。双子ちゃんのお母さんたちは、久しぶりに見るうちの子に「大きくなったねー!」とびっくり。人好きな光太は早速輪の中に入り、よそのお母さんに甘えてまとわりついたりしています。一方悠太は、少し離れた場所でたんたんと1人で遊んでいます。でも、ニコニコ、ご機嫌です。

 遊びに来ていた双子ちゃんたちはみんな幼稚園の年少さん。すっかりお兄さん、お姉さんの顔になっています。そのしっかりした表情や話し振りに驚きと羨望の気持ちが入り混じります。
 しゃんしゃんしたお子様たちの中にあって、おしゃべりもできない、関わることのできないうちの子はかなり異色の存在です。
 さすがに、いとこの子供は悠太・光太のことをよく知っているので「こんなもんか」という感じで奇妙なうちの子を気にも留めませんが、悠太・光太を知らない子にとっては何かしら「変なの〜」という視線を送ってきます。仲間意識というか、なんとなく水にあわない雰囲気を敏感に察知するようです。
 
 私が過敏に受け取りすぎるのかもしれませんが、健常の子の、こういう賢さが私は苦手です。
 関わることはできないのに、何も分からず子供たちの中でうれしそうにニコニコしているうちの子を見ると不憫に思えて仕方ないのです。
 この地域の中で暮らしていくには、悠太と光太のことをもっと知ってもらわなければいけない。そのためには、健常の子供たちの中にもどんどん混じっていかなければならない。
 障害の子も、健常の子も分け隔てなく。
 そんなの理想論だー!
 って、親がそんなこと言っていたらいけないんですかね。

 我が子がかわいいから、やっぱり、我が子が好奇の目にさらされたとしたら不憫です。悠太と光太が楽しければ、幸せならそれでいいじゃないか。人の目なんていいじゃないか。それが本当なのだろうけれど、なかなかそこまで気持ちが割り切れません。

光太はみんなが遊んでにぎやかな中、三輪車を貸してもらってご機嫌で乗っていました。
そのうち、みんなは少し離れた場所にある池の鯉を見にお散歩に行くことになりました。もちろん、うちの子はお散歩なんて無理。どこへ行くか分からず危険です。
じゃあね、バイバーイ。
すーっと水がひくようにみんないなくなり、三輪車に乗った光太だけがぽつんと取り残されてしまいました。少し離れた場所には悠太が。
ひとりぽつんと三輪車に乗り、ニコニコしながら手をパチパチうれしそうな光太。そんな光太を見て、なんだかちょっぴり寂しいような、悲しいような、なんとも言えない気持ちになってしまいました。
「三輪車は置いていくから、気の済むまで遊んでていいよ」と言ってくれましたが、もう随分日も暮れてきました。
「もう帰ろうか」
悠太と光太を家まで促します。おとなしく家まで手を引かれていく二人。

健常の子と比べて落ち込むことはもうない、と思っていました。
でもまだまだ。なかなか鉄のような意思とはいきません。
比べてもしようがないんだけれど。分かっているけれど、気持ちは揺れます。

でも、いい。これでいい。
比べても、比べても、それでも、悠太と光太が一番かわいい。そう思えれば、いい。

それだけでいい。 




育児なんか大キライ!目次へ
ホームへ