<双子との生活・1歳代前半>
 1歳代前半はとかく穏やかだったような気がする。
相変わらず子供たちは毎日にこにこと楽しそうだったし、食事も1歳2ヶ月を過ぎた頃からようやく何かしら3食とってくれるようになり一安心した記憶がある。この頃はまだ視線もちゃんとあっていたし、写真をとってもしっかりカメラ目線だった。
 ただ。「どうして芸をしないんだろう、まねをしないんだろう」という不安は日に日に重くのしかかっていった。それでもまだ、「もうすぐできるようになるよね」と、子供をお風呂に入れながら、「こうたくーん、ゆうたくーん」と名前を呼んでは手をあげさせる練習を毎日していた。

 1歳4ヶ月をすぎた12月、ようやく悠太が少しずつ歩けるようになった。
 その年の暮れに新居を構えた我が家はお引越し。年が明けてまもなく、悠太に遅れることひと月、光太も歩くようになった。歩けることがよほどうれしいのか、サイドテーブルとソファの間、数歩の距離をニコニコ顔で行ったり来たり。
 とても幸せな2003年の始まりだった。

 「あれ?なにかおかしいな」と感じ始めたのは1歳半検診を間近に控えた1月半ばのこと。あれだけいつもニコニコしていた二人の表情がどことなく乏しい。呼びかけにも振り向くことがない。視線もあいづらくなっている。発語はもちろんまだなく、大人の言うことも理解しているそぶりはなかった。
 1歳半検診の予診票の「できる・できない」の項目のほとんどが「できない」だったことも愕然とした。

 不安を抱えたまま1歳半検診へ。
「言葉もまだなんです、まねもしないんです」と訴える私に保健師さんは、「まだ個人差が激しい時期ですからね」と言い、その時点で「引っかかる」ことはなかった。二人ともまだ歩けるようになって間もなく、その頃はまだ多動ぶりは出ていなかったのだ。
 検診で引っかからなかったことが、とにかくほっとした。
 個人差があるんだもの、まだ大丈夫。




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