3歳の七五三


 悠太・光太も3歳。11月といえば七五三です。
 昔からのならわしでは数えの年齢でやるものですが、去年の彼らといえばそれどころではなく、七五三なんて思いもつきませんでした。
 今年に入っても、「まあ男の子だし、5歳でやればいいか」と悠長に構えていました。
しかし、周りの自閉ちゃん友達に聞くと、意外にも「やったよー」とか「やるよー」という声があり(反対に「うちは無理!」とはなからその気がない人も同じくらい)、人のやっていることがすぐにうらやましくなる私、加えてイベント大好きな私は、「うちも七五三やろうよ〜!」となったのです。

 主婦雑誌の付録についていた七五三マニュアルでは、最近の七五三は「写真館で写真、お参り、お食事会」の3本柱で行う人がほとんどだとか。確かに、9月頃から七五三の写真の前撮りを勧める写真館の広告がよく入ります。
 最近では写真館はほんとに身近な存在で、子供が生まれてからの成長の記録を写真館の写真で残す人が多いようです。お宮参り、お食い初め、初節句、一歳の誕生日などなど。

 我が家は、そのどれも写真館とは無縁でした。双子育児に忙殺されて、お宮参りすらしなかった(できなかった)我が家です。私と夫両方の実家が、そういった行事にうるさくなかったのもありますが、ずーっと長いこと「写真館で写真をとろう」という気持ちの余裕などもてなかった日々でした。

 さて、「写真館で写真を撮りたいなあ」と思える余裕の出てきた今。
ああ、あの時多少の無理をしてでも写真館できれいな記念写真を撮っておくべきだった・・・と後悔しきり。
今となっては写真館で写真なんて無理。だって、だって、多動ちゃんなんだもの。
言葉の通じない彼ら。じっとして、はいポーズなんて無理!カメラ目線なんて無理!最悪の場合、写真館に入ったとたんパニックになっちゃう。「写真を撮る」ということを理解できない彼らにとって、訳の分からないところに連れてこられて、体を拘束されて・・・という状況はとてもつらいはず。

 それでも、写真館で写真、悩みました。自閉ちゃんの掲示板に相談すると、「大変だったけど頑張ってよかった、いい記念になった」という声が圧倒的でした。
 やっぱり、写真館にチャレンジしたい!
 タウンページをめくって、写真館探しを始めました。
 どこにしようかな、ここはどうかな、うーん、電話しなくちゃ、電話、電話・・・と思っているうちにずるずるときて、あら、もう11月。とってもずぼらな私、写真館に連絡するタイミングをなくしちゃいました(笑)。
 うーん。ま、もういっか(あっさり)。
 七五三なんて、子供の健やかな成長を祈願する行事、気持ちのものだもの。お参りして、家のカメラで写真とって、それで十分!

 果たして、11月10日。人の少ない平日に日を設定して、七五三のお参りに行くことに。もちろん夫には休みをとってもらい、夫方のおばあちゃんもカメラマンとして参加してもらいました。
 衣装も普通はスーツをあつらえたり、それなりに奮発するのでしょうが、私たちは普段着のまま。もちろん、ちょっとはおめかしします。私は普段のTシャツではなく、黒のニットにネックレスを。夫も、普段の格好の上に普段着ることのないジャケットを。子供が一番おめかしだったかな?ブルーのシャツにベスト、黒のズボン。でもこれは全部家にあるもの。唯一新調したのが西○屋で買った700円の蝶ネクタイ(笑)。
 な〜んて安上りなんでしょう!
 蝶ネクタイを嫌がって着けてくれないかも・・・と心配していたのですが、着けるときに光太が多少抵抗したものの、着けてしまえば気にならない様子でホッ。
 その蝶ネクタイ姿がまたかわいい!というか面白い!妙によそ行きの「坊ちゃん」のいでたちに、夫と私は大爆笑。夫は「かわいくてよだれが出る〜」(笑)。

 神社は、我が家から車で30分程度のH神社へ。
 もっと近くにもたくさん神社はあるのですが、そのH神社は私が高校を卒業するまで住んでいた地区の氏神様で、私が一番慣れ親しんだ神社なのです。悠太・光太を産む前に安産祈願に訪れたのもH神社ということで、今まで大病もすることなく無事大きくなった二人、お礼参りもかねての参拝です。

 いくら平日とはいえ七五三も近いこの日、少しは参拝客もいるだろうと思いきや、神社はがらがら。拍子抜けしつつも、まずはお参り。「気持ち、手を合わせるだけ」と言いつつも、手を放すとどこへ行ってしまうか分からない子供を抱っこしながらでは、手を合わせることすらできません。おまけに、鈴をならすのを楽しみにしていたのに、この神社には鈴が無い!早くも、「降ろして〜!」と体をくねらせる子供に、とりあえず頭だけ垂れます。「健やかな成長を・・・」なんて祈る余裕さえなく、するりと逃げ出した子供を追いかけます。ご祈祷してもらうなんてとんでもない!

 初めての場所が気に食わない光太は、「もう帰ろう」と車まで手を引っ張ります。
一方悠太はお賽銭箱が気に入った様子。「何ですか、コレは」と賽銭箱を覗き込みます。
「とりあえず、写真、写真!」と、無理やり子供を抱っこして、ハイ、チーズ!
そりゃあもう、子供はあさっての方向を見ております。でも、我が家にとっては貴重な家族4人の写真です。

光ちゃん、カメラ見てー!

 その後、子供を水場へ連れて行くと(最初にここでお清めしなければいけなかったんですけどね)、お水大好きの二人はすっかりご機嫌。ひしゃくにすくった水を流しては、それをうっとりと見て、しばしお水遊び。
 脱走する気配のない二人を見て、私と夫は二人を激写!しかしここでも、なかなかいい表情は撮れず・・・

悠ちゃん、入っちゃだめー!

 お水遊びも堪能した二人。神社近くの山の上にある公園へ場所を移しました。この公園も、土日ともなれば人もたくさんいるのですが、さすが平日。人影もまばらです。その代わりに、枯葉を掃除している清掃員さんが数名いました。
 悠太は、清掃員さんの持つ箒の動きが気になって仕方がありません。じーっと見て、少しずつ、遠慮がちに近づいて行きます。そして、邪魔をする(笑)。ひどいいたずらをするわけではありません。ただ、そこに立っていたらお掃除できないでしょーっ!
 何度も懲りずに清掃員さんにアプローチをかける悠太なのでした。

 公園でも結局、大撮影大会になってしまいました。私はデジタル一眼レフを、夫はビデオカメラを、おばあちゃんはデジカメをそれぞれ構えて悠太・光太を追います。
 動き回る子供に、今日ほどデジタル一眼レフを買っていて良かったと思ったことはありません。素早いピント合わせ、失敗を恐れることなくシャッターをどんどん切ることができます。これがいちいちネガフィルムの普通のカメラだったら、フィルム1本にまともな写真が1枚もなかった、なんてことになりかねません。
悠ちゃん、いいお顔! 楽しいね、光ちゃん

 はー、疲れた。カメラマンさんってとても集中力を使う仕事なんですねえ。今日、一体何枚の写真をとったことやら。
 どうにか、この3歳の七五三の記念の「いいお顔」を残したい一心でした。
さて、その写真の出来はいかがなものか?いい記念にはなったかな?
 悠太・光太も普段とは違う状況の中、ひどく困らせることなく頑張ってくれました。
えらかったぞ!ありがとうね。

 5歳の七五三の時は、しっかり計画を練って準備をしておこう、と心に誓う私なのでした。






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