28歳のパパ

 今日、8月25日は夫の28歳の誕生日。
 悲しい。実に悲しい。自分がトシをとるよりも悲しい。「 若いパパ」の賞味期限がどんどんせまってくる・・・

 私より5歳年下の夫はいつでも自慢だった(なぜ過去形?)。
「夫は5歳年下で・・・」と言うと、決まって周りの反応は「えーっ!うらやましい!」
(えへへ〜、そうだろう、そうだろう)
 そのうえ、育児も家事も(料理以外)パーフェクトとくれば羨望の的だ。夫の話になると私のハナはぐんぐん伸びていく。
 けど、どうしよう。「若い」の形容詞がもうそろそろ使えなくなる。30歳でお父さんなんて普通じゃないかー!

 夫と初めて会ったのは、誕生日前だったのでまだ夫は22歳。まだまだ学生気分がぬけいていない、ふら〜っ、ほよ〜んとした、つかみどころのない人だった。
 20代独特の貪欲さや攻撃性といったものがまったくなく、平和そのもの。そののんびり加減が非常にムカついた記憶がある。

 その平和でおだやかな性格は今現在も時として私の怒りを買う。
 このお盆休み、プール通いに飽きた私たちは郊外のデパートへ行くことにした。
夫 「何か見たいものある?」
私 「お父さんの誕生日のプレゼントと悠太の靴。お父さんは何かある?」
夫 「あるよ(ニッコリ)。あのね、悠ちゃんと光ちゃんの笑顔!」
私 「・・・・」
 アホか、君は。車の運転中じゃなかったら、私の蹴りが間違いなく入っていたことだろう。

 5歳年上の私と結婚した夫は、友達一同から「尻に敷かれること間違いなし!」と結婚当初から言われていた。普通はそう思うのだろうが、それは読みが浅い。
 夫のことをよく知らない私の周りの人などからは、「5歳も年下なんて、子供が3人いるようなものじゃない?」なんて言われたりするのだが、とんでもない。
 彼は、悠太・光太、そして私の保護者である。そして、超一流の猛獣使いでもある。
 猛獣とは、そう、私のこと。
 理屈も屁理屈もなくぎゃーぎゃーわめきちらし、猛り狂う私を、「うんうん、はいはい」と軽〜くいなし、「で、どうしようか?」とニッコリ、ふてくされている私が目に入らないかのような態度。とってもオトナなのだ。
 私なんて、お釈迦様である夫の手のひらの上で転がされている孫悟空なのだ。(このたとえには、私の家族は一同首を大きく縦にふった。)

 そんなお釈迦様な夫、5年前のお兄ちゃんの姿はすっかり消え、どこから見てもいいお父さんである。
 悠太・光太命。普段、感情をあまり表に出さない夫をこうも目尻を下げさせるのは何なのか。理屈も何もなく、父親だからなんだろうな。

 悠太と光太の世界をもっと知りたい。そんな夫はすっかり自閉症マニアである。夫にまとまったお金を持たせるのは危険だ。仕事帰りにす〜っと本屋に立ち寄っては、自閉症に関する本を買ってくる。そして、こういった本はびっくりするぐらい値段が高い!
「おつり、返してねって言ったのにー!」
「でもね、ほら、悠ちゃん光ちゃんの本(うちでは自閉症に関する本のことをこういう)があって、ずっと欲しかったの。お母さんも読むでしょ?(ニコニコ)」
 かくして、夫のお小遣いはなくなってしまうのだ(いや、もとからお小遣いなんてないのだが)。

 さあ、夫が今日は定時退社で帰ってくる。できる限りのごちそうと、シャンペンでお祝いをしよう。
 プレゼントは、通勤用の靴(すでに使用中)、桃を一つまるかじり、そして先日のデパートで買った定期入れ(セールの品「安いのでいいよ〜」と夫)。
 そして、悠太と光太からは熱〜いチューを・・・





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