母のつぶやき、ぼやき

 君たちは、な〜んにもしなくていいよ。
トイレなんて行かなくても、一生紙パンツのままでいいじゃん。
ご飯だって、スプーンやお箸が使えなくてもいい。お母さんが一生、君たちにご飯を食べさせてあげる。
それで、いいじゃん。

な〜んて、なかば本気で思っている私。
目下の懸案事項・トイレトレと食事を自分で食べられるようになること。
けど、そんなの悠太と光太には無理だよー!絶対無理!
食に関心が薄いやつらは、今でさえ「食べさせてくれるんなら食べてやってもいいよ」ってな雰囲気だし(実際、食事の温度のこだわりがあるので、自分で適温のものを口にするのが難しい)、スプーンを覚えさそうにも模倣が苦手なやつら。道具として、スプーンで食事をするというのは分かっているのだが、「自分で」の意識はない。

トイレトレも、「うちは来年でいいわ〜」と余裕でいたのに、療育センターの教室では「みんなでトイレ」の時間があってびっくり。急遽うちにもおまるを設置して、おまるに座る練習をさせてはいるのだが・・・
「濡れて気持ち悪い」感覚が果たして悠太・光太あるのか?
べっとりうんちを何十分もかかえても平気なやつらだ。
おむつをとりあえずはずしてみましょう、と言われても、うんちが頻繁なので(それもべっとり)なかなかその勇気もない。
トレーニングパンツをしこたま買ったのだが、さて、いつからチャレンジしよう?

 よし、まじめに取り組まなくては!と1冊2500円もする発達が遅れている子供のための「食事指導」と「排泄訓練」の本を買って意気込んでいたのだが・・・
 2人とも体調を崩し、またもや拒食状態になってしまった。
まーたーかー・・・(ため息)

とにかく、食事を拒否する。
おなかはすくらしく、食事椅子に自ら座るのだが、いざ一口「あーん」と口に入れるやいなや、べーっと口から吐き出す。そして、泣く。
「なんじゃ、こりゃー!こんなもの食えるか!」そんな泣き方なのだ。
そうなると私も、「そんなにお母さんの作ったものが気に入らないんなら食べんでもいいわ!」 とぶち切れる。
そうこうするうちに、食事の時間になると泣き喚くようになってしまった。
最初は、光太は白米なら口にしていたのが、とにかく食べ物を見ると泣いてパニックになる。
ついに、拒食症になってしまったんだろうか。
全く何も食べない日が3日、4日と続くとこっちも精神的にまいる。

「どうして食べないの!」と腹を立てていたのが、だんだん空しさに変わっていく。
食べないと死んじゃうんだよ。それでもいいの?

食の細さ、食べ物への関心の薄さが、そのまま生きる意欲の薄さにつながっているような気がする。
生きるためには食べなくてはいけない。それは生き物の本能だ。その本能の部分が弱い。「俺は生きるんだ!」、そんな貪欲さがない。生きることへの執着心がない。
「食べなくてもいいし、別に生きていなくてもかまわない」そんな二人の心の声が聞こえそうでこわい。
むなしくて、情けなくて、悲しい。

 なんでこの子たちはこんなに難しいんだろう?
障害児も健常児も、育児の基本は同じ。食べさせて、着せて、寝かせて。それができていれば、かなりな部分OKと言われても。
その単純なことどれ一つをとっても悠太と光太には難儀だ。
食べさせて・・・食べない!
着せて・・・お着替え、激しく抵抗(毎朝攻防戦が続く)。
寝かせて・・・寝ようとするとハイになる、なかなか寝ない。寝てくれー!
そのすべてがダブルパンチなのだから、たまったもんじゃない。

療育センターの担当の保育士の先生が言う。
「この子に、こんなふうになってほしいな、っていう望み・希望をもちながら係わっていきましょう」
その希望を持つことも難しいんだけどなあ・・・




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