<悠太との生活、そして光太の退院>
 悠太との生活が始まった。
それは、想像していたよりもとてもラクなものだった。
あっけないほど、というか、「あれっ?こんなにラクでいいの?」という感じだった。
 悠太はとてもいい子だった。
夜間に何度か起きて授乳するのだが、授乳した後、悠太はお布団の上にぽんと置いておけば、きょろきょろした後にいつの間にかすーっと眠ってくれた。
 私は少々寝不足気味だったが、ほとんどからだの負担にはならなかった。
 日中も、もちろん赤ちゃんなのでよく泣いた。が、泣いたら抱っこしてあげればいい。まだ小さいので、抱っこも片腕で十分。片腕はあいているので抱っこしながらも何かしら身動きが取れる。家事も、悠太がお昼寝している間にさっと適当にすることができた。
赤ちゃん体操をする余裕も、悠太に歌を歌ってあげる余裕もあった。
 本当に、穏やかで幸せな時間だった。

 悠太の世話をしなくてはいけないので、必然的にNICUに入院している光太の面会は今までどおり毎日とはいかない。平日の面会は夫が、週末は夫に悠太を見てもらって私が行くことになった。
 会わないうちにも、光太は順調に大きくなっていった。
 1800グラムを越え保育器から出ることができた。初めての抱っこはお父さんだった。
 私はというと、1週間ぶりに会った光太に「あれっ?」と違和感を抱く。
 なんだろう、悠太とは違う・・・

 悠太と光太は1卵性の双子だ。が、見かけは「ほんとに双子?」というぐらい違うのだ。肉付きが違うのもそうだが、悠太と比べて髪も少ない、髪の色も目の色も薄い。頭の形も、悠太はまんまるなのに、光太は500グラム少なく生まれたせいで、未熟児特有の面長・後頭部はルチ将軍のように(私と同じ年代の人なら分かってもらえるかしら)出っ張っている。正直、不恰好だ。
 なんか、悠太と比べてかわいくないな・・・
 
 この印象は、この後ずーっと、ずーっと引きずることになる。

 悠太に遅れること半月ほど。光太も無事、54日の入院期間を経て9月17日に退院となった。
 そして、これが戦争の始まり。本当の双子育児の始まりだった。

退院直後の悠太 左:悠太   右:光太
大きさがずいぶんちがいます。




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