初めての海

 ゴールデンウィークの前半は天気もよく暖かい日が続いたので、去る5月1日、連休のメインイベントとして、悠太・光太を海に連れて行くことにした。
 これが、初めての海。去年の夏は「この子たちにはちょっとまだ早いかなあ」と二の足を踏んでいた。でも、お水遊びが大好きな2人。きっと喜んでくれるはず。念願の初・海に2人はどんな反応をするだろう?夫と私も行く前からわくわく、どきどき。
 でも、怖いもの知らずの光太はいいとして、慎重な悠太はどうだろう?いくら水遊びが好きな子も、海は怖がってしまうという話もよく聞くし・・・
 まあ、案ずるより産むがやすし。2日前から変な咳をしていた悠太の体調も気がかりだったが、なーに、体調が悪くなるときは家の中にいても悪くなるさ、としっかりお着替え持参で海へと向かった。

 車で走ること1時間足らず、呉市のかるが浜公園についた。公園の遊具あり、芝生の広場ありのきれいな施設。人工の砂浜が広がる。
 二人乗りのベビーカーに悠太と光太を乗せて砂浜の近くまで行く。公園の遊具も気になったが、まずは目的の海。
 さあ砂浜だよ、行ってごらん、と2人の足を砂浜の上に置こうとしたのだが・・・
 目の前に広がる砂浜と海の景色、そして足の下で動く砂の感触におののいたのか、光太は砂浜に一歩足を踏み入れたとたん、嫌がって砂浜から上がってしまった。
 悠太においては、抱っこするお父さんにこわばった顔でしがみついて、意地でも下におりようとしない。それはもう必死の形相で、どんなに体を離そうとしてもぐっと力をいれ、足を持ち上げる。その悠太の根性に私も夫も苦笑。

 しかし、そんなことでせっかく来た海から引き上げる優しい母ではない。
「さ、行くよ」と、さっさと2人の靴と靴下を脱がせ、まずは光太を砂浜に置いた。
 最初は神妙な顔をしていた光太だったが、しだいに砂浜を歩き始め、あっという間に調子づいて、海へと突進して行った。さすが光太!
 さあ、それからはもう大変。
大好きなお水となると、「ほどほどに」なんて加減はわからない。ほうっておくと、ざぶざぶとどこまでも海につかりかねない勢いなのだ。
暖かい日だったとはいえ、まだ5月。海水浴には早いぞ、光太!

さて、一方の悠太。
光太が海で水遊びを始めてもまだ、海に視線を落とさないようにお父さんにしがみついている。
スパルタ母は「はい、悠ちゃんおいで」とお父さん抱っこから悠太を引き離すと、有無を言わせず波打ち際の砂浜の上に置いた。
不安げな顔、いや〜な顔が少しずつ和らいでいく。おそるおそる、打ち寄せる波に手をつける悠太。もう大丈夫だ。そこで、私もようやく悠太の脇に添えていた手を離した。
慎重に、慎重に水に手をつける悠太。不安げだった表情は不思議そうな表情へ変わり、足にかかる波の感触を楽しんでいるのが分かる。
 やった!海、OK!

 一度、それが楽しいもの、心地よいものと分かると慣れるのはあっという間。
波打ち際で遊び、砂浜を走り、砂遊びをしてとても楽しそうな2人。そんな2人をデジタル一眼レフで激写する夫。
 夫も私も裸足でGパンのすそをまくり、子供と一緒に5月の海で遊んだ。


 こんなふうに海で遊んだのって、いつ以来だろう?
 普段、「子供がいるからこれもできない、あれもできない」とできないことにばかり目を向けてしまうけど、こんなふうに、「子供がいるからできること」もたくさんあるんだよね。
 子供がいるから、悠太と光太がいるから、楽しい時間、幸せなひととき。

 しかし、楽しい連休はこの日まで。
海へ行った日の二日後、変な咳をしていた悠太が熱を出し、当番医に駆け込むはめに。
 トホホ・・・





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