結婚3周年

 4月22日、我が家も結婚3周年を迎えた。
まるでジェットコースターに乗っているかのようだった3年。でも、今までただの1度も子供のことで嫌な顔をしたことのない夫には感謝してもしきれない。まあ、子供より手のかかる妻がいるのだけれど・・・

 結婚記念日前夜、夫が会社を定時退社できる日にちょっとしたご馳走でお祝いした。2人でスパークリングワイン1本をあけ、結婚後、こんなに酔っ払ったことはないというくらい酔っ払って幸せ、いい気持ち。
 さあ、子供の寝かしつけと一緒に、ドラマ「光とともに・・・」が始まるまで一休み。目覚ましを10時半にセットしてあっという間に眠りに落ちる夫と私。じきに光太も眠ってしまっていた。
 が、1人、こんなに3人が高いびきをかいているというのに絶好調で遊んでいる人が。
 悠太めーっ!ドラマが始まってしまうじゃないの!

 睡眠障害、というほどではないのだけれど、2人は(特に悠太は)寝つきが悪い。ウトウトしかけていたと思ったら、いきなりスイッチが入り、ハイテンションで走り回ったりする。
 この日も、ウトウトするのだけどなかなか眠れず、しびれをきらした私はドラマを見るためテレビをつけた。前の週はテレビを見ながらも抱っこで寝かしつけたのだが、この日はなかなか寝付かない。ドラマに集中したいのにできずイライラがつのる。とうとう夫に悠太を車に乗せて寝かしつけてもらうよう頼む。
 が、これがあだとなった。
夫と悠太はなかなか帰ってこず、帰ってきたのが12時半前。しかも悠太が大泣きしている。やっと眠ったと思い、車から降ろそうとしたら起きてしまったのだ。疲れ果てて眠ったところを起こされた悠太は手がつけられないほどパニック状態で泣き叫ぶ。
 ミルクを飲ませ、なんとか気持ちを落ち着かせて結局私の抱っこで寝かしつけた。
私も夫も疲れ果てていた。ようやく横になれたときは1時をまわっていた。
 とんだ結婚記念日イブ。

 さあ22日、結婚記念日、気持ちも新たに子供と前向きに頑張ろう!そんな気持ちに水をさすような事件がまたおきた。
 また、光太がいなくなってしまったのだ。

 前回、光太がいなくなり危うく事故を免れたときに、どうしてすぐベビーシッターなりヘルパーさんなりつけなかったのか、と対応の甘さにお叱りを受けるかもしれない。
 が、あれ以来、私もかなりの神経を使って外遊びをさせていた。必ず2人を目の届く場所に置いた。悠太が行くところ、必ず光太を引きずっていった。
 が、まさに一瞬、悠太に気をとられた隙のことだった。あまりに一瞬のことだったので我が目を疑った。そこにいるはずの光太が忽然と消えていた。
ドラマ「光とともに・・・」第二話で、光くんを見ていた教師が一瞬光くんに背を向けた隙にいなくなるシーンがあったが、まさにそんな感じだったのだ。
 辺りを見回しても姿は見えない。これはまずい!

すぐに悠太を家の中に入れ、探しに走った。前回いなくなったときに行ったルートを探すが、いない。車道でも子供がうろうろしている様子も、事故にあった様子もない。
けれど、早く見つけ出さないと命の保障はない。
 けれど、どこにもいないのだ。すっかりパニック状態になってしまった。
「光ちゃーん、光ちゃーん、どこー?!」
呼んでも光太が返事をすることはない。けれど呼ばずにはいられない。せめて返事さえしてくれたら・・・
  思い当たるところをすべて当たった。何周も同じところを走った。けれどいない。時間はどんどんすぎる。いなくなったことに気付いてから15分はたっていた。絶望感でいっぱいになった。もうだめだ。早く警察に電話しなきゃ!
そこで、隣に住む夫の叔母をつかまえる。
「おばさん、光ちゃんがいなくなっちゃった。警察に電話しなきゃ・・・」
汗だくで、顔面のこわばった私を見てすぐに尋常じゃないと察した叔母は、「そんなに遠くへは行ってない筈。手分けして捜そう」と、探すのを手伝ってくれた。

本当に遠くへ行っていないのだろうか。興味の赴くままにどんどん行きたい方向へ行ってしまっていたら・・・言葉も分からない、危険も分からないあの子が。
やっぱり早く警察に電話しよう。そう思いながら、1度確認した裏の道を見たら。
光太がいたのだ!どこをどう行き違ったのか、裏のお宅のガレージに置いてあった泥水の入ったバケツに手をパシャパシャと入れ、にこにこしながら遊んでいたのだ。
腰が抜けるとはこのこと。あんなに探し回っていなかった光太が目の前にいることが信じられなかった。いた。光太がいた!

光太がいなくなってから見つかるまでの、あの絶望だけの時間。
光太が無事見つかってよかった、という気持ちにはなれなかった。ただただ、情けなかった。私1人では、子供の命の保障すらしてやることができないのか、と。あんなに気をつけていたのに、また同じことを繰り返してしまったのだ。何が母親だ!
すっかり、母親の自信も踏みにじられてしまった。

 このところ夫は多忙で、この日も帰宅は深夜1時に近かった。話は聞いてくれたが、疲れ果てている夫に私の気持ちを受け止める余裕は残っていなかった。
お互い疲れ果て虚しさがばかり残った、とんだ結婚記念日になってしまった。

ニコニコこう君。いつもこんな感じ。 シリアスゆう君。苔を触っています。


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