春休み2009  チャレンジ


 恐怖の春休み。
 まるまる2週間です。夏休みのように登校日があるわけでもなし、どうすればいいのかと頭を抱えていました。
 何が恐怖かって、たとえ平日に牛乳が切れたとしても、その牛乳1本さえ悠太・光太がいたら買えないのです。
 気をつけて週末にまとめ買いをしていても、週半ばになると何かしら足りないものが出てきます。本当に困ったときは夫に頼めばいいし、24時間営業のスーパーもありますから、何とかなるといば何とかなるのですが、こう、いつものようにいかない不自由さ、拘束されている感が精神的にしんどいのです。

 しかし、今年の春休みは違いました。
 前言撤回。「牛乳1本くらいなら買える!」

 春休みは、プール通いをする予定でしたが、3月半ばからひいていた風邪をひきずっていて、あまり無理はさせられない状態。27日には温泉旅行もひかえていたため、大事をとって家で過ごすことにしたのですが・・・さーて、ずっと家にいてばかりでは仕方ない。かといって私ひとりで公園へ連れて行く勇気はちょっとないし、ドライブだけ、ってのもなあ・・・
 
 そんなときです。「小麦粉が切れてる!やばい!」
 最近、しょっちゅうクッキーを作っていたので、小麦粉の減りが早く、買いだめしていたものも切らしていたのです。
 うーん・・・悠ちゃん、光ちゃん、スーパーに行ってみる?お買い物、付き合ってくれる?

 悠太・光太がスーパーに足を踏み入れるなんて、何年ぶりだろう?お店など刺激の多い場所は二人とも大嫌いです。
特に光太はパニックを起こすほど辛く、悠太は妙に興奮して暴走。たとえ夫が一緒に行ってたとしても、無事に買い物して帰れる状態じゃありませんでした。もちろん、今まで1度たりとも私ひとり人で二人をスーパーに連れて行ったことはありません。

 けど、この1年で急成長した二人。
 理解力は格段にアップ、よく指示がとおり、落ち着いて行動できるようになりました。学校では、いろんなお仕事もやっています。
スーパーが二人にとってしんどい場所ってのは百も承知、でも、何とかなるんじゃない?
 よーし、思い切って、スーパーで買い物にチャレンジ!

 大きなショッピングセンターはさすがに親子ともどもハードルが高いので、近所の食料品だけを扱うスーパーに行ってみました。
スーパーに到着とたんに不安でいっぱい、ドキドキで真顔の光太はとりあえず私と手をつなぎ、買い物カゴを悠太に「はい、お願いねっ」と持たせます。これで、暴走もできまい。ふふふふふ。
買い物カゴを持った悠太は、初めての体験にその場でたたずみ、にや〜っとなんだかうれしそう。「悠ちゃん、おいで」と言うと、ニヤニヤ、キョロキョロ周りを見ながらゆっ〜くり歩きます。
この日買ったのは、二人の大好きなブロッコリー、お目当ての小麦粉、クリームパン、そしてお買い物に付き合ってくれたご褒美に、光太には好きなプリンを選んでもらいました。

お店の中にいた時間は5分ほど。
悠太・光太もドキドキだったでしょうが、私だってドキドキ、ヒヤヒヤ、ええもう、目が血走っていたと思います。
カゴが重くなると、悠太がカゴを引きずり始めるわ、私がカゴを持つと「フリーになった!」と言わんばかりにフラフラ歩き始めるわ、光太もいろんな商品に興味しんしんであちこち立ち止まるわ、さっさと「おしまい」にしてすたすた店から出ようとするわ・・・
そのたび、「悠ちゃんっ、こっち、こっち!おいで!」「光ちゃん、待って!」と本気で叫ぶわけで、周りの人も「なに、この人」っぽい視線を送ってくるけど、そんなもの気にしちゃいられない!いっぱいいっぱいでした。

それでも、結局なんとかなった!
悠太も光太も、ちゃんと呼んだら戻ってくるもの。行動を合わせてくれるもんね。
買った品物を、買い物袋に入れるお手伝いも上手にできました。
買い物が終わり、ドライブして家に帰ると、光太は早速買ったばかりのクリームパンをおねだり。さらに、自分で選んだ大きなプリンを幸せそう〜な顔で食べたのでした。

その夜、二人を連れてスーパーへ行ったことを夫に話すと、「ひえーっ!お父さんはそんなことする勇気ないわ」と身を震わせて言っていました。それくらい、大きなチャレンジだったのです。

悠太・光太とお買い物、に目覚めた私は、食材のスーパーに続きドラッグストアにもチャレンジ。箱ティッシュが切れてしまい、ちょうど特売がかかっていたのです。
ここも余裕♪
ドラッグストアは、悠太・光太にもなじみがあるものがたくさんで、棚にそれを見つけては指でとんとん、「これ、知ってるよ。おうちにもあるよ」とニッコリ。一瞬、光太を見失って焦りましたが、「光太ー、光太ー」と呼ぶと、「ゴメンナサイ〜」といった顔ですっとんで戻ってきました。

「お一人さま一つ限り」の箱ティッシュ5個組を二人にそれぞれ持たせ、お店を出る。なんだか、買い物に来たそこらへんの普通の親子って感じじゃない?と一人こそばゆくて、うれしくて、笑ってしまいました。
ちょっと前まで、お店に入ることすらできなかったのにね。

本当に、いろんなことができるようになるんだなあ、と思います。ゆっくり、ゆっくり、一つずつ、一つずつ。
お店で買い物できるようになったら、もっと楽しくなるね。好きなものを選んだり、お金を払ったり、いろんなルールを覚えていこう。少しずつ、時間をかけて大きくなろうね。



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