11月のポニョ


 まだ11月だというのに、突然の真冬の寒波到来には参りました。
 ここんとこの温暖化で暖かい冬に慣れた体。昨シーズンなんて、冬場でも最高気温が10度を下回ることはほとんどなかったってのに、何なんだ、予想最高気温7度って。
しかもその7度ってのは広島県南部。じゃあ、うちのほうはせいぜい5度くらいかなー♪ それでもって、さらに北へ上がる学校は・・・ううう、考えただけで震える。

急いで家の中、冬支度しました。
みんなの布団にはふかふかの冬用敷パッドを敷いて、二階の私の寝室の布団にも、敷パッドと電気敷毛布と・・・と思っていたら、ない!電気敷毛布の本体はあれど、コードがない!私、どこへしまい込んだっけ?
結局思い出せず床に就いたのですが、寒さで夜中目が覚めてしまって、眠れなくなってしまいました。

私、本当に冷え性なんです。特に足先なんて氷です。
靴下はもちろん、その上からフリースの部屋履きを履いて、さらにレッグウォーマーもつけて。それでも足が冷たくて、眠れない。毛布に掛け布団に、その上からさらにもう一枚布団をかぶって、それでも寒いっ。
結局二日間、寒さに目が覚めて、眠れぬ夜が続きました。

ああ、やっぱり電気敷毛布がないと私はだめ。コードはどこへいったのぉ?
もう、新しいの買うしかないんだろうか、と思ったそのとき、ふとベッド脇のオーディオ用ローチェストに目がとまりました。記憶のどこかに引っかかります。そのローチェストの小さい引き出しを開けたら・・・あったー!
電気敷毛布のコードがあったのです。
そのときの感動といったら。
失くした結婚指輪が見つかったときの数倍、うれしかったですねえ。だって、結婚指輪がなくても眠れるけれど、電気敷毛布がなかったら眠れないんだもの(本気)。
なぜ毛布本体とコードを別の場所にしまっていたのか、という問題はさておいて、ともかく、これで眠れない夜にさよなら、です。


この寒波到来の夜、悠太がダウンしてしまいました。
ここんとこずっと体調が良くて、あー、さすがに小学生ともなると風邪もひきにくくなるんだなあ、と思っていた矢先のこと。しかも、3日後には学校の文化祭が控えていました。

寝る前までは元気で、夕食もしっかり食べていたのに、深夜、嘔吐・発熱。
なんで、このタイミングに(涙)。
あうう。文化祭、楽しみにしていたのに。1年生はステージ発表はないけれど、オープニングで余興程度だけど、ポニョの歌に合わせて何かするらしい、その練習も頑張ってやっていたのに・・・
幸いなのは、悠太本人が、文化祭欠席どーのこーのと分からないこと。悔しいのは親だけです。それも切ないんだけど。

本番は土曜日です。
光太だけ出席して、夫か私のどちらかが発表を見に行くということもちらりと考えましたが、というか、光太は元気なんだからそうするべきなんですが・・・
どうしてもそんな気になれません。それは夫も同様。
光太だけ出席させても、きっと、そこに悠太がいない寂しさには耐えられないでしょう。なら、みんなでお休みしよう。

けど、1日休むと悠太の熱も下がり、食欲も出てきました。
もう1日休んで・・・3食しっかり食べてるし、なんとか行けそう?きっと、本当はもっとしっかり休ませなきゃいけないんだろうけど、元気な光太もいるし、ちょっとだけ頑張ってもらおうか?

ギリギリまで悩んだものの、どうしても悠太と光太のポニョが見たい!
当日、急遽お弁当を作り、出席することにしました。
だって、人前でこの子たちが発表するなんて初めてのことなんだもの。どうしても見たいじゃない。

スクールバスには乗せず、家の車で学校に連れて行きました。
意気揚々と校舎へ向かう光太。しかし、悠太は立ちすくんで動こうとしません。何度も呼んで促し、少しずつ歩いてくれるのですが、やはり数歩進んでは固まってしまいます。
気持ちはどうしても学校へ向きません。
何とか校舎内へ入っても、自分の教室に向かう廊下の曲がり角でびくともしなくなってしまいました。

本当に、本当にイヤなんだなあ。しんどいんだなあ。
やっぱり、休ませてあげたほうが良かったんだよね。いや、でもお願いだから頑張って!(←ここらへんが鬼)
と、ここで担任の先生とクラスのお友達が登場。そのまま抱っこで体育館へ連行してもらいました。
夫と私も教室に荷物を置いて、体育館へ移動。なんとか保護者席の最前列をゲット!
夫は三脚にビデオカメラをセットして、やる気まんまん、準備万端です。

オープニングの「初めのつどい」が始まりました。
ここでの出番は小学部1年生から3年生。
まずは、2年生が太鼓を演奏、3年生が手作りのおみこしを担いでお祭り気分を盛り上げると、最後に1年生の登場です。

 おっ、出てきた、出てきた。おそろいの手作りTシャツをみんな着ています。か〜わい〜♪
 ポニョの歌にあわせて、手作りの楽器をふりふり、踊ります。悠太はさすがに真顔でしたが、嫌がりもせず(練習ではニコニコだったそうです)、やらされるがままというか(笑)。光太はノリノリ、ニコニコ!
 
ポニョをがんばる悠太(右)、光太(左)

 あっという間、5分程度の出番でしたが、こんな大勢の人の前でよく頑張った!拍手喝采、感無量でした。
 そして、実感しました。
 我が子の、このたった5分の発表は、親にとっては劇団四季のミュージカル以上の価値があるのだと。いやもう、ブロードウェイの舞台だって太刀打ちできません。

 そんなことを真顔で言えてしまう、我ながら親バカって恐ろしいもんですねえ・・・


 小4以上は各学年持ち時間15分のステージ発表。劇有り、歌有り、踊り有り。衣装も大道具も小道具も、みんな凝っていました。
 悠太・光太の出番は終わったってのに、まだビデオをまわし続ける夫。いい映像をいかにして撮るか、「練習」だそうです。カメラも、レンズを換えたり設定を変えたりして撮影、来年の撮影に向けてのデータ集めだそうです。
 
 ステージ発表も、高等部となるとさすが!見ごたえ抜群、すごーくかっこよかったです。
 悠太・光太もこんなふうになれるんだろうか?
うーん、想像つかないなあ・・・

 午前中ステージ発表は終了。
 教室に戻ってお弁当タイムです。しかし、ここにきて悠太限界。「うーっ、うーっ」としんどそうな声をあげて、お弁当もほとんど口にできません(光太はニコニコ、パクパクでしたが)。
 本当は、おうちでお休みしたかったんだもんね。無理させちゃってごめんね。
 お弁当を食べ終わると、そのまま家に帰ることにしました。

 あーあ、午後はバザーや展示を見るつもりだったのになあ。
 バザーはPTAのものだけでなく、地域の作業所からも出店があり、高等部の生徒が作ったパンや野菜や陶芸作品などもあり、すごーく楽しみにしていたのです。
 そのにぎやか〜な一角を素通り。ああ、PTAの喫茶も素通り。
 ああああ。
 そりゃあさー、もともとお休みする予定だったんだし、ステージ発表を見られただけでも良しとしなければいけないのは分かっているんだけど。
 まあ、また来年あるし。来年どころかこの先11年あるってば。


 学校ではしんどそうにしていた悠太ですが、帰りの車に乗ったとたんケロっとして、にっこり、笑顔さえ見せるではないですか!
なに、それ。その顔。それなら、ちょっとくらいバザー見せてくれたってよかったんじゃないの?
いやいや、こうして笑顔を見られるのも、しんどいことから開放されたから。ほっとしたからなんですよね。分かっちゃいるんだけど・・・なんだか、腹が立つんだよなあ(笑)。
ううう。バザー・・・(諦め悪い) 

家に帰って、ビデオをテレビにつなぎ、ステージ発表のビデオ鑑賞会をしました。
夫、結局、ほとんどの学年の発表をビデオに撮っていたみたい。よくやるなあ・・・
悠太・光太もビデオの映像を喜んでよーく見ていました。
それにしても、悠太・光太のポニョ、かわいい♪何度見ても厭きません。リピート、リピート。

カメラの映像を見るお母さんと悠太


今まで、普通の幼稚園と違って、発表会やお遊戯会なんてありませんでした。なくて当たり前。あったとしても、できっこないし。
それがまあ、こんなふうに楽しませてくれるようになるなんて、ねえ。
じんわり、胸があたたかくなります。

悠太・光太も、たとえ「やらされている」だけにしても、こうして一つ一つの経験が見えないところで血肉になっているんだろうなあ、と思います。
去年の今頃は、ちょうど就学相談や学校見学・面談でばたばたしていましたっけ。1年前の悠太・光太から今の悠太・光太は想像つかないですもんねえ。
賢く、たくましくなったものです。

また1年後、悠太・光太はどんな表情を見せてくれるんだろう?
どうか来年は、バザーも展示も見られますように!


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