とうとう、夏休み。


 7月19日です。
 とうとう、夏休みがやってきました。
 子供はいいんです。お休みだもの。うれしいだけでしょ。
 問題は私。子供とこんなに長い間みっちり3人で過ごすのって、4年ぶり?どうすりゃいいんだーーーー!?
 皆目見当つきません。

 目下の希望は7月30日と8月8日の登校日(給食有りの通常授業!)、8月4日にあるPTC行事(先生と親と子供で遊びましょう〜という学年単位の行事で、カレーを作ります)、夫の夏休み(8月9日〜17日、ただし仕事が忙しいため、すべて休みがとれるかは微妙)、そして2期制のために早まった始業日、8月28日。
 8月27日まで頑張ればいいんですねっ!
 でもやっぱり長いですう・・・(涙)。

 あ、私、この夏初めて半日の人間ドックに入ります。それが7月31日。あんまり楽しみじゃないけど、とりあえず、夫に休みをとってもらって、子供から離れられるのはうれしいかな。

 夏休み、ラクをする方法は、実はあったんです。
 特別支援学校対象の放課後対策事業及び長期休暇対策事業というのがありまして、早い学童保育。去年から始まったそうです。
 市から委託された社会福祉法人が、学校内の一室で、放課後または長期休暇中に子供を預かってくれます。

 長期休暇中は、午前の利用と午後の利用と分かれていて、どちらかを選びます。午前、午後ともに預かる上限人数は10人で、小学部から高等部まで利用OK。親が働いていたり、介護する家族がいたり、やむをえない理由がある家庭の子供が優先ですが、もちろん、上限人数に達しなかった場合、親のレスパイト(休んだり、遊びに行ったり)目的でもOKです。

 そりゃもう、とびつきましたとも。
 悠太・光太がいたら、たとえ牛乳一本でも買うことはできません。私一人で二人を連れてお店に入るのは不可能だからです。日々の生活が立ち行かなくなる恐れが出てきます。
 私一人で、充実した夏休みを二人に送らせる自信もありませんでした。それなら、週に2回くらい預かってもらって、集団で遊ばせるのもいいんじゃないか、と。指導員さんも、マンツーマンでお世話してくれるそうです。
 
 で、週2回程度の申し込みをして、子供を連れて面談もしました。
 学校内にある、広さ14、5畳ほどの和室に子供と、子供と同じ数以上の指導員さん。子供といっても、悠太・光太よりはるかに体の大きなお兄さんばかりで、ちょっと圧倒されてしまいました。
 それでも、悠太・光太は「なに、ここ!」と怒ることなく、すんなり入室。よく分からないけど、ここでなにかするらしい、自分はここにいなければいけないらしい、というのは理解してくれたようです。

 しばらく遠巻きに二人の様子を見ていたのですが、案外光太はケロッとしていて、悠太は、不安な顔ながら、懸命に初対面の人ばかりの輪の中でじっと耐えています。
 うーん、大丈夫かなあ?と思いつつ、私は別室で係の人と面談へ。

 1時間弱の面談後、子供たちのいる部屋へ戻ってみると・・・ニコニコ、キャッキャッと走りまわる光太を発見、一方で悠太が部屋の隅で号泣!急いで悠太のそばに駆け寄ると、もう、私の声かけも聞こえないくらいのひどいパニック状態でした。こんなひどいパニックは珍しい、というか初めてじゃないか?というくらい。

 絵本を読んでいたら急に泣き出したらしく、「その絵本が気に入らんかったんじゃろうか〜?」なんて、のん気なことを言う指導員さん。
 その瞬間、ああ、だめだ、と思いました。
 初めて接する子供で、悠太のことを全く知らないのは分かります。けど、こんなに追い詰められてパニックを起こしている子供に対して、あまりにも対応が愚鈍で無関心すぎる。

 悠太は頑張ったんです。
 学校内とはいえ初めての場所、初めて見る人、何をしたらいいのか分からない、でも、指示されることを懸命にやろうと、頑張ったんです。
 極度の緊張の中、頑張ろうとして、でも頑張りきれなくて、キャパを超えてしまってパニックを起こしてしまったのです。

 猛反省。
 自分がラクをするために、悠太にこんな無理をさせてしまった。
 ラクをするのは別に悪いことじゃないけど、でも、第一に考えなきゃいけないのは、子供のことだった。

 ただでさえ、この4月からまったく新しい環境の中で頑張ってきて、やっと、ほんとうにやっと慣れてきたところなのです。これ以上悠太にまた新しい何かを押し付けて「頑張れ」なんて、あまりに酷というもの。

 そりゃあ、学童にも時間がたてば慣れるでしょう。今の心配なんて杞憂になることでしょう。
 でも、その時間って?夏休みが終わるころ?
 本当なら、楽しいことだらけの夏休みに、悠太にまた緊張感と不安を強いるの?自分がラクをするために?
 それは、間違ってる。絶対に。
 
 いいじゃないの。ただ、ごろごろ、だらだらする夏休みでも。
 いっぱい学校で頑張ってきたんだもの。夏休みくらい、いろんなストレスからフリーになって欲しい。それくらい、ご褒美でいいじゃないの。

 そりゃあ、私は大変でしょうよ。子供とずっと一緒、考えただけでぞっとします。
 でも、ほぼ毎日、学校のプール開放もあるし、なんとかなる。ええもう、親子で真っ黒になってもいいじゃないの。
 最優先は子供の笑顔。
 くそーっ、やってやろうじゃないの!この夏休み、最大限、奴らに奉仕してやろうじゃないの!

 で、勢いで、せっかく申し込みした夏休みの学童保育、断っちゃいました〜。
 あーあ、きっと後で「しまった〜」って思うんだから。
 知〜らないっと。

 
 入学してから4ヶ月、二人とも本当によく頑張りました。激動の4ヶ月だったことでしょう。しんどいこともあったけど、今ではすっかり学校にも慣れました。
 言葉がほとんど分からない彼ら。数少ない手がかりの中、集団の中で自分に求められていることを判断し、その役割をしっかり果たしています。

 すごいなあ、と思います。
 こんなに悠太も光太も賢かったっけ?
 正真正銘重度の知的障害の子供をつかまえて「賢い」なんて、よそ様が聞いたら笑われそうですが、本当に賢い子です。自分に備わっている能力のキャパシティ、それもと〜っても限られたキャパシティをフル活用、フル回転させて日々頑張っています。
 
 そんな彼らだから、うん。夏休みくらい、のんびり、楽しく過ごそう。
 それがまた、夏休み明け、学校に戻って頑張れる原動力になるはず。
 い〜っぱい、一緒に遊ぼうね!


 夏休みに入って最初の日曜日は、海水浴へ行きました。毎年行っている、呉市のかるが浜海水浴場です。
 もちろん悠太・光太は大喜び!
 面倒な説明は割愛。二人の満面の笑顔の写真がすべてを物語っています。

海は楽しいね。悠太(左)、光太(右)。
お母さんと悠太

 まだ夏は始まったばかり。
 今年もいくぞー!


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