祝!入学


 4月8日、入学式を迎えました。
 家族みんなでめいっぱいおめかしししました。なんてったって、ハレの日ですもん。といっても、私以外の男衆は卒園式と同じ格好なんですけどね。私は春らしく、真っ白のスーツです。そりゃあなんてったって、「今まで頑張ってきたママのご褒美の日」なんですから(笑)。

学校着。
学校に来るのもこれで4度目。悠太ももう混乱はありません。私と手をつないで、ウキウキでステップ、ステップ!
受付で子どもは「おめでとう」の紅白リボンをつけてもらいました。うわ〜、入学式って感じ!

教室へ移動。
新1年生は全部で12人、3クラスです。
悠太は1年1組、光太は1年2組になりました(事前に、兄弟別のクラスにしてもらうよう、お願いしてありました)。
光太のクラスは5人、そのうち光太を含め、K学園出身の子どもが3人。顔なじみの子を見ると、ほっとします。
悠太のクラスは4人。悠太のクラスには、療育センター時代のお友達がいて、3年ぶりの再会でした。

悠太は、「ふ〜ん、ここがボクの教室か」とは思っていないでしょうが、そんな雰囲気で、緊張しつつもまんざらでもない様子。悠太が落ち着いていたので、早速教室で記念撮影!
光太はというと、早速先生に抱っこしてもらっていました。ちょっとドキドキだね。

クラスで記念写真


親は一足早く入学式の会場である体育館へ移動。
待つこと20分、10時になり、いよいよ入学式が始まりました。
トトロの「歩こう〜歩こう〜♪」の音楽が流れ、保護者、在校生みんなの手拍子にのって、新入生入場。悠太は・・・おおっ、先生と手をつないで、ちゃんと歩いているじゃないか!何が起こっているかわからない、戸惑った表情ながらも、「歩けばいいんでしょ」みたいな(笑)。
光太は男性の先生に抱っこされて入場。やっぱり君は抱っこか。

式次第はさすが、公立の学校だなーと思いました。国歌斉唱もあったりして。式の進行や祝辞は比較的短めながら、それでも小さな1年生にとっては結構長い時間の拘束です。
式が進むにしたがって、1年生、荒れる、荒れる(笑)。おとなしく座っている子もいたのですが、ふら〜っと前へ出そうになる子、寝転がる子、暴れる子、泣く子・・・
かくいう光太も、先生のおヒザが退屈になって、むっとした表情でゴソゴソ。先生もご機嫌をとってくれているのですが、どうにも間がもちません。
そして悠太はというと。すごーい!ちゃんといい子で座ってる!

1年生が煮詰まってきた頃、「世界に一つだけの花」をみんなで立って歌いました。
悠太は先生やお友達と輪になって、光太は先生と手をつないで、ジャンプしながらグルグルまわってニコニコ!ここぞとばかりに動いとけ!って感じで笑ってしまいました。
校歌斉唱のときも、光太は先生とグルグル。先生も目がまわるだろうに・・・

とっても楽しい入学式でした。
 式の後、保護者は懇談、子どもはプレイルームで遊びました。懇談終了後、プレイルームへ迎えに行くと、悠太も光太もニコニコ!すっかり先生とも仲良くなって、エアートランポリンに放り投げて遊んでもらっていました。
 二人とも、学校が気に入った様子です。
 これから、いっぱい楽しいことがあるよ!元気に学校生活が遅れますように!

入学式の後、ファミレスにいきました。


 さて、入学式の翌日から早速給食が始まり、3時下校のフルタイム。
 朝も以前よりお出かけ時間が30分早くなります。
 朝は1分、1秒が貴重。30分は大きい!以前はまだまだのんびりテレビ見てくつろいでいる時間に家を出なければなりません。子どもは大丈夫だろうか、そして私は子どもを無事送り出せるのだろうか?
 前の晩は私のほうが緊張してなかなか眠れませんでした。

 朝、ぐーぐー眠り続ける子どもを、くすぐり攻撃でなんとか機嫌よく目覚めさせました。
朝ごはんはもともと食べられない子たちなので仕方ないとして、お出かけ前までにちゃんと排泄できるか問題。よしっ、二人ともばっちり!
30分早いお出かけも、意外とすんなり。けど、通学バスのバス停は今まで朝向かっていた方向と逆方向。車で3分、通学バスのバス停到着。車のエンジンを切ると、二人とも「なんで〜?」とグズグズになってしまいました。
さらに、ランドセルを背負わせ、車から降ろすと「ふえ〜ん」。光太は「抱っこ!」
おいおい、抱っこかよ。片手は悠太と手をつなぎ、片手はランドセルを背負った光太を抱っこ、さらに手提げかばんを二つ持つ。き、きつい!

 同じバス停から乗るのは、高等部3年のお兄さん、お姉さんが3人、中等部1年のお兄さんが1人。ちびっ子は悠太・光太だけ。子どももドキドキなら、私だってドキドキです。
 そこへ、「あっ、サエキくん、おはよう!」と高等部のお兄さんが悠太と光太にニコニコで声をかけてくれたのです!当然初対面です。乗車名簿が前もって配られていたので、で名前を知っていてくれていたのだろうけど、びっくり、うれしい〜!
 優しいお兄さんにも、悠太・光太はただただ不安でいっぱい、ごあいさつどころじゃなかったのですが・・・

 まもなくバスがやって来ました。
 すんなり、あっさり乗り込んだのはいいのですが、乗車口そばの座席に座って二人とも気付きました。母がバスに乗らないことを(当たり前じゃ)。
 そのときの母を見つめる二人の不安げな、悲しげな表情といったら!光太ときたら、座席に座ったまま、精一杯母に向けて手を伸ばし、私を指差し(最近、指差しっぽい仕草をすることがあります)、「お母さ〜ん!」と無言の叫び。
 いやああああっ、そんな顔しないでーーーー!

 成長したものです。
 3年前、年少さんで初めて単独通園させたときは、うっひょー!とバスに乗り込み、一瞬で母のことなんて忘れましたからね(笑)。当時は、見通しがつかない不安はあっても、「母がいなくて不安」という感情はなかったんじゃないかなあ。
 それはそれで、ほっとしつつも寂しいものでした。

 二人を送り出した後は、1日中胃が痛かったです。
 久々のフリータイムで、本当なら「やった〜!」なんでしょうが、もう、それどころじゃないんですね。二人のあんな顔を見ちゃったから。あの顔がちらついて、どうにもこうにも。(とはいえ、春休み中買い物できなかったぶん、がっつり買い物はしましたが。)
 何をしていても、心ここにあらず、うわの空で、手先まで神経が通っていない感じ。

 それでも久々に時間ができたので、手の込んだ料理を作りたくて、クリームコロッケを作りました。
炒めた具に味付けしようと、塩・こしょう、砂糖少々加えて・・・砂糖の入った容器を棚に戻そうとしたそのとき、「ぎゃーーーーーっ!」
 砂糖の容器がひっくり返って、くりーむころっけの具の上にお砂糖がてんこもり、富士山状態になってしまいました。
容器の蓋をしっかりしめていなかったうえ、手にまったく力が入っていなかったのですね。
 しばしボーゼン。これ、どうするよ?

 いや、ボーゼンとしている場合じゃない!
急いで具の上にてんこもりになった砂糖をできる限りすくい出したのですが、なにせ炒めたてのアツアツの具にふりかかった砂糖はどんどん具に溶け出してしまい・・・
 塩・こしょうを足したり、カレーパウダーを入れてカレー風味にしてみたり、どうにかごまかしたものの、極甘のクリームコロッケになってしまいました。甘すぎて頭が痛いったら。

 「食べられないことはないから!」と夫に出したのですが(もちろん自分にも)、夫、一言「甘い」。いつもなら、どんなイマイチな料理も「うん、おいしいよ」と言ってくれるのですが、このクリームコロッケはさすがに「おいしい」の言葉はとうとう出ませんでした。
 ああ、失敗。大失敗。
 

 さて、初日のお迎え。
 悠太・光太、泥状態でバスから降りてきました。極太の油性マジックで「つ・か・れ・た」と顔に描いてあります。そりゃあ、そうだよなあ。
 特別支援学校は、普通の小学校と違って新1年生の慣らし期間がありません。最初は「ラッキー」と思っていたのですが、うーん。やっぱり慣らし期間ってちょっとは必要だと思います。見知らぬ人、場所の中にいきなりぽーんと放り込まれて、わけが分からずいきなりフルタイムは、1年生のちびっ子にはしんどすぎます。
ま、そうは言っても、そういう仕組みなのだから仕方ないんですけどね。

 家に帰ると、しばらくはおやつを食べる気力もないくらい放心状態(笑)。
 でも、家では思ったより落ち着いています。もっともっと、グズグズ、大荒れになると思っていたんですけどね。荒れる力も残っていないってことか。
とりあえずのんびりして、二人ともいつもより5割増しで母にベタベタ甘えて、充電です。

母に甘ええることで疲れを癒している二人を見て、「ああ、お母さんの役目ってこういうことなんだなあ」と実感しました。
私が笑って、笑いかけることで、ほっとした笑顔を見せる二人。
お母さんが笑っているのが一番って、こういうことなんだね。
もちろん今までもそれは知っていたのですが、このときほど実感したことはありませんでした。


2日目の朝、バス停に着くと、二人とも「ふえ〜ん」。イヤだ、イヤだ。オレたち行かねーよぉ!
それでも、バスが来るまでの約10分、その場でじっとして、いい子でいてくれます。悠太なんて、緊張でカタカタ震えているんですよ。それでも、「ギャー!」と座り込んだり、脱走なんてしないんです。じっと、じっと、我慢しているんです。
イヤだけど、行かなきゃいけないらしい、というのが分かっている。
その姿があまりにも健気で、いじらしくて、私も泣けてきそうです。それでも、平気な顔をして、笑顔で送り出さないとね。

学校は2日目にして、いきなり歯科検診。
もー、これってどうよー!せめて、学校に慣れてからにして欲しいです。そうはいかないのは分かっているんだけど。決まっていることですからね。
これからも4月中に、心電図とったり、耳鼻科検診があったり、眼科検診があったり・・・
ただでさえいっぱいいっぱいなのに、学校がどんどん嫌な場所になっちゃうよー。
 やっぱり「学校」って、子どもの都合より大人の都合を優先する場所なんですよねえ。
 仕方ない、仕方ないことなんだけど。

 二人とも歯科検診、頑張ったそうです。
 でも、光太は検診の後、長い間先生に抱っこ。「助けて〜、怖かったよ〜」
 悠太は、その場では涙は見せなかったものの、教室へ帰ったとたん、それまでこらえてきたものが噴出して、「うわ〜ん」。涙、涙、だったそうです。


 3日目の朝も、バス停に着くと泣きました。それでも、自分からバスに乗りました。
 
 心配だった給食、初日はカレーだったので、悠太はちゃんと食べました。光太はカレーだったので食べられませんでした(ふりかけも持っていったのですが、手をつけなかったそうです)。
 光太は2日目から少しずつではあるものの、食べ始めました。
 悠太は2日目以降、ほとんど食べられません。今まで給食は、家から持っていったカレーやシチューなどをご飯にかけてもらっていたのですが、学校ではそこまでの配慮はしてもらえません。これも仕方のないことですね。

 それでも、悠太、頑張っています。食べたことのない、上になにもかかっていない白いままのご飯、おかずをちょっとでも手をつけている。ちゃんと、服にご飯粒がついて、汚れて帰ってくるんです。食べられないけど、食べようと努力してるんです。
 それだけでも、母、涙、涙。


 家に帰ってからの悠太が、笑顔は見せて甘えてくるものの、日に日に元気がなくなっているのが分かります。全体の食事の量からがくっと落ちていますからね。でも、本当に、頑張っている、耐えている。
 それが分かるから、超過保護の母としてはつらい。
 「もう、学校へ行かなくてもいいから。おうちに居ていいから」と囲い込みたいです、ほんと。だって、しんどい思いをするのに、なんで送り出さなきゃいけないの?

 光太は意外とへっちゃらなんですよねえ。そりゃあ、家に帰ってしばらくは動けませんが、ちょっと母とラブラブして休んだら復活。ご機嫌で結構テンションも高い。
 光太こそ、グズグズで荒れ狂うかと思っていたのに。

 やっぱりそこは、甘え上手と甘え下手の差か。
 光太は、不安だったり嫌なことがあったりすると、とりあえず「抱っこ!」。抱っこしてもらって、気持ちを静めます。
 悠太は、信頼関係のできていない人に、そうやすやすと甘えられません。自分の内に全部抱え込んでしまう。我慢してしまう。
 我慢なんてしなくていいのに。ギャーでもワーでもいい、もっと気持ちを表に出して、泣き叫んでもいいのに。


 子どもが喜んでバスに乗り込んでくれるまで、まだまだ胃の痛い日は続きそうです。
 頑張れ、悠太・光太、頑張れ、私。



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