寿命が縮んだ日

 今回は、反省と自戒を込めて・・・

 3月なかばから体調を崩していた悠太と光太もようやく元気を取り戻し、お外遊びも解禁・再開となった。
 いつも、天気のいい日は午前と午後、外で遊ぶようにしている。外といっても公園に行くでもなく(公園なんかに連れて行っても、一瞬にして脱走してしまう)、車のほとんど来ない家の周りで遊ばせている。
私1人で2人を見るのはかなりきついものがあり、目の届かない死角もあるのだが、だいたいの行動の予測ができるので、なんとかなっている。
いや、なんとかなっていると思っていた。

26日の午後、いつものようにお昼寝から起きた後、外で遊ばせていた。
我が家の目の前に、ベビーカーが1台通れるぐらいの幅の細い路地がある。その路地のそばには畑があったりして、2人のお気に入りの場所だ。
そのとき、光太はその路地にいて、柵越しに畑を眺めていた。
悠太は、これまたお気に入りの近所の会社の駐車場に入り込み、そこにある自動車のチェックにいそしんでいた。その駐車場はたまに自動車の出入りがあるため、光太が路地にいることを確認し、私は悠太の方についていった。
悠太に一通り自動車のチェックをさせ、「危ないから戻ろうね」と諭して光太がいる路地まで戻ってきた。光太から目を離したその間、1、2分だったろうか。
と、そこにいるはずの光太がいないのだ。
あわてて、光太を探す。光太のいつもいるところ。ガレージの裏、隣の家の庭、裏の家の畑、庭、車庫・・・思いつくところすべてを走って探す。けれど、いない。
そうすると・・・

お気に入りの路地は100メートルほどで、その先はT字路になっている。そのT字路は緩やかな坂になっており、200メートルほどその坂を下れば、交通量の多いバス通りに面しているのだ。
普段、このT字路まで行くことはない。でも、それは私の目が届いていて、「遠くに行っちゃダメよ」と制止するからで、もし、このT字路を下っていってしまったら。
光太は、坂を駆け下りるのが好きだ。光太は危険がわからない。勢いがついたまま車道に出てしまったら・・・!

顔から血の気が引く。
悠太、悠太は。駐車場に張ってあるロープと敷いてある小石で遊んでいた。
悠太はこれで遊び始めると長い。とにかく、光太を。
 私は全力疾走でT字路を駆け下りた。(後で、この判断も反省した。安全を思えばこのとき悠太を家の中に入れるべきだったのだ)

実は、T字路とバス通りが面する道沿いに、親しいママ友達が住むコーポがある。私が駆け下りていくと、その友達の車がバス通りに続く道を通せんぼするように止まっていた。車から降りたばかりの友達の姿、そしてコーポの入り口の階段付近をうろつく光太の姿が目に入った。
「光太!」
いた!無事だ!あわてて光太を抱きかかえる。
運良く、ちょうど友達が外出先から帰ってきて、コーポの入り口にいる光太が目に入り、急いで車から降りてきてくれたところだったのだ。

もし、友達が帰ってくるタイミングが遅かったら。
もし、あのまま車道へとび出してしまっていたら。

恐怖と無事だったという安堵で足が震える。
よかった。ほんとうによかった!

「大丈夫だろう」という判断の甘さを心底反省した。
実際、心のどこかで分かっていたのだ。いつかこんなことが起こるだろうことを。
いつまでも赤ちゃんのままじゃない。興味の範囲が広がっている、行動範囲も広がっている、足も速くなっている。それを知っていながら、なかば無事に賭けるようにして外遊びをさせてきたのだ。
それがどんなに危険なことか。
生きてて良かった、じゃあ済まされないのだ。

その夜、夫に一部始終を報告し、謝った。
夫は私を怒ることはなかった。「危なかったね」と一言。
でも、やっぱりごめんなさい。光太にごめんね、悠太にごめんね。夫にごめんなさい。

 最低限、命を守ること。こんなに大事なことを甘く見てしまった。
  母親失格。




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